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一寸
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ちょっと
ふりがな文庫
“
一寸
(
ちょっと
)” の例文
「で犯行の
手掛
(
てがかり
)
は? 被害者の
身許
(
みもと
)
が分らないとすると、せめて、犯人の手口を示す、
一寸
(
ちょっと
)
した証拠でも残ってはいなかったかしら」
殺人迷路:05 (連作探偵小説第五回)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
一寸
(
ちょっと
)
入り
悪
(
に
)
くそうなホテルがずずと並んでいて、中から出て来た自動車に、雪のとばっちりをしたたか浴せられたのもいまいましい。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「うん。
僕
(
ぼく
)
もさう思ふね。」も一人も同意しました。私の係りのアーティストがもちろんといふやうに
一寸
(
ちょっと
)
笑って、私に申しました。
毒蛾
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
Sさんは
一寸
(
ちょっと
)
腑
(
ふ
)
に落ちないような表情をしたが、K氏あてに手紙を書いてくれ、お百姓さんに対しては私のために礼を述べてくれた。
遁走
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「またお講釈だ。ちょいと話をしている間にでも、おや、また教えられたなと思う。あれが苦痛だね。」
一寸
(
ちょっと
)
顔を
蹙
(
しか
)
めて話し続けた。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
「今日はいよいよお
暇
(
いとま
)
申さなければなりません、あまりお
名残
(
なごり
)
が惜しいと存じまして、お留守中に
一寸
(
ちょっと
)
ピアノを弾かして頂きました」
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お父さんは水盃をした昔の癖の抜け切らない日本人は
一寸
(
ちょっと
)
のことにも見送りか出迎えが大袈裟で困ると言って
平常
(
ふだん
)
こそ
貶
(
けな
)
しているが
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
部屋で机の前で今日の新聞を
一寸
(
ちょっと
)
読む。大抵続物だけだ。それから編棒と毛糸の球を持出して、暫くは黙って
切々
(
せッせッ
)
と編物をしている。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
文「御老人を使うは心ないようでござるが、大切の使、
外
(
ほか
)
の者に頼むわけにまいらぬから、御苦労でも
一寸
(
ちょっと
)
松平右京殿のお屋敷まで」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と節子は祖母さんの部屋の方から熱い茶なぞを運んで来る
序
(
ついで
)
に、自分の掛けている
半襟
(
はんえり
)
を
一寸
(
ちょっと
)
岸本に見せるようにすることも有った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
芸術の中でも、絵画は努力次第で
一寸
(
ちょっと
)
楽しめる境地までは漕ぎつけることが出来るものであるが、書道となるとなかなかに至難である。
鑑賞力なくして習字する勿れ
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
何物にも脅やかされず、どんな場合にも、大手を拡げて思ひのまゝに振舞ふ。
一寸
(
ちょっと
)
誰にも真似の出来ない超越した態度が好きです。
サニンの態度
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
狭心症にかかっているせいか、
一寸
(
ちょっと
)
した好奇心でも胸がドキドキして来そうなので、便々たる夏
肥
(
ぶと
)
りの腹を撫でまわして
押鎮
(
おししず
)
めた。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
次に起こったのが哥老会で、その起源は乾隆年間であり、盛んになったのは同治年間でその盛んになった原因が
一寸
(
ちょっと
)
面白いのです。
雑草一束
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つき合したところで、どうなるものだか
一寸
(
ちょっと
)
考えがつかないね。それよりか、お前達、あした帰るんならもう仕度をして置くがいいぜ。
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
カイヅの
鰭
(
ひれ
)
打ち、強い横馳けなどといふものは、
一寸
(
ちょっと
)
文字では表現しにくい、実際にその人の感覚に訴へないでは肯けるものではない。
釣心魚心
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
室子が此間じゅう、
一寸
(
ちょっと
)
風邪をひいたと昨日
言伝
(
ことづ
)
