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諧謔
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かいぎゃく
ふりがな文庫
“
諧謔
(
かいぎゃく
)” の例文
辛辣
(
しんらつ
)
な
諧謔
(
かいぎゃく
)
交
(
まじ
)
りに、新聞記者へ説明されましたもので『この地球表面上に棲息している人間の一人として精神異状者でないものはない』
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何を以てか俳句本来の面目となすや。仏教的哀愁と
都人
(
とじん
)
特有の
機智
(
きち
)
諧謔
(
かいぎゃく
)
即ちこれなり。この二者あつて初めて俳諧狂歌は生れ来りしなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ある種の不健全なにぎわいは、民衆を分散さして多衆となす。そして多衆にとっては暴君にとってと同じく、
諧謔
(
かいぎゃく
)
が必要である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ユーモアは、
諧謔
(
かいぎゃく
)
などと訳しては、どうも趣きが出ないもので、「面白味」と訳するのが、一番いいのではないかと思われる。
面白味
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
とたしなめるなぞ、三代目にはなき型にて、むらく創案にや、前人の踏襲にや、とまれ、自然なる錯覚ぶりが、げにや無類の
諧謔
(
かいぎゃく
)
なりけり。
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
▼ もっと見る
と源内は、みんなと一緒に、しばらく
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
交
(
か
)
わしていたが、今の言葉の端から、かれはフイとお米の姿を思い浮かべていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時には昨年の日記帳をひもといて読んでみることなどもあるが、そこには
諧謔
(
かいぎゃく
)
もあれば
洒落
(
しゃれ
)
もある。笑いの影がいたるところに認められる。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
何か
諧謔
(
かいぎゃく
)
の調のあるのは、親しみのうちに大勢してうたえるようにも出来ており、民謡特有の無遠慮な直接性があるのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
厭世的
(
えんせいてき
)
な基調のうちに明るい
諧謔
(
かいぎゃく
)
を交じえた『夢がたり』To, chevo ne bylo(八二年発表)は、この療養期の所産である。
「あかい花 他四篇」あとがき
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
まあこの主人の私がよ、というその調子にはこの夫婦の暮しにある独特な
諧謔
(
かいぎゃく
)
がひとりでに溢れていて、サヨは気分が転換されるのを感じた。
朝の風
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
馬琴は崋山が自分の絵のことばかり考えているのを、
妬
(
ねた
)
ましいような心もちで眺めながら、いつになくこんな
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
した。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
われわれは恐ろしい
陰謀
(
いんぼう
)
をたくらみながらも、軽い
諧謔
(
かいぎゃく
)
をたのしみ
得
(
う
)
るほどに余裕があった。わしは忘れることができない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ロゼッテイは怒りと
諧謔
(
かいぎゃく
)
をまぜた抗議口調でその男に食ってかかったが、結局二倍の値段で少しばかり買って立ち去った。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
それでは何らの
功果
(
こうか
)
もないかと云うと大変ある。劇全体を通じての
物凄
(
ものすご
)
さ、
怖
(
おそろ
)
しさはこの一段の
諧謔
(
かいぎゃく
)
のために白熱度に引き上げらるるのである。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことにその快活、その機智、その鋭い
諷刺
(
ふうし
)
、無邪、
諧謔
(
かいぎゃく
)
、豊潤な想像、それらのたぐいまれな種々相にはさすがに異常な特殊の光が満ちている。
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
このようにして和歌の優美幽玄も
誹諧
(
はいかい
)
の
滑稽
(
こっけい
)
諧謔
(
かいぎゃく
)
も一つの真実の中に合流してそこに始めて誹諧の真義が明らかにされたのではないかと思われる。
俳諧の本質的概論
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
彼は父には渋面を向けても、手触りの
滑
(
なめ
)
らかな葉子には
諧謔
(
かいぎゃく
)
まじりに好意ある言葉を投げかけないわけに行かなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「お天気がいいので
訪
