みまは)” の例文
ぼんやりしたうめえだをのばしてつてるやうだ。あたりをみまはすとまつくらで、とほくのはうで、ほう、ほうツて、ぶのはなんだらう。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
院長ゐんちやう不覺そゞろあはれにも、また不氣味ぶきみにもかんじて、猶太人ジウあといて、其禿頭そのはげあたまだの、あしくるぶしなどをみまはしながら、別室べつしつまでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
呼べどさけべど、宮は返らず、老婢は居らず、貫一は阿修羅あしゆらの如くいかりて起ちしが、又たふれぬ。仆れしを漸く起回おきかへりて、忙々いそがはし四下あたりみまはせど、はや宮の影は在らず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
わたしは四へんみまはした。かうした長い連続を積上げて行く一日一日のいかに平凡に、いかにをだやかであるかを思つた。日影は暑くなり出した。山には朝の薄いもやなびいて、複雑した影をひだごとにつくつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
『あゝつ、』といまはしさにはらつて、すはなほして其処等そこらみまはす、とそつ座敷ざしきのぞいた女中ぢよちゆうが、だまつて、スーツと障子しやうじめた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、やが立留たちとゞまつて室内しつない人々ひと/″\みまはして昂然かうぜんとしていまにもなに重大ぢゆうだいことはんとするやうな身構みがまへをする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
首を延べてみまはせども、目をみはりて眺むれども、声せしのちは黒き影の掻消かきけす如くせて、それかと思ひし木立の寂しげに動かず、波は悲き音を寄せて、一月十七日の月は白く愁ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
案山子かゝしみのは、みつつともぴしよ/\とおとするばかり、——なかにもにくかつたはあとからやつかさたを得意とくい容躰ようだい、もの/\しや左右さいうみまはしながら前途ゆくて蹌踉よろめく。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
からぬ口髭くちひげはやして、ちひさからぬ鼻に金縁きんぶち目鏡めがねはさみ、五紋いつつもん黒塩瀬くろしほぜの羽織に華紋織かもんおり小袖こそで裾長すそなが着做きなしたるが、六寸の七糸帯しちんおび金鏈子きんぐさりを垂れつつ、大様おほやうおもてを挙げて座中をみまはしたるかたち
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ねむうなつたのかい、もうおか、)といつたがすはなほつてがついたやうに四辺あたりみまはした。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四辺あたりみまはし、衣紋えもんなほして、雪枝ゆきえむかつて、背後向うしろむきに、双六巌すごろくいはに、はじめはこしける姿すがたえたが、つまはなして、ばんうへへ、すみれ鼓草たんぽゝこまけて、さいつてよこた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あれを、あゝ、あれあれ。)といつてきよろ/\と四辺あたりみまはす。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みまはしたがたれない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)