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雪駄
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せつた
ふりがな文庫
“
雪駄
(
せつた
)” の例文
吹通
(
ふきとほ
)
しの
風
(
かぜ
)
砂
(
すな
)
を
捲
(
ま
)
きて、
雪駄
(
せつた
)
ちやら/\と
人
(
ひと
)
の
通
(
とほ
)
る、
此方
(
こなた
)
は
裾端折
(
すそはしをり
)
の
然
(
しか
)
も
穿物
(
はきもの
)
の
泥
(
どろ
)
、
二
(
に
)
の
字
(
じ
)
ならぬ
奧山住
(
おくやまずみ
)
の
足痕
(
あしあと
)
を、
白晝
(
はくちう
)
に
印
(
いん
)
するが
極
(
きまり
)
惡
(
わる
)
しなど
歎
(
かこ
)
つ。
森の紫陽花
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
茶屋
(
ちやゝ
)
が
廻女
(
まわし
)
の
雪駄
(
せつた
)
のおとに
響
(
ひゞ
)
き
通
(
かよ
)
へる
歌舞音曲
(
かぶおんぎよく
)
うかれうかれて
入込
(
いりこ
)
む
人
(
ひと
)
の
何
(
なに
)
を
目當
(
めあて
)
と
言問
(
ことゝ
)
はゞ、
赤
(
あか
)
ゑり
赭熊
(
しやぐま
)
に
裲襠
(
うちかけ
)
の
裾
(
すそ
)
ながく、につと
笑
(
わら
)
ふ
口元
(
くちもと
)
目
(
め
)
もと
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「そんな事があるものか、
雪駄
(
せつた
)
が片つぽお倉の家にあると言ふのに、勘兵衞の足袋は兩方とも底が綺麗だぜ」
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
内へ帰つて見ると、うす暗い玄関の
沓脱
(
くつぬ
)
ぎの上に、見慣れたばら緒の
雪駄
(
せつた
)
が一足のつてゐる。馬琴はそれを見ると、すぐにその客ののつぺりした顔が、眼に浮んだ。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雪駄
(
せつた
)
を刺す時に使ふやうな雑巾針に
麻苧
(
あさを
)
を通して、お雪伯母が縁を縫つて呉れた雑巾に、
絣
(
かすり
)
のやうに十字形に縫ひ置くのであつたが、初の中は針がうまく使へなかつたり
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
其角はかう言つて、ぼつぼつ裾を
端折
(
はしを
)
つて、
雪駄
(
せつた
)
を脱いで帯に
挿
(
はさ
)
むだと思ふと
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
いづれも
嬉
(
うれ
)
しさうにして、
舟
(
ふね
)
へ
近付
(
ちかづ
)
いて
來
(
く
)
るのを、
突
(
つ
)
き
退
(
の
)
けるやうにして、
天滿與力
(
てんまよりき
)
は
眞
(
ま
)
つ
先
(
さ
)
きに
舟
(
ふね
)
へ、
雪駄
(
せつた
)
の
足
(
あし
)
を
跨
(
また
)
ぎ
込
(
こ
)
んだ。
其
(
そ
)
の
途端
(
とたん
)
、
玄竹
(
げんちく
)
はいつにない
雷
(
らい
)
のやうに
高聲
(
たかごゑ
)
で、
叱咜
(
した
)
した。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「やい、歌唄ひの勇助!……お前がいくら三円の
雪駄
(
せつた
)
を
穿
(
は
)
いてゐるなんて威張つたつて、俺等が唄はしてやらなかつたら、どうもなるもんぢやなかつたらうに。……この恩知らず
奴
(
め
)
が!……」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
もしも
雪駄
(
せつた
)
で
歌時計:童謡集
(旧字旧仮名)
/
水谷まさる
(著)
「ところで、あの足音だ、——
後金
(
あとがね
)
の
緩
(
ゆる
)
んだ
雪駄
(
せつた
)
を引摺り加減に歩くところは、女や武家や職人ぢやねえ、
落魄
(
おちぶ
)
れた能役者でなきア先づ思案に餘つたお
店者
(
たなもの
)
だ」
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三
枚
(
まい
)
裏
(
うら
)
にして
繻珍
(
しゆちん
)
の
鼻緒
(
はなを
)
といふのを
履
(
は
)
くよ、
似合
(
にあ
)
ふだらうかと
言
(
い
)
へば、
美登利
(
みどり
)
はくす/\
笑
(
わら
)
ひながら、
背
(
せい
)
の
低
(
ひく
)
い
人
(
ひと
)
が
角袖外套
(
かくそでぐわいとう
)
に
雪駄
(
せつた
)
ばき、まあ
何
(
ど
)
んなにか
可笑
(
をか
)
しからう
