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臨終
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いまわ
ふりがな文庫
“
臨終
(
いまわ
)” の例文
……殿には、御縁あってかく御厚遇をうけましたが、
顧
(
かえり
)
みるに、何の御奉公も仕らず、ただそれのみが、
臨終
(
いまわ
)
の心のこりにござります
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汝
(
われ
)
がに
只
(
たっ
)
だ一言
臨終
(
いまわ
)
に言い残す事があるから
此処
(
こけ
)
え呼んだんだが、おかめも
此処
(
こけ
)
え
来
(
こ
)
う、多助も
此処
(
こけ
)
え
来
(
こ
)
う、おえいも五八も皆呼んでくれ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
るに御身は殊の外
彼
(
か
)
の人を忌嫌い候様子、拙者の眼に相見え候えば、
女
(
むすめ
)
ながらも
其由
(
そのよし
)
のいい聞け難くて、
臨終
(
いまわ
)
の際まで黙し候
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に、兼てより
懇意
(
こころやすく
)
せし、裏の
牧場
(
まきば
)
に飼はれたる、
牡丹
(
ぼたん
)
といふ
牝牛
(
めうし
)
をば、わが枕
辺
(
べ
)
に
乞
(
こ
)
ひよせ。苦しき息を
喘
(
ほっ
)
ト
吻
(
つ
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
子としての道を歩もうとすれば、母親の
臨終
(
いまわ
)
の
妄執
(
もうしゅう
)
を未来
永劫
(
えいごう
)
解
(
と
)
くことが出来ず、浮かばれぬ母親の亡魂をいつまでも地獄へ落として置かねばならぬ
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
人間の
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
というものはこういう具合に消えて行くものであろうかというような感覚が起って来たです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
いや、ことによったら、それは九十になる老人の
臨終
(
いまわ
)
のきわのうわごとかもしれない。幻想かもしれない。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この刀は、祖父から伝来のもので、父
臨終
(
いまわ
)
のきわにこれを汝に譲るぞ、この刀をば父と思って殿に忠勤を励めと、くれぐれも申し聞けられました景光にござります。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
というのがその
臨終
(
いまわ
)
の言葉でありました。そのほかには何らの遺言とてもありませぬ。真に独逸武人らしく立派なる最期であったことを御満足あられますよう願い上げます。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
舌を
噛
(
かん
)
での狂い死にの、その
臨終
(
いまわ
)
の一
刹那
(
せつな
)
とも知らず、抱きしめの激しさに、
形相
(
ぎょうそう
)
の怖ろしさに、ぐいぐいと締めつける、骨だらけの
腕
(
かいな
)
の中から、すり抜けて思わず壁ぎわまで
遁
(
に
)
げ出し
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そして細君の
臨終
(
いまわ
)
の言葉をそのまま実行しようと決心した。
謎の咬傷
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
最終
(
いまわ
)
の遊宴……最終の呼吸……糸の
如
(
ごと
)
き
臨終
(
いまわ
)
の
喘咽
(
あえぎ
)
。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
……もうわが身などにかまわず、少しも早く和子のお身をこの重囲の外へ扶け出して下さい。それが頼みです。
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
のおねがいです
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
臨終
(
いまわ
)
にお父様が仰せられた——渡すな、文書を、懐中の文書を! ——どのような文書があるのやら」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これも
縡切
(
ことぎ
)
れたか、自業自得とは云いながら
二人
(
ににん
)
の
舟人
(
ふなびと
)
に
死別
(
しにわか
)
れ、
何処
(
どこ
)
とも知れぬ海中に櫓櫂もなく、
一人
(
ひとり
)
にて取残されしは
何
(
なん
)
たる不運ぞ、今この吉藏が
臨終
(
いまわ
)
の
一言
(
いちごん
)
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すなわち別室で老エフィゲニウスから、姫の
臨終
(
いまわ
)
