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臂
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ひぢ
ふりがな文庫
“
臂
(
ひぢ
)” の例文
さて、奧樣は、眞白な左の腕を見せて、長火鉢の
縁
(
ふち
)
に
臂
(
ひぢ
)
を突き乍ら、お定のために明日からの日課となるべき事を細々と説くのであつた。
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
媼は痩せたる
臂
(
ひぢ
)
さし伸べて、洞門を
掩
(
おほ
)
へる
蔦蘿
(
つたかづら
)
の
帳
(
とばり
)
の如くなるを推し開くに、
外面
(
とのも
)
は暗夜なりき。濕りたる濃き霧は四方の山岳を
繞
(
めぐ
)
れり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼の
臂
(
ひぢ
)
を支へるやうに、彼女はそつと手を差出した。二人が改札口へさしかかると、何処かで、パンパン……パンと物がはじけるやうな音がした。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
と見れば、白い
臂
(
ひぢ
)
が窓に現はれて、ついで愛くるしい顔がのぞき、生々とした二つの眼を栗色の髪の波だつあひだから静かに輝やかせながら、臂杖をついた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
翁の書を読みもて行けば
恰
(
あたか
)
も翁に伴うて明治歴史の旅行を為すが如し、漢語まじりの難解文を作り
臂
(
ひぢ
)
を振つて威張りし愚人も、チョン
髷
(
まげ
)
を戴きて頑固な理屈を言ひ
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
▼ もっと見る
陽氣
(
やうき
)
さうに
見
(
み
)
えるもの、
賑
(
にぎや
)
かさうに
見
(
み
)
えるものが、
幾組
(
いくくみ
)
となく
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
り
過
(
す
)
ぎたが、その
中
(
なか
)
で
彼
(
かれ
)
の
臂
(
ひぢ
)
を
把
(
と
)
つて、
一所
(
いつしよ
)
に
引張
(
ひつぱつ
)
て
行
(
い
)
かうとするものは
一
(
ひと
)
つもなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
才は
拙
(
つたな
)
くして
零落
(
れいらく
)
せり、
槐葉
(
くわいえふ
)
前蹤
(
ぜんしよう
)
を
期
(
き
)
し難く、病重うして
栖遅
(
せいち
)
す、
柳枝
(
りうし
)
左の
臂
(
ひぢ
)
に
生
(
お
)
ふ
可
(
べ
)
し
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
廢
(
やめ
)
し故今は
何方
(
いづかた
)
に
住居
(
すまひ
)
仕つるや
存
(
ぞんじ
)
申さずと
答
(
こたへ
)
により其與市の疵は如何樣の大疵にて働き不自由になりたるぞと
云
(
いは
)
るれば海賊共
額
(
ひたひ
)
より口へかけ一ヶ所
小鬢先
(
こびんさき
)
より
目尻迄
(
めじりまで
)
二ヶ所左の
腕
(
うで
)
より
臂
(
ひぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
蒲「三たび
臂
(
ひぢ
)
を折つて良医となるさ。あれから僕は
竪杖
(
たてキュウ
)
の極意を悟つたのだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
色の白い、小柄な男は、
剳青
(
ほりもの
)
のある
臂
(
ひぢ
)
を延べて、親分へ
猪口
(
ちよく
)
を差しながら
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
呉起
(
ごき
)
其
(
そ
)
の
己
(
おのれ
)
を
謗
(
そし
)
りし
者
(
もの
)
三十
餘人
(
よにん
)
を
殺
(
ころ
)
して、
東
(
ひがし
)
、
衞
(
ゑい
)
の
(六五)
郭門
(
くわくもん
)
を
出
(
い
)
で、
其母
(
そのはは
)
と
訣
(
わか
)
る。((己ノ))
臂
(
ひぢ
)
を
齧
(
か
)
んで
盟
(
ちか
)
つて
曰
(
いは
)
く、「
起
(
き
)
、
卿相
(
けいしやう
)
と
爲
(
な
)
らずんば、
復
(
ま
)
た
衞
(
ゑい
)
に
入
(
い
)
らじ」と。
遂
(
つひ
)
に
曾子
(
そうし
)
に
事
(
つか
)
ふ。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
二人は Morois の
沢辺
(
さはべ
)
に出て、狩場を
遁
(
のが
)
れた獣のやうに、疲れて眠る。二人の体は
臂
(
ひぢ
)
の長さを隔てて地上に横はつてゐる。其真中には Morholm の
剣
(
つるぎ
)
が置いてあるのである。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
矢を
番
(
つが
)
へて、
臂
(
ひぢ
)
張り
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
伏葦
(
ふしあし
)
の
臂
(
ひぢ
)
のひかがみ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
褐
(
かち
)
色なる
方巾
(
はうきん
)
偏肩
(
へんけん
)
より垂れたるが、
巾
(
きれ
)
を
纏
(
まと
)
はざる
方
(
かた
)
の胸と
臂
(
ひぢ
)
とは悉く現はれたり。雙脚には何物をも着けざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
別当の手は
提
(
さ
)
げてゐた傘を殆ど無意識に投げて、八の
臂
(
ひぢ
)
を
攫
(
つか
)
まへた。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は
危
(
あやふ
)
きを
拯
(
すく
)
はんとする如く
犇
(
ひし
)
と宮に取着きて
匂滴
(
にほひこぼ
)
るる
頸元
(
えりもと
)
に
沸
(
に
)
ゆる涙を
濺
(
そそ
)
ぎつつ、
蘆
(
あし
)
の枯葉の風に
揉
(
もま
)
るるやうに身を
顫
(
ふるは
)
せり。宮も離れじと
抱緊
(
いだきし
)
めて
諸共
(
もろとも
)
に顫ひつつ、貫一が
臂
(
ひぢ
)
を
咬
(
か
)
みて
咽泣
(
むせびなき
)
に泣けり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
臂
(
ひぢ
)
の
痛
(
いた
)
み。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
友は
遽
(
にはか
)
に我
臂
(
ひぢ
)
を
把
(
と
)
りて、人にも聞ゆべき程なる聲していはく。アントニオよ。あれこそ例の少女なれ、飛び去りたる例の鳥なれ、その姿をば忘るべくもあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この
截
(
き
)
り開きたる引窻より光を取れる室にて、定りたる
業
(
わざ
)
なき
若人
(
わかうど
)
、多くもあらぬ金を人に借して己れは遊び暮す老人、取引所の業の隙を
偸
(
ぬす
)
みて足を休むる
商人
(
あきうど
)
などと
臂
(
ひぢ
)
を並べ、冷なる
石卓
(
いしづくゑ
)
の上にて
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
“臂(
肘
)”の解説
肘(ひじ、肱、臂)は、人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。脚における膝に対応する。狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。
(出典:Wikipedia)
臂
漢検1級
部首:⾁
17画
“臂”を含む語句
一臂
両臂
猿臂
臂力
長臂
片臂
六臂
半臂
三面六臂
左臂
肩臂
兩臂
腕臂
美香弊乃誉路臂
玉臂
臂掛
神臂
臂揺
臂枕
臂突
...