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蝟集
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いしゅう
ふりがな文庫
“
蝟集
(
いしゅう
)” の例文
しかし、しばらくすると、一方の争闘が止んで、捕手の影が一団に
蝟集
(
いしゅう
)
したので、それが千束の稲吉を囲んでいたのだと知れました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雑誌を持っていてその誌上を割き与えることの出来る作家の周囲には今後も益々文学志望者がその習作と共に
蝟集
(
いしゅう
)
するであろうと思う。
今日の文学の鳥瞰図
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
物見
(
ものみ
)
高くも東洋人の周囲に
蝟集
(
いしゅう
)
し、無人島探険にゆくつもりであるか、とか、支那の戦争はまだやみませぬか、とか、口々にたずね始めた。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或新時代の評論家は「
蝟集
(
いしゅう
)
する」と云う意味に「門前
雀羅
(
じゃくら
)
を張る」の成語を用いた。「門前雀羅を張る」の成語は支那人の作ったものである。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もはや動かないその彼女に、勤勉な真黒い昆虫たちが
蝟集
(
いしゅう
)
している。……かわいそうに、と私は口の中でいった。が、それも止むをえないことだ。
非情な男
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
▼ もっと見る
そこから私は彼女を連れて、白首女の
蝟集
(
いしゅう
)
する裏町へ行って、チョップ・ハウスのサルーンで、一夜そこの踊子たちの仲間入を彼女にさせました。
大阪万華鏡
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
係官は、博士の死体のまわりに
蝟集
(
いしゅう
)
した。実に見るも無惨な死にざまであった。顔面はグシャグシャに押し潰され、人相どころの騒ぎではなかった。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大人達のチャセゴは、軒々を一軒ごとに廻るのではなく、部落内の、または隣部落の地主とか
素封家
(
そほうか
)
とかの
歳祝
(
としいわ
)
いの家を目がけて
蝟集
(
いしゅう
)
するのであった。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼らの旗幟の下に自ら望める追随者を
蝟集
(
いしゅう
)
せしめた原因は、しばしば全く看過されている、という事実である。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
刻々に大きくなってゆく黙々たる軍隊の
蝟集
(
いしゅう
)
など、すべて暴動の周囲を徐々にとり囲み引き締めてゆく恐るべき帯が、上からはっきり見て取られただろう。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
借款全盛の支那の将来は果して
如何
(
いかん
)
。経済上大なる利益の声のある所には、欧米の資本家は
忽
(
たちま
)
ち
蝟集
(
いしゅう
)
する。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
屋敷の門の前に
蝟集
(
いしゅう
)
していた農民共が、見迎え見送りながら、一斉に
歓呼
(
かんこ
)
の声を浴びせかけました。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
灯を消して
蝟集
(
いしゅう
)
しているモーターボートの首を連ねて、鎖で縛られた桟橋の黒い足が並んでいた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
またそのガスの中から光を慕って
蝟集
(
いしゅう
)
するおびただしい渡り鳥の大群などによって、偶然にも作られた明暗であり、それがまた尾をつけ
鰭
(
ひれ
)
をつけて疑心暗鬼を生むのであろう
灯台鬼
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
況
(
いわ
)
んやその命を捧げた
乾児
(
こぶん
)
どもが、先生とか、親分とかいって
蝟集
(
いしゅう
)
して、たより
縋
(
すが
)
って来るに於てをやである。浪人生活の悩みは実に
繋
(
かか
)
ってこの一点に存すると云っても過言でない。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だから自分は、度を知らず
蝟集
(
いしゅう
)
し
来
(
きた
)
り、大火に対してなんの防備もないあの厖大な都市を築いていった人々の愚をわらうことはできぬ。しかし今はその愚を
嗤
(
わら
)
う嗤わぬが重大なのではない。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
春吉君は意味もなくねんどをひねりながら、いきをのんて、
面
(
おもて
)
をふせた。みんなの視線が、ちょうどいつも石太郎の上に
蝟集
(
いしゅう
)
するように、きょうは、じぶんにそそがれているのだと思いながら。
屁