の頼みを伝えられたからに他なりません。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
角に掛け牙に裂き、思ひのままに
憂苦
(
うきめ
)
を見せん。もしまたいはば一思ひに、息の根止めて楽に死なさん。とても逃れぬ命なれば、
臨終
(
いまわ
)
の爾が一言にて、地獄にも落ち極楽にも往かん。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
逢うが別れの
今世
(
こんじょう
)
に、
臨終
(
いまわ
)
のなごりを
惜
(
おし
)
むため、
華燭
(
かしょく
)
銀燈輝いて、見返る空に月のごとき、若竹座を忍んで出た、
慈善市
(
バザア
)
の光を思うにつけても、横町の後暗さは
冥土
(
よみじ
)
にも
増
(
まさ
)
るのみか。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とうとうその晩は、お咲のことや、安南絵の壺のことや、
亡父
(
ちち
)
の
臨終
(
いまわ
)
のことなどを考え出してマンジリとも眠れなかった。
醤油仏
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
角右衞門殿が
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に何にもいう事はねえが、
己
(
おら
)
ア
家
(
うち
)
の相続人は多助と
定
(
さだま
)
っている、
此度
(
こんど
)
は
己
(
おら
)
ア死病と定って居るから、
一言
(
いちごん
)
云わねえければならねえと云うものは
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兄さん、兄様、ただ一言謀反やめると云うてくださらぬか! このまま死んでは
妄執
(
もうしゅう
)
残り、
臨終
(
いまわ
)
の妄執は五百生、生き代わり死に代わり未来
永劫
(
えいごう
)
浮かぶせないと申します。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そう言って、幾たびも、近常さんは
臨終
(
いまわ
)
の際に、お年よりをはじめ、気を許した人たちに、夢
現
(
うつつ
)
のように……あの霜の
尖
(
とが
)
ったような顔にも、
莞爾
(
にっこり
)
してはお話しなすったそうですがね——
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同送三巻の巻物がそれであり、
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
にも、念頭を去らざりし紙草というのもすなわちそれでありますが、中尉の病勢昂進のため、わずかに当地上陸の記述のみにて、筆が絶たれております。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と、結ばれた天縁に対して、大きなよろこびと、そして
臨終
(
いまわ
)
の間際までも、
確乎
(
しっか
)
とした生きがいを感じているのであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父様が
血統
(
ちすじ
)
の
従兄弟
(
いとこ
)
同志ゆえ夫婦にしたら睦ましかろう、
此様
(
こん
)
な芽出てい事はねえって、死ぬる
臨終
(
いまわ
)
に枕元でおえいと婚礼の盃をしたに、
貴方
(
あんた
)
は死んだ父様のお遺言を忘れ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の実の父も母も飯田の城下に
健
(
すこや
)
かに
現在
(
ただいま
)
も
生活
(
くら
)
しておりますものを、
臨終
(
いまわ
)
の妄執だの亡魂だのと、
埒
(
らち
)
もないことを
仰
(
おお
)
せられる。お
戯
(
たわむ
)
れも事によれ、
程度
(
ほど
)
を過ごせば無礼ともなる。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
酒井俊蔵ただ一人、
臨終
(
いまわ
)
のお蔦の枕許に、親しく顔を差寄せた。次の間には……
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
死者の所持していた唯一の戸籍証明である「印可目録」は自分が彼の
臨終
(
いまわ
)
の一言によって預かって来ているので、後で、調べのつこうわけはない。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縲絏
(
なわめ
)
に掛っては、只今は
廃刀
(
はいとう
)
の世なれども是まで捨てぬ刀の手前、
申訳
(
もうしわけ
)
のため切腹しました、
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に重二郎殿、清次殿御両人に頼み置きたき事がござる、悪人の丈助ゆえ
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
臨終
(
いまわ
)
にお父様がおっしゃいました。『渡すな! 文書を! 頼んだぞよ!』と」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
けれどこの怪力の武者修行が
臨終
(
いまわ
)
の一念は、自分へ
憑
(
つ
)
き物のようについていて
違
(
たが
)
