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眴
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みまは
ふりがな文庫
“
眴
(
みまは
)” の例文
ぼんやりした
梅
(
うめ
)
の
枝
(
えだ
)
が
手
(
て
)
をのばして
立
(
た
)
つてるやうだ。あたりを
眴
(
みまは
)
すと
真
(
まつ
)
くらで、
遠
(
とほ
)
くの
方
(
はう
)
で、ほう、ほうツて、
呼
(
よ
)
ぶのは
何
(
なん
)
だらう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
院長
(
ゐんちやう
)
は
不覺
(
そゞろ
)
に
哀
(
あは
)
れにも、
又
(
また
)
不氣味
(
ぶきみ
)
にも
感
(
かん
)
じて、
猶太人
(
ジウ
)
の
後
(
あと
)
に
尾
(
つ
)
いて、
其禿頭
(
そのはげあたま
)
だの、
足
(
あし
)
の
踝
(
くるぶし
)
などを
眴
(
みまは
)
しながら、
別室
(
べつしつ
)
まで
行
(
い
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
呼べど
号
(
さけ
)
べど、宮は返らず、老婢は居らず、貫一は
阿修羅
(
あしゆら
)
の如く
憤
(
いか
)
りて起ちしが、又
仆
(
たふ
)
れぬ。仆れしを漸く
起回
(
おきかへ
)
りて、
忙々
(
いそがはし
)
く
四下
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
せど、はや宮の影は在らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私
(
わたし
)
は四
辺
(
へん
)
を
眴
(
みまは
)
した。かうした長い連続を積上げて行く一日一日のいかに平凡に、いかに
穏
(
をだや
)
かであるかを思つた。日影は暑くなり出した。山には朝の薄い
靄
(
もや
)
が
靡
(
なび
)
いて、複雑した影を
襞
(
ひだ
)
ごとにつくつた。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『あゝつ、』と
忌
(
いま
)
はしさに
手
(
て
)
で
払
(
はら
)
つて、
坐
(
すは
)
り
直
(
なほ
)
して
其処等
(
そこら
)
を
眴
(
みまは
)
す、と
密
(
そつ
)
と
座敷
(
ざしき
)
を
覗
(
のぞ
)
いた
女中
(
ぢよちゆう
)
が、
黙
(
だま
)
つて、スーツと
障子
(
しやうじ
)
を
閉
(
し
)
めた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
と、
施
(
やが
)
て
立留
(
たちとゞま
)
つて
室内
(
しつない
)
の
人々
(
ひと/″\
)
を
眴
(
みまは
)
して
昂然
(
かうぜん
)
として
今
(
いま
)
にも
何
(
なに
)
か
重大
(
ぢゆうだい
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
はんとするやうな
身構
(
みがま
)
へをする。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
首を延べて
眴
(
みまは
)
せども、目を
瞪
(
みは
)
りて眺むれども、声せし
後
(
のち
)
は黒き影の
掻消
(
かきけ
)
す如く
失
(
う
)
せて、それかと思ひし木立の寂しげに動かず、波は悲き音を寄せて、一月十七日の月は白く愁ひぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
案山子
(
かゝし
)
の
簑
(
みの
)
は、
三
(
みつ
)
つともぴしよ/\と
音
(
おと
)
するばかり、——
中
(
なか
)
にも
憎
(
にく
)
かつたは
後
(
あと
)
から
行
(
ゆ
)
く
奴
(
やつ
)
、
笠
(
かさ
)
を
着
(
き
)
たを
得意
(
とくい
)
の
容躰
(
ようだい
)
、もの/\しや
左右
(
さいう
)
を
眴
(
みまは
)
しながら
前途
(
ゆくて
)
へ
蹌踉
(
よろめ
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
濃
(
こ
)
からぬ
口髭
(
くちひげ
)
を
生
(
はや
)
して、
小
(
ちひさ
)
からぬ鼻に
金縁
(
きんぶち
)
の
目鏡
(
めがね
)
を
挾
(
はさ
)
み、
五紋
(
いつつもん
)
の
黒塩瀬
(
くろしほぜ
)
の羽織に
華紋織
(
かもんおり
)
の
小袖
(
こそで
)
を
裾長
(
すそなが
)
に
着做
(
きな
)
したるが、六寸の
七糸帯
(
しちんおび
)
に
金鏈子
(
きんぐさり
)
を垂れつつ、
大様
(
おほやう
)
に
面
(
おもて
)
を挙げて座中を
眴
(
みまは
)
したる
容
(
かたち
)
は
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
(
眠
(
ねむ
)
うなつたのかい、もうお
寝
(
ね
)
か、)といつたが
座
(
すは
)
り
直
(
なほ
)
つて
弗
(
ふ
)
と
気
(
き
)
がついたやうに
四辺
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
した。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
四辺
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
し、
衣紋
(
えもん
)
を
直
(
なほ
)
して、
雪枝
(
ゆきえ
)
に
向
(
むか
)
つて、
背後向
(
うしろむ
)
きに、
双六巌
(
すごろくいは
)
に、
初
(
はじ
)
めは
唯
(
と
)
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
ける
姿
(
すがた
)
と
見
(
み
)
えたが、
褄
(
つま
)
を
放
(
はな
)
して、
盤
(
ばん
)
の
上
(
うへ
)
へ、
菫
(
すみれ
)
鼓草
(
たんぽゝ
)
の
駒
(
こま
)
を
除
(
よ
)
けて、
采
(
さい
)
を
取
(
と
)
つて
横
(
よこ
)
に
寐
(
ね
)
た。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(
彼
(
あれ
)
を、あゝ、
彼
(
あれ
)
、
彼
(
あれ
)
。)といつてきよろ/\と
四辺
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
す。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眴
(
みまは
)
したが
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
ない。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
眴
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