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融通
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ゆうづう
ふりがな文庫
“
融通
(
ゆうづう
)” の例文
「旦那、まだありますよ、——身上を潰してしまつた研屋五兵衞に、三千五百兩といふ大金を
融通
(
ゆうづう
)
したのは、ありや、何の爲でした」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、月
給
(
きふ
)
の上る
見込
(
みこ
)
みもなかつたし、ボオナスも
減
(
へ
)
るばかりの上に、
質屋
(
しちや
)
や
近
(
ちか
)
しい友
達
(
だち
)
からの
融通
(
ゆうづう
)
もさうさうきりなしとは
行
(
ゆ
)
かなかつた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
拱
(
こまね
)
ぎて居たりしが彼浪人め一
文貰
(
もんもらひ
)
の身分にて
僅
(
わづか
)
二三日の中に十三兩と云金子の出來樣
筈
(
はず
)
なし
融通
(
ゆうづう
)
せし金なりと云とも
奚
(
なん
)
ぞ袖乞に十兩からの金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
きかねど
晦日
(
みそか
)
に
月
(
つき
)
の
出
(
で
)
る
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
十五夜
(
じふごや
)
の
闇
(
やみ
)
もなくてやは
奧
(
おく
)
は
朦朧
(
もうろう
)
のいかなる
手段
(
しゆだん
)
ありしか
新田
(
につた
)
が
畫策
(
くわくさく
)
極
(
きは
)
めて
妙
(
めう
)
にしていさゝかの
融通
(
ゆうづう
)
もならず
示談
(
じだん
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父
(
ちゝ
)
の
亡
(
な
)
くなつた
此際
(
このさい
)
にも、
叔父
(
をぢ
)
の
都合
(
つがふ
)
は
元
(
もと
)
と
餘
(
あま
)
り
變
(
かは
)
つてゐない
樣子
(
やうす
)
であつたが、
生前
(
せいぜん
)
の
義理
(
ぎり
)
もあるし、
又
(
また
)
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
男
(
をとこ
)
の
常
(
つね
)
として、いざと
云
(
い
)
ふ
場合
(
ばあひ
)
には
比較的
(
ひかくてき
)
融通
(
ゆうづう
)
の
付
(
つ
)
くものと
見
(
み
)
えて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
伝道なども少こし
融通
(
ゆうづう
)
の
利
(
き
)
くやうに頼みますよ、今も言ふ通り梅子の結婚談で心配して居るんだが、信仰が
如何
(
どう
)
の、品行が如何のと、
頑固
(
ぐわんこ
)
なことばかり言うて困らせ切つて仕舞ふのだ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
大島さんがこれに
相槌
(
あいづち
)
をうった。各小学校の評判や
年功加俸
(
ねんこうかほう
)
の話などが出る。郡視学の
融通
(
ゆうづう
)
のきかない失策談が一座を笑わせた。けれど清三にとっては、これらの物語は耳にも心にも遠かった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
箱に入れたようにして、その
間
(
あいだ
)
に少しも
融通
(
ゆうづう
)
があられない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
佐原屋の
身上
(
しんしやう
)
がどうなつて居るか、
現金
(
かね
)
の
融通
(
ゆうづう
)
、材木、山元との取引など、仲間に
訊
(
き
)
いたら判るだらう。出來るだけ
詳
(
くは
)
しく調べてくれ。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
我
(
わ
)
が
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
に一
錢
(
せん
)
の
融通
(
ゆうづう
)
も
叶
(
かな
)
ふまじく、いはゞ
寳
(
たから
)
の
藏
(
くら
)
の
番人
(
ばんにん
)
にて
終
(
おは
)
るべき
身
(
み
)
の、
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
らぬ
妻
(
つま
)
までとは
彌〻
(
いよ/\
)
の
重荷
(
おもに
)
なり、うき
世
(
よ
)
に
義理
(
ぎり
)
といふ
柵
(
しがら
)
みのなくば
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
入れんと云に四郎右衞門書付には及び申さず御同商賣の事故
互
(
たが
)
ひに
融通
(
ゆうづう
)
は致す
筈
(
はず
)
なりと眞實面に顯れければ三郎兵衞は
誠
(
まこと
)
に
忝
(
かたじ
)
けなしと厚く禮を述て歸らんとするを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
青木さん
夫婦
(
ふうふ
)
は
僅
(
わづ
)
かな金の
融通
(
ゆうづう
)
のために
仕方
(
しかた
)
なく
手離
(
てはな
)
したのであつたが、それが
間
(
ま
)
もなく五
等
(
とう
)
百円のくじにあたつた
事
(
こと
)
は
無論
(
むろん
)
知
(
し
)
るはずもなかつた。—一四・四・一八—
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