えることのできない約束の負担を負わされたような気持がしてならない。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小「誠に何うも思い掛けないことで、これは実父が突落される
臨終
(
いまわ
)
の一念で放さずに居たものと見える、あゝ天命は
遁
(
のが
)
れ難いもので、これは分りました……ウーム
彼奴
(
あいつ
)
の
所為
(
しわざ
)
であろう」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
臨終
(
いまわ
)
の
妄執
(
もうしゅう
)
五百生
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
すると、菰の十郎は、びくっと眼を開いたが、小次郎の訊ねたこととも、この場合の事件とも、まったく関聯のないことを、
臨終
(
いまわ
)
の息で、泣くように呟いた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の
後
(
ご
)
左膳も病に
臥
(
ふ
)
し、死する
臨終
(
いまわ
)
に
我
(
われ
)
を枕元に招き、
我
(
わ
)
が
亡
(
な
)
き跡にて此の孫を其の
方
(
ほう
)
の娘となし、成長の
後
(
のち
)
身柄
(
みがら
)
ある
家
(
いえ
)
へ
縁付
(
えんづ
)
けくれ、頼む、と
我師
(
わがし
)
の
遺言
(
ゆいごん
)
、それよりいさを養女となせしが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人間が
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
まで、抱きしめていられるような剣の道が立つとしたら——その道をもって、世を治めることはできないか、民を安んぜしめることは不可能か。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
文「これ、吉とやら
宜
(
よ
)
く聞けよ、生前に
何
(
ど
)
の様な悪事を働いても、
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に其の罪を懺悔すれば、慈悲深き神様は
其方
(
そち
)
の未来を加護し給うぞ、さらりと悪心を去って静かに命数の
尽
(
つき
)
るを待て」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、ひたすら急いで来たのであったが、女の脚ではあり、
物騒
(
ぶっそう
)
な戦地に近づくほど、道も思うまま
捗
(
はかど
)
らず、とうとう兄の
臨終
(
いまわ
)
には間にあわなかったものであった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と手負いに水を与えてはならぬと申す事は
素
(
もと
)
より心得て居りまするが、伯父は心ある者で、もう
迚
(
とて
)
も助からぬから、
臨終
(
いまわ
)
の別れと水を飲ませるのが此の世の別れ、おやまはそれなり息が絶えました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
江戸の
日
(
ひ
)
ヶ
窪
(
くぼ
)
から柳生までの間の長い旅路に——また、祖父の石舟斎が
臨終
(
いまわ
)
のきわまで
枕辺
(
まくらべ
)
について世話してくれた間にも——兵庫はお通の性質を見とどけていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが惜しい……それが女や酒のために曇っているのが惜しゅうて殺されぬ。兄の血潮でその曇りを拭いてくれ、いいか、いいか、
臨終
(
いまわ
)
のきわに一言誓いを立ててくれ……
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の指して行く道を
瞭
(
あきら
)
かに思い決したぞ!
臨終
(
いまわ
)
のきわによう聞いてゆけ! そちの頼みはたしかにこのほうがひき受けた! 必ずお千絵どのの今の
境界
(
きょうがい
)
、骨身にかけて救ってとらす。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「私も、別に休みたい訳じゃないけれど、お父っさんが
臨終
(
いまわ
)
にまで、アア言い
遺
(
のこ
)
して行ったこの紙包みに、何か、深い仔細があるような気がするので、早く開けてみたいと思ってね……」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……だが。……だが叔父御には、わしの父
下野守光綱
(
しもつけのかみみつつな
)
が
臨終
(
いまわ
)
の折に、幼いわしを、どうぞ頼むぞと、叔父御へお
託
(
たく
)
しになった——その責任感が、いっぱいにあったのだ。お忘れになれなかったのだ」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“臨終”の解説
臨終(りんじゅう)とは、人が死を迎える直前の時期をいう。臨命終時(りんみょうしゅうじ)の略語。古来、この危機的な時期を巡って、死の受入れと死の看取りに関する様々な慣習と文化が生み出されてきた。
(出典:Wikipedia)
臨
常用漢字
小6
部首:⾂
18画
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“臨終”で始まる語句
臨終正念
臨終引導生極楽