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生真面目
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きまじめ
ふりがな文庫
“
生真面目
(
きまじめ
)” の例文
旧字:
生眞面目
口ざわりはよいが、
生真面目
(
きまじめ
)
なジーリなどと違って、少くともレコードでは飽きが来るようだ。こんな人のが売れ高はいいらしい。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
かれらは皆、おそるべく勤勉であり、おそるべく
生真面目
(
きまじめ
)
であった。かれらに、それは友だちのいないせいだったかもしれない。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
その
生真面目
(
きまじめ
)
ないいわけを、女たちはまた、
豹
(
ひょう
)
の子みたいで可愛らしいといって笑う。そして白い手の暴力はやまないのである。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いつもの俊亮だと、そんなことを言うときには、少くとも微笑ぐらいはもらすのであったが、きょうはあくまでも
生真面目
(
きまじめ
)
な顔をしている。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
で、言葉も時代に、
鄭重
(
ていちょう
)
に、
生真面目
(
きまじめ
)
な
応対
(
あいしらい
)
。小児等は気を取られて、この味噌摺坊主に、笑うことも忘れて
浮
(
うっか
)
りでいる。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
家にいる他の
妓
(
こ
)
たちはまたそれを面白がって、対手になって
戯弄
(
からか
)
うと、彼女は
生真面目
(
きまじめ
)
な顔をしてそれに受け
応
(
こた
)
えをしているという有様である。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
苦痛や
憂鬱
(
ゆううつ
)
さえもがこの男の深刻な顔にこっけいな
生真面目
(
きまじめ
)
さを加えて、お気に入りの役者に手をたたく大勢の見物人の笑いをひき起すのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夫人も微笑したが、
声音
(
こわね
)
は
生真面目
(
きまじめ
)
だった。「わたくしも、警句でなく、ほんとにそう思いますわ。立派な芸術ですわ。」
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
たゞもう
一途
(
いちず
)
な、
執心
(
しゅうしん
)
の強い
生真面目
(
きまじめ
)
な表情で、じっと此方の眼の中を視すえているので、滋幹は又気味悪くなって来て
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そう裁判所みたように
生真面目
(
きまじめ
)
に叱りつけられちゃ、せっかく
咽喉
(
のど
)
まで出かかったものも、
辟易
(
へきえき
)
して引込んじまいますから
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
熱中的に
生真面目
(
きまじめ
)
であって、自己の全部をささげつくし、何物をも節約しなかったので、過度の理知と尚早な狂的な勤労とのために
憔悴
(
しょうすい
)
していた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
危険な事なんか無いんだ。危険だなんて、可笑しいじゃないか。竹さんは、君と同じくらい、ただ
生真面目
(
きまじめ
)
な人なんだ。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お増はお今の前を、わざと
生真面目
(
きまじめ
)
な顔をして、あらたまったような挨拶を、良人にして見せた。浅井がちょうど二階から下りて来たのであった。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
可
(
か
)
なり謹厳な東洋の家庭に育つて青白い
生真面目
(
きまじめ
)
と寂しい
渋面
(
じふめん
)
との外に桃色の「
笑
(
わらひ
)
」のある世界を知らなかつた僕が
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その騎士が、自分は死人だといって彼をだました冗談には、彼の
生真面目
(
きまじめ
)
な考えとぴったりゆかないところがあったことは認めないわけにはいかない。
幽霊花婿:ある旅人の話
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
そうあなた様のように
生真面目
(
きまじめ
)
に出られては御挨拶に困ります、苦労にも幾通りもあるのでございます、
日済
(
ひなし
)
の催促で苦労するのも苦労でございます
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いずれも
生真面目
(
きまじめ
)
で格別笑いたくもないのが当り前で、すなわち俳諧という語の意味を、よほどこじつけて拡張しないかぎり、今日のいわゆる俳句は