けたのを口実に、蓑吉は早速母親にせがんで、見舞いに来さして貰ったのだった。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「大概のお医者なれば
一寸
(
ちょっと
)
紙入れの中にも、お丸薬や散薬でも這入っていますが、この志丈の紙入の中には手品の種や
百眼
(
ひゃくまなこ
)
などが」
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「それは先生」曽我貞一と名乗る男は
一寸
(
ちょっと
)
云い
淀
(
よど
)
んだが、「先生は
御臨終
(
ごりんじゅう
)
の苦しみを続けていらっしゃるのです。目をお
醒
(
さ
)
ましなさい」
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれども、兄が其所を見抜いて金を貸さないとすると、
一寸
(
ちょっと
)
意外な連帯をして、兄がどんな態度に変るか、試験してみたくもある。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一寸
(
ちょっと
)
も戸の外へ出ることができないから、今のうちに外の空気を吸えるだけ吸い、歩けるだけの距離を歩いておくという自然の勢いが
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小説家は詩人のようでないから
一寸
(
ちょっと
)
怖ろしい。鬼のような事を云いだされてはこっちが怖い。そのくせ何となく逢ってみたい気もする。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
私の接待役の婦人の医者は、
一寸
(
ちょっと
)
した言葉のはづみから、幾人かの子供達が『今隔離中で』見ることが出来ないと云ふ事を明らかにした。
子供の保護
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
「市川兵五郎?」と
一寸
(
ちょっと
)
私は、私の記憶を探した。そしてすぐ思いだした。そして単に兵さんと言えば、もっと早く判ったろうと思った。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
白い大理石の柱の並んでいる車寄せで、彼は
一寸
(
ちょっと
)
躊躇した。が、その次の瞬間に、彼の指はもう
扉
(
ドア
)
の横に取付けてある呼鈴に触れていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私は
一寸
(
ちょっと
)
からかって彼をくじいてやるつもりだったのだが、彼は少しもひるまぬ。ひるまぬ所か手をふりながら興奮してつづけるのである。
途上の犯人
(新字新仮名)
/
浜尾四郎
(著)
桟橋
(
かけはし
)
の旧跡といわれているあたりは、木曾川の幅も岩崖の間に狭まり、泡立つ急流が足の下に迫って、
一寸
(
ちょっと
)
好い景色であった。
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
発車間際の
一寸
(
ちょっと
)
の隙をとらえて、ついそれとなく川口に『あちらへ行ったら、不二さんに注意しなさい』と言ってやりました。
闖入者
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
女は馬車を雇う事を男に勧めようかと
一寸
(
ちょっと
)
考えたが、それを口に出す事を
躊躇
(
ちゅうちょ
)
した。ゆっくり歩けば
好
(
い
)
いと思ったからである。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
工場なので、仕事をしているときに「
一寸
(
ちょっと
)
来い」をやられると、それっきりだった。然し組織の可能性が高まっていたので、彼は出ていた。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
なまじ御報告を
一寸
(
ちょっと
)
のばしに延ばせば延ばすほど、
却
(
かえ
)
つてますます御不安をつのらせるだけらしいことが、千恵にもよくよく
呑
(
の
)
みこめました。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
所謂
(
いわゆる
)
バラック建ての
仮普請
(
かりぶしん
)
が、
如何
(
いか
)
に火の廻りが早いものか、
一寸
(
ちょっと
)
想像がつかぬ。統計によると、一戸平均一分間位だ相な。
越後獅子
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
いや、わしは江戸から来たのだが、
一寸
(
ちょっと
)
利七さんに所用があってお寄りしたようなわけだッたんだが、居ないというんじゃどうしようもない。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
御存じの通り、よっかかりが高いのですから、その
銀杏返
(
いちょうがえし
)
は、髪も低い……
一寸
(
ちょっと
)
雛箱へ、空色
天鵝絨
(
びろうど
)
の蓋をした形に、
此方
(
こっち
)
から見えなくなる。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
咯血の終った跡の心持は、
一寸
(
ちょっと
)
形容が出来ません。頭は一時はっきりと冴えかえりました。が、暫くすると、ぽーっとした気持になりました。
人工心臓