「そりや、あの
時
(
とき
)
、
宗
(
そう
)
さんが
若干
(
いくら
)
か
置
(
お
)
いて
行
(
い
)
きなすつた
事
(
こと
)
は、
行
(
い
)
きなすつたが、
夫
(
それ
)
はもう
有
(
あ
)
りやしないよ。
叔父
(
をぢ
)
さんの
未
(
ま
)
だ
生
(
い
)
きて
御出
(
おいで
)
の
時分
(
じぶん
)
から、
御前
(
おまへ
)
の
學資
(
がくし
)
は
融通
(
ゆうづう
)
して
來
(
き
)
たんだから」と
答
(
こた
)
へた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私に五十兩の金を貸して下すつた方も、私の口の固いのを見込み、私の大難を見るに見兼ねて、主人の金を
融通
(
ゆうづう
)
してくれたのでございます
銭形平次捕物控:269 小判の瓶
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
拭
(
ふき
)
つゝ
咄
(
はな
)
しかくれば長庵は
態
(
わざ
)
と目を
拭
(
ぬぐ
)
ひ涙に聲を
曇
(
くも
)
らせて
貧
(
ひん
)
の病は是非もなし世の
成行
(
なりゆき
)
と
斷念
(
あきら
)
めよ我とては
貯
(
たくは
)
へ金は有ざれども
融通
(
ゆうづう
)
さへ成事なら
用立
(
ようだつ
)
て
遣度
(
やりたし
)
と手紙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「番頭の七兵衞が、うんと溜め込んでゐるといふ話だ。家も二三軒持つてゐるし、自分の名義で諸方に
融通
(
ゆうづう
)
して居る金も二三千兩はあるだらうといふことだ」
銭形平次捕物控:212 妹の扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ツイ父親に
内證
(
ないしよ
)
で五百兩といふ大金を染五郎の一存で
融通
(
ゆうづう
)
したことなどが知れた爲だと言はれて居ります。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
入れ過ぎて、菊屋さんから、二年越し
融通
(
ゆうづう
)
して頂きました。
他樣
(
よそさま
)
よりは利息も安く廻して下すつたのに、無盡で五十兩といふ金が入つたのを、默つては居られません
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
松前樣のお金を
融通
(
ゆうづう
)
して、一代に萬といふ金を拵へたが、主人三郎兵衞は女房のお駒と、小さい娘のお君を遺して五年前に病死——それにも變な噂がありますが、兎も角も
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その金を内々で八分に
融通
(
ゆうづう
)
してゐるが、半分は踏み倒されるといふから、あまり利口な人間ぢやありませんね。せつせと稼いで溜めた金は、三文無くしても惜しいわけだが」
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何んかの
手蔓
(
てづる
)
で田原屋から千と
纒
(
まとま
)
つた大金を
融通
(
ゆうづう
)
してもらひ、それで漸く家業は立ち直つたが、その恩があるから、田原屋の言ふことなら、どんな無理なことでも
否
(
いや
)
とは言へない
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
融通
(
ゆうづう
)
のきかねえ野郎だ、兎も角、今のうちから心掛けて、カラ
咳
(
せき
)
でもして居るが宜い」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
菊屋から
融通
(
ゆうづう
)
さして居るんだとも言ひますがね、——そんな
内證事
(
ないしよごと
)
まではわかりませんよ
銭形平次捕物控:166 花見の果て
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「幸ひ石川樣が
融通
(
ゆうづう
)
して下すつて研屋の身上を建て直したやうなわけでございます」
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なんにも御座いません。金も少しは
融通
(
ゆうづう
)
して居りますし、土地も家も人樣に貸して居りますが、無理な取立てはいたしません。縁談もまだ決つた口がないので、心配して居ります」
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから一番いけないのは、店の金を三百兩ほど持出して、私にも相談をせずに、實家の仕事に
融通
(
ゆうづう
)
してしまひ、その仕事も
縮尻
(
しくじ
)
つてしまつて、取り返す
當
(
あ
)
ても無くなつてしまひました。
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三千石の大身ですが、無役の呑氣さで、渡り中間の半次が長い間住み付いて、庭も
掃
(
は
)
けば、使ひ走りもし、主人の供もすれば、若樣の道樂指南番もやると言つた、申し分なく
融通
(
ゆうづう
)
のきく男です。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先刻藤井樣が直々御見えになつて、金は二日前に入用であつた、散々待つたが屆けてくれなかつたので、他から
融通
(
ゆうづう
)
して用事は濟んだ。株賣買のことはこれで打切るやうにとのお言葉で御座いました
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
融
常用漢字
中学
部首:⾍
16画
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“融通”で始まる語句
融通性
融通等
融通変化
融通無碍
融通無礙
融通黙会