體裁ていさい)” の例文
新字:体裁
ぼく子供心こどもごころにも此樣子このやうす不審ふしんおもつたといふは、其男そのをとこ衣服みなりから風采ふうさいから擧動きよどうまでが、一見いつけん百姓ひやくしやうです、純然じゆんぜんたる水呑百姓みづのみひやくしやうといふ體裁ていさいです
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
れの徳義とくぎは——「かくすよりあらはるゝはなし」——へれば——「外見ぐわいけんかざるな、いく體裁ていさいばかりつくろつても駄目だめだ、かはづぱりかはづさ」
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
つくり返つた箱の中から、駄菓子を二三十文選り出させて、觀音詣りの土産物といつた體裁ていさいに包ませ乍ら
二階にかい體裁ていさいよき三個みつつへやその一室ひとままどに、しろ窓掛まどかけかぜゆるいでところは、たしか大佐たいさ居間ゐまおもはるゝ。
いか御恩ごおんかうむりましたに、いざおいへが、ところには、ろく暑寒見舞しよかんみまひにも御伺おうかゞひいたしません。手前てまへ不都合ふつがふ料簡方れうけんがたと、おいへばちで、體裁ていさいでございます、へい。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わしとても、體裁ていさいつくり、そなことをひはせぬ、とひたいは山々やま/\なれど、しき作法さはふは、もうおさらば! もし、わし可愛いとしうおもうてくださるか?「うん」と被言おッしゃるであらうがな。
おんな不思議ふしぎさうにつてゆくをきやくきゝすましてわらひながら御遠慮ごゑんりよにはおよばない、つてたらからう、なにもそんなに體裁ていさいにはおよばぬではないか、可愛かわいひと素戻すもどしもひどからう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私は生れてから、こんなに體裁ていさいの惡い思ひをした事は無いよ。本當にひどいよ。
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
「おつたもところぢや體裁ていさいがよくてね」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
着なし竹輿かご體裁ていさい陸尺ろくしやくの容子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「旦那樣、體裁ていさいは惡う御座いますが、暫らく我慢なすつて下さい。この馬はかんが強う御座いますから」
こはいのがごそりとげると……靴下くつしたならまだい「なに體裁ていさいなんぞ、そんなこと。」邊幅へんぷくしうしないをとこだから、紺足袋こんたびで、おやゆびさきおほきなあなのあいたのが、油蟲あぶらむしはさんだごとあらはれた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「何んだ八の手紙だ、馬を曳いて來るよりは、この方がまだしも體裁ていさいは宜いが——」
でまあかう體裁ていさいなんですがね。女中ぢよちうにはすべ怒鳴どならせないことにしてあるんださうだが、帳場ちやうばておあつらへをとほすのに、「ほんごぶになまイ」ととほす。とこれもの一人ひとりもなし。で、まことこまつてる。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)