(
たず
)
ねて来てくれたのかと思ったら、そんなことの相談でしたの」と妻は軽く
諧謔
(
かいぎゃく
)
をまじえだした。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
だがいうまでもなく、大津絵が他の民画と区別される特色は、そこに含まれる
諧謔
(
かいぎゃく
)
である。それはあの「泥絵」のような、名所名所の描写ではない。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
同じ観念、同じ悦び、同じ
諧謔
(
かいぎゃく
)
、同じ習慣、同じ信仰、同じ倦怠のうえを、明けても暮れてもただぐるぐると——。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
さらにまた
諧謔
(
かいぎゃく
)
にあふれたもの、あるいは
苦悩
(
くのう
)
にみちたものもあり、人生の一断面のスケッチもある。小さい本ながら、まことに
盛
(
も
)
りだくさんである。
絵のない絵本:02 解説
(新字新仮名)
/
矢崎源九郎
(著)
と、あの時、
大囲炉裡
(
おおいろり
)
に、
大茶釜
(
おおちゃがま
)
をかけた前に待っていたむつむつしたような重い口の博士は
諧謔
(
かいぎゃく
)
家だったが、その人も震災後の十四年に
亡
(
なく
)
なられた。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
流暢
(
りゅうちょう
)
さの代りに、絶対に人に疑を
抱
(
いだ
)
かせぬ重厚さを備え、
諧謔
(
かいぎゃく
)
の代りに、
含蓄
(
がんちく
)
に富む
譬喩
(
ひゆ
)
を
有
(
も
)
つその弁は、
何人
(
なんぴと
)
といえども逆らうことの出来ぬものだ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
さらにまた
諧謔
(
かいぎゃく
)
にあふれたもの、あるいは
苦悩
(
くのう
)
にみちたものもあり、人生の一断面のスケッチもある。小さい本ながら、まことに
盛
(
も
)
りだくさんである。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一方には当時
諷刺
(
ふうし
)
と
諧謔
(
かいぎゃく
)
とで聞こえた
仮名垣魯文
(
かながきろぶん
)
のような作者があって、すこぶるトボケた調子で、この世相をたくみな戯文に描き出して見せていた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
君も早く感想兼自叙伝の印税で家内じゅうで特別旅行をするがいいと私は彼を
慰藉
(
いしゃ
)
しておいた。が、このぶるじょあ的
諧謔
(
かいぎゃく
)
は彼には通じないようだった。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
諧謔
(
かいぎゃく
)
的な博識の四百ページ中で、「ベーコンの方法の規則に従って」、「快楽の最上整理法」が研究されていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこは城下町の東北一里ばかりの処にあり、きわめて
諧謔
(
かいぎゃく
)
的な、自然を
揶揄
(
やゆ
)
するかのような景観を呈していた。
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
先生は世事に
疎
(
うと
)
いほうだから、いっこう気づかれぬ模様だったが、ある時、その多少の
諧謔
(
かいぎゃく
)
味のあるゆえんを説明すると、石亭先生は、やにわに膝をうって
犂氏の友情
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
悪口、
諧謔
(
かいぎゃく
)
、
駄洒落
(
だじゃれ
)
連発のおのぶサンは一目でわかる好人物らしい大年増。十歳で、故郷の広島をでてから三十六まで、足かけ二十六、七年をサーカス暮し。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
街道筋の地勢や要害を指さしながら、土地案内の与力同心に聞いてみたり、自分の意見を述べてみたりしました。時々
諧謔
(
かいぎゃく
)
を弄して一行を笑わせたりしました。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
Sは二人だけの場合であると、公開の席であるとにかかわらず、
諧謔
(
かいぎゃく
)
の仮面のもとに、おれをあざけり、おれを軽蔑し、おれを圧迫し、おれをののしりつづけた。
蜘蛛
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その時一座したお歴々は、自由党の幹部会ほどの顔ぶれであったが、その中で、抜群の座持ちは吉田首相であり、
諧謔
(
かいぎゃく
)
に富んだ明るい応酬は、なかなかに忘れ難い。
随筆銭形平次:18 平次読む人読まぬ人――三人の政治家――
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
里程にすれば何程でもないに
拘
(
かかわ
)
らず、予測と実際のちがいは彼らの気持を重くしていた。わけても疲労の
甚
(
はなは
)
だしい戸田老人は日ごろの
諧謔
(
かいぎゃく
)
も出ずげっそりしていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そして又、如何に大胆不敵の兇賊でも、あの様な恐ろしい
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
する
暇
(
いとま
)