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼等は皆同じ様に
椀被
(
わんかむ
)
り頭をして居た。そして、同じ様な
細
(
こま
)
かい双子縞の衣服に黒い小倉帯をしめ、黒い皮鼻緒の
雪駄
(
せつた
)
を穿いてちやら/\と前
屈
(
かゞ
)
みに忙しさうに歩いて居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
夫人と吉兵衛氏とは軽い
雪駄
(
せつた
)
を鳴らしながら、
稲田
(
いなた
)
の細道を歩いて往つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
雪駄
(
せつた
)
、
傘
(
からかさ
)
、
下駄
(
げた
)
、
足駄
(
あしだ
)
。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
うつかり變な
雪駄
(
せつた
)
などを見付けて、自分の智慧と運とを誇り度いやうな心持になつたばかりに、辻斬に縁のある小田卷直次郎の口を、永久に
塞
(
ふさ
)
がれてしまつたのです。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
怪
(
あや
)
しきふるへ
聲
(
こゑ
)
に
此頃
(
このごろ
)
此處
(
こゝ
)
の
流行
(
はやり
)
ぶしを
言
(
い
)
つて、
今
(
いま
)
では
勤
(
つと
)
めが
身
(
み
)
にしみてと
口
(
くち
)
の
内
(
うち
)
にくり
返
(
かへ
)
し、
例
(
れい
)
の
雪駄
(
せつた
)
の
音
(
おと
)
たかく
浮
(
う
)
きたつ
人
(
ひと
)
の
中
(
なか
)
に
交
(
まじ
)
りて
小
(
ちい
)
さき
身躰
(
からだ
)
は
忽
(
たちま
)
ちに
隱
(
かく
)
れつ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
雪駄
(
せつた
)
に附いて居る泥が、屋根と梯子に附いて居ないのが不思議と言へば唯一つの不思議ですが——
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と怪しきふるへ声にこの頃此処の
流行
(
はやり
)
ぶしを言つて、今では勤めが身にしみてと口の内にくり返し、例の
雪駄
(
せつた
)
の音たかく浮きたつ人の中に交りて小さき
身体
(
からだ
)
は
忽
(
たちま
)
ちに隠れつ。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
雪駄
(
せつた
)
は何時でも二階へ持つて行きますよ。店へ置くと誰かに突つかけられて叶ひません」
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
大門際
(
おほもんぎわ
)
に
喧嘩
(
けんくわ
)
かひと出るもありけり、見よや
女子
(
おんな
)
の
勢力
(
いきほひ
)
と言はぬばかり、
春秋
(
はるあき
)
しらぬ五丁町の
賑
(
にぎは
)
ひ、送りの
提燈
(
かんばん
)
いま
流行
(
はや
)
らねど、茶屋が
廻女
(
まわし
)
の
雪駄
(
せつた
)
のおとに響き通へる歌舞
音曲
(
おんぎよく
)
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
革緒
(
かわを
)
の
雪駄
(
せつた
)
おとのみはすれど、馬鹿ばやしの
中間
(
なかま
)
には入らざりき、
夜宮
(
よみや
)
は事なく過ぎて今日一日の日も夕ぐれ、筆やが店に寄合しは十二人、一人かけたる美登利が夕化粧の長さに
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
泥だらけな兼松の
雪駄
(
せつた
)
は、娘の部屋の縁の下に突つ込んでありました。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
雪駄
(
せつた
)
直しでせう。
先刻
(
さつき
)
から三足目の註文ですが、良い働きですね」
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「二十二三の一寸良い男だ、——町人風には相違ないが、出は
武家
(
ぶけ
)
らしいな。
雪駄
(
せつた
)
の金が鳴り過ぎるし、
月代
(
さかやき
)
が狹いし、腰が少し淋しさうだ、——あの若い男を、お前は怪しいとは思はなかつたのか」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“雪駄”の解説
雪駄、雪踏(せった)は、竹皮草履の裏面に皮を貼って防水機能を与え、皮底の踵部分に尻鉄がついた日本の伝統的な履物(草履)の一種で、傷みにくく丈夫である。また、湿気を通しにくい。
(出典:Wikipedia)
雪
常用漢字
小2
部首:⾬
11画
駄
常用漢字
中学
部首:⾺
14画
“雪駄”で始まる語句
雪駄穿
雪駄直
雪駄履
雪駄等