一聲ひとこゑ)” の例文
新字:一声
大豆打でえづぶちにかつころがつたてえに面中つらぢうめどだらけにしてなあ」剽輕へうきん相手あひてます/\惡口あくこうたくましくした。群衆ぐんしふ一聲ひとこゑをはごとわらひどよめいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
高岡軍曹たかをかぐんそうしばらくみんなのかほてゐたが、やがて何時いつものやうにむねつて、上官じやうくわんらしい威嚴いげんせるやうに一聲ひとこゑたかせきをした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
たまにはくるが、もう以前いぜんのやうにやま邸町やしきまちべい、くろべい、幾曲いくまがりを一聲ひとこゑにめぐつて、とほつて、山王樣さんわうさまもりひゞくやうなのはかれない。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝにて我等彼を離れぬ、われまた彼の事を語らじ、されど此時苦患なやみ一聲ひとこゑわが耳を打てり、我は即ち前を見んとて目をみひらけり 六四—六六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
卷上まきあぐれば二疊臺にでふだい雲間縁うんけんべりたゝみの上に天一坊威儀ゐぎたゞして着座ちやくざなし大膳が名前を披露に及べば天一坊は言葉ことばすくなにいづれも神妙とばかり大樣の一聲ひとこゑに皆々低頭ていとう平身誰一人おもてを上て顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いやはなしませぬはなされませぬおまへさまころしては旦那だんなさまへみませぬといふはまさしく勘藏かんざうか、とおたかことばをはらぬうちやみにきらめく白刄しらは電光いなづまアツと一聲ひとこゑ一刹那いつせつなはかなくれぬ連理れんり片枝かたえは。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
田舍ゐなかづくりの籠花活かごはないけに、一寸いつすん(たつた)もえる。内々ない/\一聲ひとこゑほとゝぎすでもけようとおもふと、うして……いとがると立所たちどころ銀座ぎんざやなぎである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところを、君達きみたち、それ春家はるいへ。と、そでこと一尺いつしやくばかり。春家はるいへかほいろくちあゐのやうにつて、一聲ひとこゑあつとさけびもあへず、たんとするほどに二度にどたふれた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゑなかあツ一聲ひとこゑ床几しやうぎからころちさう、脾腹ひばらかゝへてうめいたのは、民子たみことも與曾平親仁よそべいおやぢ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一聲ひとこゑたからかに題目だいもくとなへもへず、法華僧ほつけそうをどらしてうみとうぜり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)