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銘々
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めいめい
ふりがな文庫
“
銘々
(
めいめい
)” の例文
そこで彼女は、ほっとしたように急いで、
主館
(
おもや
)
の方へ
引返
(
ひっかえ
)
して行った。そして間もなく私達は物置の中へはいって、
銘々
(
めいめい
)
に秤へ懸りはじめた。
死の快走船
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
やがて、
銘々
(
めいめい
)
発見されて、あとは彼一人になったらしく、子供達は一緒になって、部屋部屋を探し歩いている
気勢
(
けはい
)
がした。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そして牛鍋を突つき乍らあれこれと話して居るうちに、
銘々
(
めいめい
)
の胸のうちには三十何年前の記憶が
油然
(
ゆうぜん
)
と湧いて来るのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこで私たちは大急ぎで
銘々
(
めいめい
)
一つずつパンフレットも作り自働車などまで
雇
(
やと
)
ってそれを
撒
(
ま
)
きちらしましたが実は、なあに
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一体君は
何
(
ど
)
う思うか、男子の出処進退は
銘々
(
めいめい
)
の好む通りにするが
宜
(
い
)
いではないか、世間一般そうありたいものではないか、之に異論はなかろう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
▼ もっと見る
そうして翌朝になって
銘々
(
めいめい
)
の
絹帷子
(
きぬかたびら
)
を調べ「少しも
皺
(
しわ
)
のよらざる女一人有」りそれを下手人と
睨
(
にら
)
むというのがある。
西鶴と科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
前代の俳諧のごときは殊に読者を限定して、いわば
銘々
(
めいめい
)
の腹の中のわかる者だけで鑑賞し合い、今日存する
篇什
(
へんじゅう
)
はその楽しみの
粕
(
かす
)
のようなものである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
下僕
(
げぼく
)
をはじめ家人らは、
先刻
(
さっき
)
戸締りを済まして、今はもう
銘々
(
めいめい
)
の部屋へ
退
(
さが
)
ったあと。武家屋敷は夜が早い。今ごろ、この玄蕃の座敷の近くを、人の歩くはずはないのだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この輩のごときは、かかる
多事紛雑
(
たじふんざつ
)
の際に何か
一
(
ひ
)
と
仕事
(
しごと
)
して
恰
(
あたか
)
も一杯の酒を
贏
(
か
)
ち
得
(
う
)
れば
自
(
みず
)
からこれを
愉快
(
ゆかい
)
とするものにして、ただ当人
銘々
(
めいめい
)
の
好事心
(
こうずしん
)
より出でたるに過ぎず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
「
銘々
(
めいめい
)
、見苦しい振舞をしたり、騒いだり、泣いたりしてはならんぞ。よく、申し伝えておけ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
群衆に近づいて見ると、彼等は
黙
(
だま
)
っているのではない。
銘々
(
めいめい
)
に何か
喚
(
わめ
)
いているのである。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その実
銘々
(
めいめい
)
孤立して山の中に立て
籠
(
こも
)
っていると一般で、隣り合せに
居
(
きょ
)
を
卜
(
ぼく
)
していながら心は
天涯
(
てんがい
)
にかけ離れて暮しているとでも評するよりほかに仕方がない有様に
陥
(
おちい
)
って来ます。
道楽と職業
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、誰も
応
(
こた
)
えるものはなかった。一同は闇の中に高く
動悸
(
どうき
)
のうつ
銘々
(
めいめい
)
の心臓を感じた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
酔払った連中は、二つ返事で
銘々
(
めいめい
)
美女を
相
(
あい
)
擁
(
よう
)
し、
威勢
(
いせい
)
よくシャムパングラスを左手に
捧
(
ささ
)
げ立った
処
(
ところ
)
を、ポッカアンとマグネシュウムが
弾
(
はじ
)
けて一同、写真に撮られてしまいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
学生達は、伍長を中に
一塊
(
ひとかたま
)
りになって
茶館
(
カフェー
)
を出ると、
銘々
(
めいめい
)
自分の行動に立派な理由を見出して、それにすっかり満足しながら、魔窟のある露地の方へ意気揚々と押し出して行った。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
一、上野介殿十分に討取候とも、
銘々
(
めいめい
)
一命
遁
(
のがる
)
べき覚悟これなき上は、一同に申合せ、
散々
(
ちりぢり
)
に
罷成
(
まかりなり
)
申まじく候。
手負
(
ておい
)
の者これ有においては、互に
引懸
(
ひっかけ
)
助け合い、その場へ集申べきこと。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
自然の
冷蔑
(
れいべつ
)
にどやされて、眼がさめてみると、今さらのように、ものものしい引ッさげ刀も、急に気恥かしくなったか、
銘々
(
めいめい
)
、ひとまず光り物を
鞘
(
さや
)
におさめて、猫間堤のかげへ寄った。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
医師は医師で、産婆は産婆で、私は私で、
銘々
(
めいめい
)
の不安に捕われてしまった。その中で何等の危害をも感ぜぬらしく見えるのは、一番恐ろしい運命の
淵
(
ふち
)
に臨んでいる産婦と胎児だけだった。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
銘々
(
めいめい
)
自分の訳したのが原書に一致して居ると信じて居られるに違いあるまい。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
係蹄で捕れた兎の肉を、串にさして
榾火
(
ほたび
)
で焼きながら、物語をしたら楽しかろうと思った。
囲炉裡
(
いろり
)
の火は快よく燃える。
銘々
(
めいめい
)
長く双脚を伸して、山の話村の話、さては都の話に時の移るをも知らない。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
わらべ達 (
銘々
(
めいめい
)
に)うん、行きたい! 行きたい! 行きたい!
