訪問はうもん)” の例文
宗助そうすけにも御米およねにもおもけないほどたまきやくなので、二人ふたりともなにようがあつての訪問はうもんだらうとすゐしたが、はたして小六ころくくわんするけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ハヾトフは折々をり/\病氣びやうき同僚どうれう訪問はうもんするのは、自分じぶん義務ぎむるかのやうに、かれところ蒼蠅うるさる。かれはハヾトフがいやでならぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何故なぜ雪枝ゆきえ他人たにん訪問はうもんたやうな心持こゝろもちつて、うつかり框際かまちぎは広土間ひろどま突立つゝたつてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かれはそのあね訪問はうもんによつて、その身柄みがら教養けうやう程度ていどを、ほゞ推察すゐさつすることが出来できた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
口惜くちをしげに相手あひてにらみしこともありしがそれは無心むしんむかしなり性來せいらい虚弱きよじやくとて假初かりそめ風邪ふうじやにも十日とをか廿日はつか新田につた訪問はうもんおこたれば彼處かしこにもまた一人ひとり病人びやうにん心配しんぱい食事しよくじすゝまず稽古けいこごとにきもせぬとか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
或日あるひ郵便局長いうびんきよくちやうミハイル、アウエリヤヌヰチは、中食後ちゆうじきごにアンドレイ、エヒミチのところ訪問はうもんした。アンドレイ、エヒミチは猶且やはりれい長椅子ながいすうへ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かれ直接ちよくせつちゝ紹介せうかいた。ちゝとほして間接かんせつその知人ちじん紹介せうかいた。さうして自分じぶん將來しやうらい影響えいきやうやうひと物色ぶつしよくして、二三の訪問はうもんこゝろみた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今日けふのやうな天候てんこうは、べつしてもあたま差響さしひゞく。わたしくのも可厭いやひとられるのも、ひと訪問はうもんするのも臆劫おつくうつたかたちで——それならてゞもゐるかとおもふと、矢張やつぱりきて、つくゑすわつてゐる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その日曜にちえうかれまた安井やすゐふた。それは二人ふたり關係くわんけいしてゐるあるくわいつい用事ようじおこつたためで、をんなとはまつた縁故えんこのない動機どうきから淡泊たんぱく訪問はうもんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
で、ハヾトフは訪問はうもんをするたびに、屹度きつとブローミウム加里カリはひつたびんと、大黄だいおう丸藥ぐわんやくとをつてる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)