トップ
>
生際
>
はえぎは
ふりがな文庫
“
生際
(
はえぎは
)” の例文
それから死骸の髮の
生際
(
はえぎは
)
、眼瞼の裏、
鼻腔
(
びこう
)
、唇、喉などとひと通り見終つて、何にかしら
腑
(
ふ
)
に落ちないものがあるやうに首を
捻
(
ひね
)
ります。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
銘仙
矢絣
(
やがすり
)
の
単衣
(
ひとへ
)
に、白茶の
繻珍
(
しゆちん
)
の帯も
配色
(
うつり
)
がよく、
生際
(
はえぎは
)
の美しい髪を油気なしのエス巻に結つて、幅広の
鼠
(
ねず
)
のリボンを生温かい風が煽る。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大きい目や、油ぎつたやうな色をした広い額や、薄い髪の
生際
(
はえぎは
)
やは、今も電車の中などで類似の顔に逢ふと思ひ出されるのです。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
瞼、
生際
(
はえぎは
)
、鼻のまはり、
所謂
(
いはゆる
)
死の色を呈して、少し蒼味がかツて、唇の色も
褪
(
さ
)
めてはゐるが、美しい顏は淋しく眠ツてゐるかと思はれるやうだ。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
母親は絶えずお葉の顔を見つめながら、彼女の乱れた
生際
(
はえぎは
)
を冷たいタオルでぬらして居た。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
▼ もっと見る
いつまでも
沈
(
しづ
)
んで
居
(
ゐ
)
たいやうな
心持
(
こゝろもち
)
がした。
與吉
(
よきち
)
が
泣
(
な
)
きはせぬかと
心付
(
こゝろづ
)
いた
時
(
とき
)
碌
(
ろく
)
に
洗
(
あら
)
ひもしないで
出
(
で
)
て
畢
(
しま
)
つた。それでも
顏
(
かほ
)
がつや/\として
髮
(
かみ
)
の
生際
(
はえぎは
)
が
拭
(
ぬぐ
)
つても/\
汗
(
あせ
)
ばんだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
田舎の女には珍らしくみづ/\して其のお
納戸色
(
なんどいろ
)
の型附
半襟
(
はんえり
)
の
裡
(
うち
)
から柔らかな白い首筋の線がのび/\と弧を描いて
耳柔
(
みゝたぶ
)
の裏の
生際
(
はえぎは
)
の奥に静かに消え上つてゐるのなどを彼は見た。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
三千代は猶
泣
(
な
)
いた。代助に返事をする
所
(
どころ
)
ではなかつた。
袂
(
たもと
)
から
手帛
(
ハンケチ
)
を
出
(
だ
)
して
顔
(
かほ
)
へ
当
(
あ
)
てた。濃い
眉
(
まゆ
)
の一部分と、
額
(
ひたひ
)
と
生際
(
はえぎは
)
丈が代助の
眼
(
め
)
に残つた。代助は椅子を三千代の方へ
摺
(
す
)
り寄せた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
生際
(
はえぎは
)
の
白粉
(
おしろい
)
が薄くなつて、健康らしい皮膚が、黒く顔を出してゐる
丈
(
だけ
)
でも、こつちの方が
遙
(
はるか
)
に頼もしい気がする。子供らしくつて
可愛
(
かはい
)
かつたから、体操を知つてゐるかいと
訊
(
き
)
いて見た。
京都日記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大貫の妻だといふ、ひよろひよろと背の高い、
生際
(
はえぎは
)
の薄い、出齒の女も見た。別れてゐる夫に逢ひに來る爲めか、夏の盛りだといふのに、眞白に白粉を塗り、着物の好みなども
派手
(
はで
)
だつた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
母樣
(
おつかさん
)
の
前
(
まへ
)
であるから、
何
(
なん
)
の
見得
(
みえ
)
も、
色氣
(
いろけ
)
もなう、
鼻筋
(
はなすぢ
)
の
通
(
とほ
)
つた、
生際
(
はえぎは
)
のすつきりした、
目
(
め
)
の
屹
(
きつ
)
として、
眉
(
まゆ
)
の
柔
(
やさ
)
しい、お
小姓
(
こしやう
)
だちの
色
(
いろ
)
の
白
(
しろ
)
い、
面長
(
おもなが
)
なのを
横顏
(
よこがほ
)
で、——
團子
(
だんご
)
を
一串
(
ひとくし
)
小指
(
こゆび
)
を
撥
(
は
)
ねて
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
美しい
顔立
(
かほだて
)
ではないけれど、愛嬌に富んで、色が白く、漆の様な髪の
生際
(
はえぎは
)
の揃つた具合に、得も言へぬ
艶
(
なまめ
)
かしさが見える。
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
次
(
つぎ
)
に
綺麗
(
きれい
)
な
首筋
(
くびすじ
)
、形の好い
鼻
(
はな
)
、ふツくりした
頬
(
ほゝ
)
、
丸味
(
まるみ
)
のある
顎
(
あご
)
、それから
生際
(
はえぎは
)
の好いのと
頭髪
(
かみのけ
)
に
艶
(
つや
)
のあるのと何うかすると
口元
(
くちもと
)
に
笑靨
(
ゑくぼ
)
が出來るのに目が付いた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
秋風は、この野の末から末に渡つて、彼女の
生際
(
はえぎは
)
ににじんだ汗は、つめたく肌にしみてゐた。彼女は、遂に杖をはなれて、冷たい土に腰をおろして、すゝきの蔭に睫毛をふせた。
幸福への道
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
口もとや鼻つきも、
稍
(
やや
)
下品だつた。が、
幸
(
さいはひ
)
生際
(
はえぎは
)
がいいので、さう云ふ難も、大して目に立たない。——私はまだ残つてゐた
昨夜
(
ゆうべ
)
の酔が、急にさめたやうな心もちがして、その女の側へ腰を下した。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
生際
(
はえぎは
)
のあだ白く拔上つた、黒眼鏡の下の鼻の、婆さんらしく無くつんと高いのが、根性をよく見せ無かつた。磨き込んだ爲めか、いやに赤味の
失
(
う
)
せずに光つて居る顏色も、かへつて邪險に見えた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
貧窮
(
ひんきう
)
な
生活
(
せいくわつ
)
の
間
(
あひだ
)
から
數年來
(
すうねんらい
)
漸
(
やうや
)
く
蓄
(
たくは
)
へた
衣類
(
いるゐ
)
の
數點
(
すうてん
)
が
既
(
すで
)
に
其
(
そ
)
の一
片
(
ぺん
)
をも
止
(
とゞ
)
めないことを
知
(
し
)
つてさうして
心
(
こゝろ
)
に
悲
(
かな
)
しんだ。
汗
(
あせ
)
がびつしりと
髮
(
かみ
)
の
生際
(
はえぎは
)
を
浸
(
ひた
)
して
疲憊
(
ひはい
)
した
身體
(
からだ
)
をおつぎは
少時
(
しばし
)
惘然
(
ぼんやり
)
と
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
てた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
静かにねばりついたやうな
生際
(
はえぎは
)
の毛をゆるがす嬉しさを考へた。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
際
常用漢字
小5
部首:⾩
14画
“生”で始まる語句
生
生命
生憎
生活
生涯
生々
生垣
生物
生温
生死