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
何か話の
序
(
ついで
)
には拝借地の有名無実なるを
説
(
と
)
き、等しく官地を使用せしむるならば之を私有地にして
銘々
(
めいめい
)
に地所保存の
謀
(
はかりごと
)
を
為
(
な
)
さしむるに
若
(
し
)
かずと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「可哀想なことをしました。
銘々
(
めいめい
)
身一つで逃げるのが精一杯で、竹松が逃げ
後
(
おく
)
れたことに気がつかなかったのです」
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、私達はそうして、私達の最初の夜を、美しい夢の様に
過
(
すご
)
してしまったのである。無論私達はホテルに泊りはしないで、
夜更
(
よふ
)
けに、
銘々
(
めいめい
)
の家に帰った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その代りに
銘々
(
めいめい
)
に何か望みの本や玩具を買ってやる事にして、それで現代が生み出したこの一種の新しい父親の義務といったようなものを
免
(
ゆる
)
してもらう事にした。
小さな出来事
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
紙やセルロイドの色々の玩具で育てられた人は
殆
(
ほとん
)
と想像も出来ぬ話であるが、以前の子供は春の立ち帰るを待ち兼ねて、こうして
銘々
(
めいめい
)
の遊戯材料を求めたのであった。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
並居
(
なみい
)
る幕僚は、思わずハッと顔色を変えた。そして
銘々
(
めいめい
)
に
眼
(
まなこ
)
をギョロつかせて、室内を見廻した。もしやそこに、
見馴
(
みな
)
れない新兵器がいつの間にやら
搬
(
はこ
)
びこまれていはしまいかと思って……。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
然
(
しか
)
し、こう云う問題は、
銘々
(
めいめい
)
の主観の問題です。僕が、
此
(
こ
)
の人がこうだと云っても、
貴君
(
あなた
)
にそれが分らなければ、それまでの話ですが、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
云って見ましょう。それは、誰でもありません。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
梅軒はいって、行動する手筈をもういちどそこで
銘々
(
めいめい
)
に、繰返した。銘々は、黙って
頷
(
うなず
)
いた。——そして、では行けとばかり、谷川橋から一筋道の辺りを指して、雲の中へ、掻き消えてしまった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この時に至ればもはや平生の厳しい法律も
宗規
(
しゅうき
)
もみな自由に解かれてしもうて、さながら魚が網から飛出して再び大海に泳ぎ出したかのごとくに、
銘々
(
めいめい
)
勝手
(
かって
)
に自分の思う儘をやるという有様です。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
官軍の事をも感服しない、戦争するなら
銘々
(
めいめい
)
勝手にしろと、裏も表もなくその
趣意
(
しゅい
)
で貫いて居たから、私の身も塾も
危
(
あやう
)
い所を
無難
(
ぶなん
)
に過したことゝ思う。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
どうだ、諸君、ここで、
銘々
(
めいめい
)
の、身の明りを、立てて、サッパリした、気持で、別れる、ことにしては
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「悲愴シンフォニー」の演奏を聴いた人々は、作曲者チャイコフスキーの
訃報
(
ふほう
)
を耳にして、涙を流しながら
銘々
(
めいめい
)
の家路に向った。それは一八九三年十一月六日のことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
牛や犬・猫・鶏には、もちろん
銘々
(
めいめい
)
の年取りがあったのみならず、同じ晩はまた道具の年越と称して、
臼
(
うす
)
や
箕
(
み
)
や
枡
(
ます
)
の類まで、一ところに集めて
鏡餅
(
かがみもち
)
を供える風が、実際はまだ決して
稀
(
まれ
)
でない。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
夜の五つ
刻
(
どき
)
、弁天堂の下の海岸へ出て見ると、降るような星月夜の下に、波は思いのほかに
凪
(
な
)
いでいた。六隻の黒船は
銘々
(
めいめい
)
に青い停泊灯を掲げながら、小島のように、その黒い姿を並べていた。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
弓矢を持って居るもあれば鉄砲ばかりを持って行く兵士もある。で
鎧
(
よろい
)
兜
(
かぶと
)
の上にはいずれも一人一本ずつ
銘々
(
めいめい
)
色変りの小旗を
挾
(
さ
)
してごく
綺麗
(
きれい
)
な装束です。むしろ戦場に臨んで戦争をやるというよりは
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
銘々
(
めいめい
)
の海水着を投げ掛け投げ掛け、妖精のハムミングを慕って所在の洞穴、藪蔭、安下宿から
五月雨
(
さみだれ
)
時の蟹のようにめいめい装いを凝らして、ゾロゾロと這い出して来たのです。
奇談クラブ〔戦後版〕:11 運命の釦
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
銘々
(
めいめい
)
に身の廻りを注意して下さい。そして、怪しい奴があったら私に知らせて下さい
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
楊
(
やなぎ
)
や
白膠木
(
ぬるで
)
の木を削っていろいろの飾りをつけた祝い棒がこのために
銘々
(
めいめい
)
に与えられる。それでたんたんと横木をたたいて、心まかせに鳥を追う
詞
(
ことば
)
を
唱
(
とな
)
えるのが、いわゆる鳥小屋の生活であった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ふたりは
銘々
(
めいめい
)
に一ばん気に入りの外出着を着て、腕を組まぬばかりにして門を出た。
月と手袋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
老探偵の挨拶に、四人の警官は物をも云わず、
銘々
(
めいめい
)
右左から、青眼鏡と偽探偵の側へ駈け寄って、彼等の両手に飛びついた。青眼鏡の手を離れた長い槍が、音を立てて竹藪に倒れかかる。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私達は
銘々
(
めいめい
)
名を名乗った。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
銘
常用漢字
中学
部首:⾦
14画
々
3画
“銘々”で始まる語句
銘々伝
銘々共