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畔道
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あぜみち
ふりがな文庫
“
畔道
(
あぜみち
)” の例文
どうも鴫は居ぬらしい。後の方でダーダーと云う者があるからふりかえると、五、六
間
(
けん
)
後の
畔道
(
あぜみち
)
の分れた処の石橋の上に馬が立っている。
鴫つき
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
便りに思う爺さんだって、旅他国で
畔道
(
あぜみち
)
の一面識。自分が望んでではありますが、家と云えば、この畳を敷いた——
八幡不知
(
やわたしらず
)
。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春は処々に菜の花が咲き乱れて、それが
霞
(
かす
)
んだ三笠連山の麓までつづいているのが望見される。
畔道
(
あぜみち
)
に咲く紫色の
菫
(
すみれ
)
、淡紅色の
蓮華草
(
れんげそう
)
なども美しい。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
田圃
(
たんぼ
)
の中に出る。稲の植附はもう済んでいる。おりおり
蓑
(
みの
)
を着て
手籠
(
たご
)
を担いで
畔道
(
あぜみち
)
をあるいている農夫が見える。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
群衆の中へ追い込まれて、また更に群衆から驚かされた暴れ馬は、
畔道
(
あぜみち
)
を、ただもう走れるだけ走っている、その後を米友が懸命に追いかけているのです。
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
お日様の光がのどかに照りわたった西田甫の
畔道
(
あぜみち
)
に、子ひばりを抱いた婆やのあとから、
睦
(
むつま
)
しく声をそろえて唱歌をうたいながら行く一郎さんとたえ子さんの姿が見えました。
ひばりの子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
伝法院の庭を抜け、田圃の間の
畔道
(
あぜみち
)
を真直に行くと(右側の田圃が今の六区一帯に当る)、伝法院の西門に出る。その出口に江戸
侠客
(
きょうかく
)
の随一といわれた
新門辰五郎
(
しんもんたつごろう
)
がいました。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そして
畔道
(
あぜみち
)
には、麦を積んだ車が通り、後から後からと、列を作って行くのである。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
お
賽錢
(
さいせん
)
下
(
くだ
)
され
行
(
い
)
つて
來
(
き
)
ますと
家
(
いへ
)
を
驅
(
か
)
け
出
(
だ
)
して、
中田圃
(
なかたんぼ
)
の
稻荷
(
いなり
)
に
鰐口
(
わにぐち
)
ならして
手
(
て
)
を
合
(
あは
)
せ、
願
(
ねが
)
ひは
何
(
なに
)
ぞ
行
(
ゆ
)
きも
歸
(
かへ
)
りも
首
(
くび
)
うなだれて
畔道
(
あぜみち
)
づたひ
歸
(
かへ
)
り
來
(
く
)
る
美登利
(
みどり
)
が
姿
(
すがた
)
、それと
見
(
み
)
て
遠
(
とほ
)
くより
聲
(
こゑ
)
をかけ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
陸稻
(
をかぼ
)
畠
(
ばたけ
)
の
畔道
(
あぜみち
)
を、ごほんごほんと
咳入
(
せきい
)
りながら、
※
(
かな/\
)
はどこへゆくのでせう。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
その為めに
畔道
(
あぜみち
)
を歩いて居た人は、田の稲のかげに
匿
(
かく
)
されて形が見えなくなつたのであらう。と、さういふのがこの事に就ての彼の妻の解釈であつた。成程、それが適当な解釈らしい、と彼も考へた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
二人は藤棚の蔭を離れて、
畔道
(
あぜみち
)
へ出て来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
たどり
過
(
すぎ
)
人の心に
尖
(
とげ
)
ぞ有る
殼枳寺
(
からたちでら
)
や
切道
(
きりどほ
)
し切るゝ身とは知らずとも
頓
(
やが
)
て命は仲町と三次は
四邊
(
あたり
)
見廻すに
忍
(
しの
)
ばずと云ふ名は有りと
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
こそ
窟竟
(
くつきやう
)
の所と思へどまだ夜も
淺
(
あさ
)
ければ人の
往來
(
ゆきき
)
も
絶
(
たえ
)
ざる故山下通り打過て
漸々
(
やう/\
)
思ひ金杉と心の
坂本
(
さかもと
)
通
(
どほ
)
り
越
(
こし
)
大恩寺
(
だいおんじ
)
前
(
まへ
)
へ曲り込ば此處は名に
負
(
おふ
)
中田圃
(
なかたんぼ
)
右も左りも
畔道
(
あぜみち
)
にて
人跡
(
じんせき
)
さへも
途絶
(
とだえ
)
たる向ふは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
降らないでもない、
糠雨
(
ぬかあめ
)
の中に、ぐしゃりと水のついた
畔道
(
あぜみち
)
に
打坐
(
ぶっすわ
)
って、足の裏を
水田
(
みずた
)
のじょろじょろ
流
(
ながれ
)
に
擽
(
くす
)
ぐられて、
裙
(
すそ
)
からじめじめ濡通って
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また辺り一帯には松の
疎林
(
そりん
)
があり、樹間をとおして広々とした田野がみえる。刈入れのすんだところは稲束が積みかさねられ、
畔道
(
あぜみち
)
には
薄
(
すすき
)
が秋の微風をうけてゆるやかになびいている。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「その
畔道
(
あぜみち
)
に小さくなっているのが迷径梅」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何
(
なに
)
ならんと
小走
(
こばし
)
りして
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
りつ
一枝
(
ひとえだ
)
手折
(
たを
)
りて一
輪
(
りん
)
は
主
(
しう
)
一
輪
(
りん
)
は
我
(
わ
)
れかざして
見
(
み
)
るも
機嫌取
(
きげんと
)
りなり
互
(
たがひ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
得
(
え
)
ぞしらず
畔道
(
あぜみち
)
づたひ
行返
(
ゆきかへ
)
りて
遊
(
あそ
)
ぶ
共
(
とも
)
なく
暮
(
くら
)
す
日
(
ひ
)
の
鳥
(
とり
)
も
寐
(
ね
)
に
歸
(
かへ
)
る
夕
(
ゆふ
)
べの
空
(
そら
)
に
行
(
ゆ
)
く
雲水
(
くもみづ
)
の
僧
(
そう
)
一人
(
ひとり
)
たゝく
月下
(
げつか
)
の
門
(
もん
)
は
何方
(
いづこ
)
ぞ
浦山
(
うらやま
)
しの
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
やと
見送
(
みを
)
くれば
見
(
み
)
かへる
笠
(
かさ
)
のはづれ
兩女
(
ふたり
)
ひとしくヲヽと
呌
(
さけ
)
びぬ
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いつの春だったか、小泉の辺りでバスを降りて、
畔道
(
あぜみち
)
に腰をおろしながら、法起寺と法輪寺の塔を望見したことがあったが、
陽炎
(
かげろう
)
のなかに二つの塔が
幽
(
かす
)
かに震えているのをみてこの感を深うした。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
畔
常用漢字
中学
部首:⽥
10画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“畔”で始まる語句
畔
畔路
畔田翠山
畔柳
畔倉
畔放
畔柳芥舟
畔田
畔傳
畔柳元衛