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
四角四面の
地主
(
じぬし
)
屋敷に
生
(
お
)
い立って、一人ぼっちの
生真面目
(
きまじめ
)
な教育を受けてきた少年のわたしは、こうしたらんちき騒ぎや、ほとんど
狂暴
(
きょうぼう
)
ともいうべき
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
な浮かれ気分や
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
いつとなく出来た仲だとやら、その
上
(
うえ
)
松
(
まっ
)
つあんよりは
捌
(
さば
)
けてゐるやうでも、あの
生真面目
(
きまじめ
)
さ加減では
覚束
(
おぼつか
)
ない、どうやら
常談
(
じょうだん
)
らしくもないお前の
返詞
(
へんじ
)
がおれの腹に落ち兼ねる
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
珍らしく
景彦
(
かげひこ
)
が
遣
(
や
)
って来た。景彦は人には姿を見せたことがない。ただ鶴見にだけはその面影が立って見えるのである。笑いもするし、怒りもするし、また
生真面目
(
きまじめ
)
にもなる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
単に苦しいとか安易なとかいうことよりいわば、運命の拙い人、ことに運命を直視して生きるほど生活に
生真面目
(
きまじめ
)
なるものにとっては、死の望ましきことは幾度もあるに相違ない。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
北川は社長の指さす文面を、小声で読んで見て、さも
生真面目
(
きまじめ
)
な表情を作りながら
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
妓の、変に
生真面目
(
きまじめ
)
な表情が、私の胸の前にある。どういう死に方をすればいいのか、その時になってみねば、判るわけはなかった。死というものが、此の瞬間、妙に身近に思われたのだ。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
もっとも一代の方では寺田の
野暮
(
やぼ
)
な
生真面目
(
きまじめ
)
さを見込んだのかも知れない。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
真白な面を
緊張
(
ひきし
)
めてくるくるともんどりうつ凄さ、
可笑
(
をかし
)
さ、又その心細さ、くるくると
戯
(
おど
)
け廻つて居る内に
生真面目
(
きまじめ
)
な心が益落ちついて、凄まじい昼間の恐怖が腋の下から、咽喉から、臍から
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
蟻
(
あり
)
が
塔
(
とう
)
を造るような遅〻たる行動を
生真面目
(
きまじめ
)
に取って来たのであるから、浮世の
応酬
(
おうしゅう
)
に疲れた
皺
(
しわ
)
をもう
額
(
ひたい
)
に畳んで、心の中にも他の学生にはまだ出来ておらぬ細かい
襞襀
(
ひだ
)
が出来ているのであった。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
己はあの
生真面目
(
きまじめ
)
な侍の作った
恋歌
(
れんか
)
を想像すると、知らず識らず微笑が唇に浮んで来る。しかしそれは何も、渡を
嘲
(
あざけ
)
る微笑ではない。己はそうまでして、女に
媚
(
こ
)
びるあの男をいじらしく思うのだ。
袈裟と盛遠
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かと
云
(
いっ
)
て
生真面目
(
きまじめ
)
の町人でも無い何うしても博奕など打つ様な
惰
(
なま
)
け者だ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
本当に、心をも身をも捨てゝかゝる、真剣な異性の愛に飢えているのかも知れない。
世馴
(
よな
)
れた
色男風
(
ダンディふう
)
の男性に、
慊
(
あき
)
たらない彼女は、自分のような
初心
(
うぶ
)
な
生真面目
(
きまじめ
)
な男性を求めていたのかも知れない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
生真面目
(
きまじめ
)
な顔をしたカリタが彼にむかって
女百貨店
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
三郎兵衛がさも
生真面目
(
きまじめ
)
な様子で現れて
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
メリハルはポリドールの近頃の
米櫃
(
こめびつ
)
であるが、フリードのように達者で融通の利く人であると共に、
生真面目
(
きまじめ
)
な、親しみの持てる指揮者だ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
つねに、派手な共鳴や、機智に富む
相槌
(
あいづち
)
を、周囲から聞いている信長の耳には、光秀の
生真面目
(
きまじめ
)
な返辞は、もの足らなかった。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宇津木兵馬が
