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流
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ながし
ふりがな文庫
“
流
(
ながし
)” の例文
水木は、如何にも懐しそうに、そういって、ドアーをばたんと閉めてから、赤燈のかげで、水を測っては、白い器の中に、
流
(
ながし
)
始めた。
魔像
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
我が越後にも化石渓あり、
魚沼郡
(
うをぬまこほり
)
小出
(
こいで
)
の
在
(
ざい
)
羽川
(
はかは
)
といふ
渓
(
たに
)
水へ
蚕
(
かひこ
)
の
腐
(
くさり
)
たるを
流
(
ながし
)
しが一夜にして石に
化
(
くわ
)
したりと
友人
(
いうじん
)
葵亭翁
(
きていをう
)
がかたられき。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
時によると、表を、
新内
(
しんない
)
の
流
(
ながし
)
が通った。ヴァイオリンの俗謡が響いた。夜分は、客を呼ぶ女の声が聞えることもあった。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
お妙は玄関
傍
(
わき
)
、生垣の前の井戸へ出て、乾いてはいたが
辷
(
すべ
)
りのある井戸
流
(
ながし
)
へ
危気
(
あぶなげ
)
も無くその曲った下駄で乗った。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流
(
ながし
)
もとの大笊の中にはきざんだ
切干
(
きりぼし
)
が水を切ってあり、
沢庵桶
(
たくあんおけ
)
からたくあんを出しかけていたところと見え、
糠
(
ぬか
)
の中からたくあんが半分ほど顔を出している。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
流
(
ながし
)
申さんと云へば彼の旅人は否湯も宜
加減
(
かげん
)
なり決て
構
(
かま
)
ふべからずと云ながら此方を
見返
(
みかへ
)
り不※お花の顏を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
味が温かで静かで、時にはほんのりと「ごほん」と呼ぶ桃色の
斑
(
ふ
)
が中に浮びます。この白釉で長方形の深めの
流
(
ながし
)
を作りますが、信楽以外には決してない品であります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
御米
(
およね
)
はある
日
(
ひ
)
裏
(
うら
)
にゐる
下女
(
げぢよ
)
に
云
(
い
)
ひ
付
(
つ
)
ける
用
(
よう
)
が
出來
(
でき
)
たので、
井戸流
(
ゐどながし
)
の
傍
(
そば
)
に
置
(
お
)
いた
盥
(
たらひ
)
の
傍迄
(
そばまで
)
行
(
い
)
つて
話
(
はなし
)
をした
序
(
ついで
)
に、
流
(
ながし
)
を
向
(
むかふ
)
へ
渡
(
わた
)
らうとして、
青
(
あを
)
い
苔
(
こけ
)
の
生
(
は
)
へてゐる
濡
(
ぬ
)
れた
板
(
いた
)
の
上
(
うへ
)
へ
尻持
(
しりもち
)
を
突
(
つ
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
洗場
(
あらいば
)
の
流
(
ながし
)
は乾く間のない水のために
青苔
(
あおごけ
)
が生えて、触ったらぬらぬらしそうに
輝
(
ひか
)
っている。そして其処には使捨てた
草楊枝
(
くさようじ
)
の折れたのに、青いのや鼠色の
啖唾
(
たんつば
)
が流れきらずに引掛っている。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我が越後にも化石渓あり、
魚沼郡
(
うをぬまこほり
)
小出
(
こいで
)
の
在
(
ざい
)
羽川
(
はかは
)
といふ
渓
(
たに
)
水へ
蚕
(
かひこ
)
の
腐
(
くさり
)
たるを
流
(
ながし
)
しが一夜にして石に
化
(
くわ
)
したりと
友人
(
いうじん
)
葵亭翁
(
きていをう
)
がかたられき。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と
聞分
(
ききわ
)
けもなく織次がその
袂
(
たもと
)
にぶら下った。
流
(
ながし
)
は高い。走りもとの破れた
芥箱
(
ごみばこ
)
の
上下
(
うえした
)
を、ちょろちょろと鼠が走って、
豆洋燈
(
まめランプ
)
が
蜘蛛
(
くも
)
の巣の中に
茫
(
ぼう
)
とある……