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
そのような極北の情慾は、
謂
(
い
)
わばあの虚無ではないのか。しかもニヒルには、浅いも深いも無い。それは、きまっている。浅いものである。さちよの周囲には、ずいぶんたくさんの男が
蝟集
(
いしゅう
)
した。
火の鳥
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ここには避難者がぞくぞく
蝟集
(
いしゅう
)
していた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それらの人影も、
師走
(
しわす
)
らしく、たちまち
蝟集
(
いしゅう
)
して、たちまち散った。あとには、路傍の枯れ柳と、大岡市十郎だけが残っていた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
河岸
(
かし
)
ぶちの博士邸をめぐって、どこから集ったのか弥次馬が
蝟集
(
いしゅう
)
していた。彼等の
重
(
かさな
)
りあった背中を分けてゆくのにひと苦労をしなければならなかった。
人造人間事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今その門を経て次の生活期に移ろうとする時、伸子の魂を満す、この苦しい、この輝いた、追想の
蝟集
(
いしゅう
)
を、何と母に告げよう。そしてまた、伸子は涙のすきに思うのであった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
卓
(
テーブル
)
の周囲に
蝟集
(
いしゅう
)
する面々は、いかなる次第に属するのか、みな一様に切迫した面持をし、手帳に数字を書き込み、何やら計算し、忙しくささやきかわし、はなはだしきは額に玉の汗をうかべ
ノンシャラン道中記:04 南風吹かば ――モンテ・カルロの巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
がそれは一種の猶予にすぎなかった。それらの勇士のまわりには、幻影の
蝟集
(
いしゅう
)
するがごとく、騎馬の兵士の影像、大砲の黒い半面、車輪や砲架を透かして見える白い空などが取り巻いていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこからいっさいの悪臭ある流風が素朴質実なる地方に伝染した。大火の惨害の原因を
辿
(
たど
)
れば、結局はかくのごとく一か所に
蝟集
(
いしゅう
)
してかくのごとき都会を築造した人間の愚に突き当たるであろう。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
やがて、時刻となると、公卿百官は、宴に
蝟集
(
いしゅう
)
した。すると、酒もたけなわの頃、どこからか、
呂布
(
りょふ
)
があわただしく帰って来て
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大隅学士は、額から
脂汗
(
あぶらあせ
)
を流しながら、
室
(
へや
)
の中央に
蝟集
(
いしゅう
)
している白幽霊の一団の前に進みいでた。彼はこわごわ彼等の様子を観察した。彼等はまるで
白寒天
(
しろかんてん
)
のように半透明であった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大講堂には、もう、人が
蝟集
(
いしゅう
)
していた。明日、
担
(
かつ
)
いで下山するばかりに用意のできている三社の
神輿
(
みこし
)
は飾られてあった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
射墜
(
うちおと
)
された敵機の周囲には、激しい
怒
(
いかり
)
に燃えあがった市民が
蝟集
(
いしゅう
)
して、プロペラを折り、
機翼
(
きよく
)
を裂き、それにも
慊
(
あきた
)
らず、機の
下敷
(
したじき
)
になっている
搭乗将校
(
とうじょうしょうこう
)
の死体を引張りだすと、ワッと
喚
(
わめ
)
いて
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ゆうべから徹夜で土をかついでいた人夫も、いま交代して、堤の土盛りにかかり出していた人夫も、すべてその組々の親方に従って、一ヵ所に
蝟集
(
いしゅう
)
した。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより見るにまかせてあるので、市民は朝から夕べまで
蝟集
(
いしゅう
)
した。それだけで充分このことの政治性はあった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幾つもの赤い火が
蝟集
(
いしゅう
)
して、一疋の
百足虫
(
むかで
)
のような形を作りながら、山と山の間を縫って来るものとおぼえます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、伝え合うと、諸方にかくれていた敗軍の蛮将蛮卒は、たちまち
蝟集
(
いしゅう
)
して彼をとり巻いた。そして口々に
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それまでは
屯々
(
たむろたむろ
)
に、ただ
蝟集
(
いしゅう
)
していたに過ぎない全兵員が、忽ち草を蹴って立ち、列伍を正し、おおよそ三段にわかれて、
旌旗粛然
(
せいきしゅくぜん
)
と勢揃いの
態
(
てい
)