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
かゝる中へ一人の男
来
(
きた
)
りてお辰様にと手紙を渡すを見ると
斉
(
ひとし
)
くお辰あわただしく其男に
連立
(
つれだち
)
て
一寸
(
ちょっと
)
と
出
(
いで
)
しが其まゝもどらず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
然るに先日の御書状あまりに大問題にて
一寸
(
ちょっと
)
御返事にさし
支
(
つかえ
)
、
不相済
(
あいすまぬ
)
と存じながら延引いたし居候内、今年も明日と明後日とのみと
相成
(
あいなり
)
申候。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
一寸
(
ちょっと
)
考えると、潤いのあるという事は味があるというよりは
稍
(
やや
)
狭義に思考せられるが、潤いがあっても味いは無いという事は、想像が出来ない。
歌の潤い
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
たとえて見れば(彼方を指して)あの沙の小高くなっている蔭になって
一寸
(
ちょっと
)
、黒い木立の頭が覗いていたとする。
吾等
(
われら
)
は、何とも思っていない。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と書いているのを読みました。なんだかその言葉がそっくり今の私にあてはまるように思われますので、
一寸
(
ちょっと
)
此処に書いてみる気になりました。
「美しかれ、悲しかれ」:窪川稲子さんに
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一寸
(
ちょっと
)
した物を買っても、すぐに暴利を貪ろうとする。実に懦弱で欲張り根性の突張った奴等ほど
済度
(
さいど
)
し難い者はないのだ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
『いや、いいんですよ。今
一寸
(
ちょっと
)
用があるんで、又来ますから、……これをお返しに来たんです、じゃ、また晩にでも……』
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
私たちも
一寸
(
ちょっと
)
芝居気
(
しばいぎ
)
を出して、パナマや
雀頭巾
(
すずめずきん
)
を振る。童話の中の小さな王子のお蔭で、
朗
(
ほが
)
らかに朗らかに私たちも帽子が振れるというものだ。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
薄暗い台所でしてゐた水の音や皿の音は
一寸
(
ちょっと
)
の間やんで、「えゝ」と、勇みたつたやうな返事が聞えると、また前よりは忙しく水の音がしだした。
散歩
(新字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
前日より一層
劇
(
はげ
)
しい怒を以て、書いている。いやな事と云うものは、する時間が長引くだけいやになるからである。
午頃
(
ひるごろ
)
になって、
一寸
(
ちょっと
)
町へ出た。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
……こういう
一寸
(
ちょっと
)
した気分の転換を彼の妻はよく心得ているのだ。それで、彼は母親にあやされる、あの子供の気持になっていることがよくある。
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
天皇の葬儀の夜、
一寸
(
ちょっと
)
した争い事が起った。元々、天皇崩御の儀式として、奈良、京都の僧侶がお供をして、墓所の廻りに
額
(
がく
)
を打つ習慣があった。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
その中で
解
(
げ
)
し得た者は
白玉
(
しろたま
)
、
解
(
げ
)
し
傷
(
そこな
)
うた者は
黒玉
(
くろだま
)
、夫れから自分の読む領分を
一寸
(
ちょっと
)
でも
滞
(
とどこお
)
りなく立派に読んで
了
(
しま
)
ったと云う者は白い三角を付ける。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と、念を押されると、今更、いや
一寸
(
ちょっと
)
まってくれ、もう一度、耳に聞いてみるからとも云え無い。それに死人に口無し
新訂雲母阪
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「おい山本。
一寸
(
ちょっと
)
あちらの貯蔵庫を検べて見てくれないか。
先刻
(
さっき
)
の騒ぎで
悉皆
(
すっかり
)
壊れているかもしれない。あれが使えなくなってはそれこそ大変だ。」
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
“一寸”の意味
《形容動詞》
一寸(ちょっと 別表記:鳥渡)
数量や程度がわずかであること。
《名詞》
一寸(いっすん)
一尺の十分の一。約3㎝。
ほんのわずかな物の例え。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
寸
常用漢字
小6
部首:⼨
3画
“一寸”で始まる語句
一寸法師
一寸々々
一寸見
一寸角
一寸試
一寸前後
一寸位
一寸遁
一寸刻
一寸前