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
白、黒、飴、黄、緑、青など、これらのものがあるいは地色になったり、
流
(
ながし
)
の色になったりします。こういう品物を台所なり食卓なりに置くと、花を活けているのと等しいでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
御米はある日裏にいる下女に云いつける用ができたので、
井戸流
(
いどながし
)
の
傍
(
そば
)
に置いた
盥
(
たらい
)
の傍まで行って話をしたついでに、
流
(
ながし
)
を
向
(
むこう
)
へ渡ろうとして、青い
苔
(
こけ
)
の生えている
濡
(
ぬ
)
れた板の上へ
尻持
(
しりもち
)
を突いた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども…………愛吉は、女房の
藍微塵
(
あいみじん
)
のを肩に掛けて、暗くなった
戸外
(
おもて
)
へ出たが、火の玉は、水船で消えもせず。湯の
中
(
うち
)
で唄も謡わず。
流
(
ながし
)
で喧嘩もせず。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と目笊は
流
(
ながし
)
へ。お蔦は立直って腰障子へ手をかけたが、
溝
(
どぶ
)
の上に背伸をして、今度は気構えて勿体らしく
酸漿
(
ほおずき
)
をクウと鳴らすと、言合せたようにコロコロコロ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鹿
(
か
)
の子の見覚えある
扱
(
しごき
)
一ツ、
背後
(
うしろ
)
へ
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織を
引振
(
ひっぷる
)
って脱いでな、
褄
(
つま
)
を取って
流
(
ながし
)
へ出て、その薬鑵の湯を
打
(
ぶ
)
ちまけると、むっとこう霧のように湯気が立ったい
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蓋
(
ふた
)
と別々になって、うつむけに
引
(
ひっ
)
くりかえって、
濡手拭
(
ぬれてぬぐい
)
を
桶
(
おけ
)
の中、湯は沢山にはなかったと思われ、乾き切って霜のような
流
(
ながし
)
が、網を投げた形にびっしょりであった。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不思議な人を二人見て、遣切れなくなってこの
家
(
うち
)
へ飛込んだ。が、
流
(
ながし
)
の笛が
身体
(
からだ
)
に
刺
(
ささ
)
る。いつもよりはなお激しい。そこへまた影を見た。美しい影も見れば、
可恐
(
おそろ
)
しい影も見た。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八郎は、すぐ前の台所へ出て、
流
(
ながし
)
に立ったお悦の
背後
(
うしろ
)
から、肩越しに
覗込
(
のぞきこ
)
んでいたが
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流
(
ながし
)
の
処
(
ところ
)
に、
浅葱
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
が、時ならず、雲から射す、濃い月影のようにちらちらして、
黒髪
(
くろかみ
)
のおくれ毛がはらはらとかかる、鼻筋のすっと
通
(
とお
)
った横顔が
仄見
(
ほのみ
)
えて、白い
拭布
(
ふきん
)
がひらりと動いた。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路傍
(
みちばた
)
に石の古井筒があるが、欠目に
青苔
(
あおごけ
)
の生えた、それにも濡色はなく、ばさばさ
燥
(
はしゃ
)
いで、
流
(
ながし
)
も
乾
(
から
)
びている。そこいら何軒かして日に幾度、と数えるほどは米を磨ぐものも無いのであろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、
奴
(
やつこ
)
の
前
(
まへ
)
の
流
(
ながし
)
を
這
(
は
)
つた。
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
八郎は
流
(
ながし
)
の窓から
指
(
ゆびさ
)
して
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“流”の意味
《名詞》
(リュウ)流れ。
(リュウ)仲間。連中。
(出典:Wiktionary)
流
常用漢字
小3
部首:⽔
10画
“流”を含む語句
流行
上流
下流
渓流
細流
流連
風流
小流
大流行
流離
支流
流眄
流出
一流
末流
流通
水流
流浪
流罪
流星
...