生真面目
(
きまじめ
)
にキチンと蒲団の上に座を正し、一刀を膝へ引寄せて待構えている形を見て、飛びつくことも、飛びのくこともできなかったからです。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
生真面目
(
きまじめ
)
なお約束なのであるが、私が、いま、このような乱暴な告白を致したのは、私は、こんな借銭未済の罪こそ犯しているが、いまだかつて、どろぼうは
春の盗賊
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
人も無げに笑う手から、
引手繰
(
ひったく
)
るように切符を取られて、はっと駅夫の顔を見て、きょとんと
生真面目
(
きまじめ
)
。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他国の思想を
生真面目
(
きまじめ
)
に否認して、それにたいして
軽蔑
(
けいべつ
)
的な寛容さをいだいていた。もし他国人がその屈辱的な地位に甘んじないときには、憤慨の念をいだいていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
圓顔
(
まるがお
)
の、色の白い、小太りに太った、三十前後のお茶坊主で、くり/\とした大きな眼をびっくりしたように見張って、へんに
生真面目
(
きまじめ
)
に取りつくろっている表情が
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
只何事をも
強
(
し
)
いて
笑談
(
じょうだん
)
に取りなす癖のおじが、珍らしく
生真面目
(
きまじめ
)
になっていただけである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼の目はさういふ点で人間の滑稽味を、ずつと奥の奥まで
見透
(
みすか
)
してしもうので、その口にかゝつては、どんな
生真面目
(
きまじめ
)
な男でもカリケチユアライズされないではゐないのである。
亡鏡花君を語る
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
また私の述べ
来
(
きた
)
ったところもまた相当の論拠と応分の思索の結果から出た
生真面目
(
きまじめ
)
の意見であるという点にも御同情になって悪いところは大目に見ていただきたいのであります。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天下晴れての無礼講だけに見知らぬ女を抱きかかへて厭がるのも構はず
頬摺
(
ほゝずり
)
をして歩く男も多い。若い男かと見るとシルクハツトを
被
(
かぶ
)
つた
生真面目
(
きまじめ
)
な顔附の白髪の紳士も混つて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
……笑うと、ぼく自身余裕が生まれたのか、それとも、それまでなんとなく
気圧
(
けお
)
されていた彼に、やっと同等の
生真面目
(
きまじめ
)
な「少年」を発見したことのせいか、ぼくに元気が
恢復
(
かいふく
)
してきた。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
お前は
生真面目
(
きまじめ
)
に、お前のその気違いめいた妄想を実行しようとしているのか。本当に冗談ではなかったのか。一体それでお前の精神状態は、健康なのか。若しやどこかに故障があるのではないか
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
而
(
しか
)
も
生真面目
(
きまじめ
)
で泣いて
通
(
とほ
)
ろ。
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いつも鹿爪らしい顔している
柴田修理
(
しばたしゅり
)
(権六勝家)にもいうし、
生真面目
(
きまじめ
)
な
森三左衛門
(
もりさんざえもん
)
や
加藤図書
(
かとうずしょ
)
などの顔見た折もいった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
フィッシャーの
生真面目
(
きまじめ
)
で典雅な演奏は、最初のハ長調の前奏曲と遁走曲でもう私たちの心をしかと
捉
(
とら
)
えてしまった。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
このごろ私は、自分の駄目加減を事ある毎に知らされて、ただもう興覚めて
生真面目
(
きまじめ
)
になるばかりだ。
鉄面皮
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そんならって、浮気などするんじゃなし、
生真面目
(
きまじめ
)
だから手も着けられないでいたのに、ついぞ無い、姉さんを見て、まるで夢中だから、きっとその何なんだって。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長い年月の間、たとい病気の時でさえ、一回の
稽古
(
けいこ
)
をも一回の管弦楽試演をも欠かしたことのない、この
生真面目
(
きまじめ
)
な少年は、今やよからぬ口実を捜し出しては、仕事をなまけた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“生真面”で始まる語句
生真面