うづら)” の例文
素晴しい買物といふと、算盤高そろばんたかい今の人は直ぐ船株かうづらの卵かを聯想するらしいが、給仕の買つたのはそんなけちな物ではなかつた。
わが父はつれづれのおきなうづらひひめもす飽かず、鶉籠とさし寄せ、行き通へよくつがへとぞ、いすわると、膝に肘張り、眼を凝らし、ただにおはせり。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
赤蜻蛉田圃に乱るれば横堀にうづらなく頃も近づきぬ、朝夕の秋風身にしみ渡りて上清じやうせいが店の蚊遣香懷爐灰に座をゆづり、石橋の田村やが粉挽く臼の音さびしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ある野原の薄藪すすきやぶの中に、母と子との二匹のうづらが巣を構へてをりました。母鶉はもう年よりなので羽が弱くて、少し遠いところには飛んで行くことが出来ませんでした。
孝行鶉の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
やうやく長い冬をぎ抜けることが出来た。しばらく床場とこばへも行かないと思つて居るうちに、私の頭の髪はうづらのやうに成つた。今日は久し振りで延びたひげつた。これで清々した。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人言ひとごとしげみときみうづらひと古家ふるへかたらひてりつ 〔巻十一・二七九九〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
山家やまが村里むらざと薄紅うすくれなゐ蕎麥そばきりあはしげれるなかに、うづらけば山鳩やまばとこだまする。掛稻かけいねあたゝかう、かぶらはや初霜はつしもけて、細流せゝらぎまた杜若かきつばたひるつきわたかりは、また戀衣こひぎぬ縫目ぬひめにこそ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もとより慣れぬ徒歩かちなれば、あまたたび或は里の子が落穗おちぼ拾はん畔路あぜみちにさすらひ、或は露に伏すうづらとこ草村くさむら立迷たちまようて、絲より細き蟲のに、覺束なき行末をかこてども、問ふに聲なき影ばかり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
居ずまひを直すとき、派手なうづらめしの二枚がさねの下から、長襦袢ながじゆばん紋縮緬もんちりめんの、薄い鵇色ときいろのちらついたのが、いつになく博士の目を刺戟した。鈴を張つたやうな、物言ふ目は不安と真面目とを現してゐる。
魔睡 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「最初にうづらを上げる事になつてゐます。お嬢様のお好な。」
薔薇 (新字旧仮名) / グスターフ・ウィード(著)
うづら隱れしくさむら
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
うづらの鳥が
十五夜お月さん (旧字旧仮名) / 野口雨情(著)
ばんも小鴨も、田鷸たしぎも、うづらも色々たんと棲んでゐる世の中だ。何か土産がありさうなものぢやないかと訊くと、菊五郎は子供のやうにつらふくらませて
わが父はつれづれのおきなうづらひひめもす飽かず、鶉籠とさし寄せ、行き通へよくつがへとぞ、いすわると、膝に肘張り、眼を凝らし、ただにおはせり。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
赤蜻蛉あかとんぼう田圃たんぼに乱るれば横堀にうづらなく頃も近づきぬ、朝夕あさゆふの秋風身にしみ渡りて上清じやうせいが店の蚊遣香かやりこう懐炉灰くわいろばいに座をゆづり、石橋の田村やが粉挽こなひうすの音さびしく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
するとまたしばらくお城に子のうづらが見えません。
孝行鶉の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
ひるすぎごろわが病室の入口にうづらの卵売りに来りぬ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
山鳩やまばと田鴫たしぎ十三、うづら十五かもが三——
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ゆふべのうづら巣にかく
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
赤蜻蛉あかとんぼう田圃たんぼみだるれば横堀よこぼりうづらなくころちかづきぬ、朝夕あさゆふ秋風あきかぜにしみわたりて上清じやうせいみせ蚊遣香かやりかう懷爐灰くわいろばいをゆづり、石橋いしばし田村たむらやが粉挽こなひうすおとさびしく
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「支那の黄初平くわうしよへいとやらは石を叱つて羊としたといふぢやありませんか。石も羊になる位だつたらうづらにでもなりやよかつたと思ひますよ。すると滋養の多い卵を産む事が出来るんですからね。」
月夜よし厩のうらの枇杷の木に啼くうづらゐて露しとどなる
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うづら啼く粟穂がひまほそり道三日みかの月夜に誰ぞ行き細る
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うづらと補助貨9・18(夕)
うづらゆめをはぐくみぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
うづら文鳥ぶんてう黒鶫くろつぐみ
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)