がなかったことであろう。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼の提供したものは、
諧謔
(
かいぎゃく
)
と苦悩の知識とにみちた、すぐれた出来栄えのものだったからである。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
と博士はニヤニヤと両頬に
笑
(
え
)
みをうかべながら
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
して着座したので、最初のうちは顔色をかえた会員も、
哄笑
(
こうしょう
)
に恐怖をふきとばし、一座は
和
(
なごや
)
かな空気にかえった。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
折から陽気にという積りか、
医師
(
せんせい
)
の言は、
大
(
おおい
)
に
諧謔
(
かいぎゃく
)
の調を帯びたが、小松原はただ
生真面目
(
きまじめ
)
で
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
磊落
(
らいらく
)
で、話上手で、
肌触
(
はだざわ
)
りのよいところを発揮したが、酒はこの前よりも多量に飲み、食後も盛んにウィスキーのグラスを傾けつつ
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
して
倦
(
う
)
むことを知らないので
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
藤村先生はあれでなかなか
諧謔
(
かいぎゃく
)
趣味の粋なところがおありだったらしい。歌留多の一番終いに持ってきて、このお主婦さんには似合いの亭主をちゃんと見つけて置かれたんだ。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
しかし『竹取物語』のあの
個条
(
かじょう
)
が、やや
下品
(
げひん
)
な
諧謔
(
かいぎゃく
)
を目的とし、子安という言葉には別にちがった内容がありそうにも無いのだから、やはり今日と同じような連想と俗信とが
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
フランシス・カルコばりの憂愁とチャアリイ・チャップリンばりの
諧謔
(
かいぎゃく
)
を売りものにわが国のジャアナリズムに君臨していたが、天成の我儘な放浪癖は窮屈な文壇にも馴染まず
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
独り楽天の文は既に老熟の境に達して居てことさらに人を驚かすような新文字もないけれどそれでありながらまた人を
倦
(
う
)
まさないように処々に多少
諧謔
(
かいぎゃく
)
を
弄
(
ろう
)
して山を作って居る。
徒歩旅行を読む
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
そして児童を
倦
(
う
)
ましめざらんがためであろうか、
諧謔
(
かいぎゃく
)
を交えた話をした。その相手は多く鉄三郎であった。成善はまだ幼いので、海保へ往くにも、小島へ往くにも若党に連れられて行った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
常に、人間の努力があり、
諧謔
(
かいぎゃく
)
が伴い、意志の発動する
所以
(
ゆえん
)
であります。
時代・児童・作品
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そうして手ざわりのいい
諧謔
(
かいぎゃく
)
をもって柔らかくその問題を包む
夏目先生の追憶
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
永井龍男氏が例の
諧謔
(
かいぎゃく
)
口調で「みなさん、あとでテレビをさかなに拝見していましょう。きッと今夜の吉川さんもステージで泣きますからね」
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軽い
諧謔
(
かいぎゃく
)
を含めているのも親しみがあって
却
(
かえ
)
って好いし、万葉の歌は万事写生であるから、
縦
(
たと
)
い平凡のようでも人間の実際が出ているのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
元禄
(
げんろく
)
以前にありては俳諧は決して
正風
(
しょうふう
)
以後におけるが如く
滑稽
(
こっけい
)
諧謔
(
かいぎゃく
)
の趣を排除せざりしなり。余は滑稽諧謔を以て俳諧狂歌両者の本領なりと信ずる
也
(
なり
)
。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ナポレオンはワーテルローの朝食の間にしばしばその
諧謔
(
かいぎゃく
)
を弄した。食事の後、彼は十五分ばかり考え込んだ。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
“諧謔”の意味
《名詞》
諧 謔(かいぎゃく)
おどけた面白みのある言葉。気の利いた冗談。
(出典:Wiktionary)
“諧謔(ユーモア)”の解説
ユーモア(en: humor、de: Humor, フモーア)とは、人を和ませるような《おかしみ》のこと。日本語ではこうした表現は諧謔(かいぎゃく)とも呼ばれ、「有情滑稽」と訳されることもある。
(出典:Wikipedia)
諧
常用漢字
中学
部首:⾔
16画
謔
漢検1級
部首:⾔
16画
“諧謔”で始まる語句
諧謔味
諧謔的
諧謔交
諧謔好
諧謔心
諧謔曲
諧謔歌
諧謔漢
諧謔趣味