をととのえた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またその辺りから一帯の街道、平野、部落へかけて、
麾下
(
きか
)
諸侯の
幡旗
(
ばんき
)
や、各隊のつわものの
指物
(
さしもの
)
が、霞むばかり
蝟集
(
いしゅう
)
して、
宛然
(
えんぜん
)
、
戦捷式
(
せんしょうしき
)
かのごとき盛観を呈した。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼のいちばんお
花客
(
とくい
)
先は、横浜の
船渠
(
ドック
)
会社であった。まだ菜っ葉いろの職工さえその門に見えないうちに、全市のかんかん虫は煙のように高い煉瓦塀の下に
蝟集
(
いしゅう
)
する。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこの宿屋にも公平に内風呂というものはないので、その
井
(
い
)
の字なりの町のまんなかにある三
棟
(
むね
)
の大湯へ、四方の
旅籠
(
はたご
)
のお客様がみな
手拭
(
てぬぐい
)
をブラ下げて
蝟集
(
いしゅう
)
していた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに六万五千人の人間が、地上に一
個
(
こ
)
の
建築
(
けんちく
)
をもりあげるため、
蟻
(
あり
)
のごとく
土木
(
どぼく
)
に
蝟集
(
いしゅう
)
している。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、おごそかに、
草門
(
そうもん
)
を開いて、病人を救いに出たが、その時もう、彼の門前には、五百人の者が、弟子にしてくれといって、
蝟集
(
いしゅう
)
してぬかずいていたということである。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸国の
輩
(
やから
)
は、みな宮の挑戦を怒って、いつとなく六波羅に
蝟集
(
いしゅう
)
し、
必定
(
ひつじょう
)
、禁裡のお方も宮の同腹ぞと申し合せ、不穏の気を
研
(
と
)
いでおりますため、尊氏自身、かくては一大事と
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、たちまちこの仕事場へ人力が
蝟集
(
いしゅう
)
してきた理由の第一はその効果だといってよい。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御猟
(
みかり
)
の供は十万余騎と
称
(
とな
)
えられた。騎馬歩卒などの大列は、
蜿蜒
(
えんえん
)
、宮門から洛内をつらぬき、群星地を流れ、
彩雲
(
さいうん
)
陽
(
ひ
)
をめぐって、街々には貴賤老幼が、
蒸
(
む
)
されるばかりに
蝟集
(
いしゅう
)
していた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが一国一城の
主
(
あるじ
)
とか、一方の将とかになって、
重責
(
じゅうせき
)
を感じ、自重を怠らないでいるときは、各〻、しかるべき人柄を保っているが、酒に
蝟集
(
いしゅう
)
して、座興放談に
耽
(
ふけ
)
りなどしていると
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老爺
(
おやじ
)
の指さすほうを見ると、この空地のうちでは最も大きな矢来が一つ見える。
幻術者
(
げんじゅつしゃ
)
の群れが興行しているのだという。見物は、木戸口に
蝟集
(
いしゅう
)
していた。又八が近づいて行ってみると
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
年賀の客は、去年より倍加して、春の装いも新たなる大坂城門に、
蝟集
(
いしゅう
)
した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人招きをしているらしく、
蝟集
(
いしゅう
)
する顕官の
輦
(
くるま
)
から、眼もあやなばかり、
黄金
(
こがね
)
の太刀や、むらさきの
大口袴
(
おおぐち
)
や、ぴかぴかする
沓
(
くつ
)
や、ろうやかな麗人がこぼれて薔薇園の
苑
(
にわ
)
と亭にあふれているのが
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ここ大宝郷へ、
蝟集
(
いしゅう
)
して、
肩摩轂撃
(
けんまこくげき
)
の人波をその日には見せた。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新興
難波
(
なにわ
)
の大坂は、一夜明ければ明くるごとに、隆々たる旭昇の勢いをもって、人心と物資を
蝟集
(
いしゅう
)
せしめつつあるに反し、ここ東海浜松を中心とする
駿遠甲信
(
すんえんこうしん
)
に
跨
(
また
)
がる一団の雷雲は、むしろ
晦冥濛々
(
かいめいもうもう
)
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三江をさかのぼること七、八十里、大小の兵船は
蝟集
(
いしゅう
)
していた。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“蝟集”の意味
《名詞》
蝟 集(いしゅう)
一箇所に多くのものが集まること。
(出典:Wiktionary)
蝟
漢検1級
部首:⾍
15画
集
常用漢字
小3
部首:⾫
12画
“蝟”で始まる語句
蝟
蝟毛