洋卓テーブル)” の例文
『おまへ洋卓テーブルだとはらなかつたのよ』とあいちやんはつて、『それは三にんばかりでなく、もつと多勢おほぜいのためにかれてあるんだわ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「さあこれい」と代助ははさみ洋卓テーブルうへに置いた。三千代は此不思議に無作法にけられた百合を、しばらく見てゐたが、突然とつぜん
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あのなみだいけおよいでからはなにかはつたやうで、硝子ガラス洋卓テーブルちひさなのあつた大廣間おほびろままつた何處どこへかせてしまひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そうして洋卓テーブルの引出から西洋はさみを出して、ぷつりぷつりと半分程の長さにり詰めた。そうして、大きな花を、鈴蘭のむらがる上に浮かした。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あいちやんは洋卓テーブル周圍しうゐのこらず見廻みまはしましたが、其上そのうへにはちやほかなにもありませんでした。『さけくッてよ』とあいちやんが注意ちういしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
やがて立ち上がって、一人一人に挨拶あいさつをするうちに、自分は控所にある洋卓テーブルやら、絨氈じゅうたんやら、白木しらき格天井ごうてんじょうやらを眺めた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兄は洋卓テーブルの上の手紙を取って自分で巻き始めた。静かな部屋の中に、半切はんきれの音がかさかさ鳴った。兄はそれを元の如くに封筒に納めて懐中した。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誠太郎は、代助の坐る大きな椅子いすに腰を掛けて、洋卓テーブルの前で、アラスカ探険記を読んでいた。洋卓の上には、蕎麦饅頭そばまんじゅうと茶盆が一所に乗っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誠太郎は、代助のすはる大きな椅子いすこしけて、洋卓テーブルまへで、アラスカ探検たんけん記を読んでゐた。洋卓テーブルうへには、蕎麦饅そばまん頭と茶ぼんが一所に乗つてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
宗助そうすけおほきな姿見すがたみうつ白壁しらかべいろなゝめにて、ばんるのをつてゐたが、あまり退屈たいくつになつたので、洋卓テーブルうへかさねてあつた雜誌ざつしけた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
暗い廊下を突き当って右へ折れたウイングはじへやへ案内された。中を二つに仕切ってある。低い床には、椅子と洋卓テーブルと色のめた長椅子とが置いてあった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この人と半々に洋卓テーブルの角を回って向き合っていた時は、——撞木しゅもくで心臓をすぽりとたたかれたような気がした。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
應接間おうせつまとほると、おほきな洋卓テーブル周圍まはり天鵞絨ビロードつた腰掛こしかけならんでゐて、あはしてゐる三四人さんよにんが、うづくまるやうあごえりうづめてゐた。それがみんなをんなであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
洋服を着た役人が二人ほど、椅子のむかい合せに洋卓テーブルを隔てて腰を掛けていた。おもてには第一見張所とあった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さうして洋卓テーブル引出ひきだしから西洋はさみして、ぷつり/\と半分はんぶん程の長さにめた。さうして、大きなはなを、リリー、オフ、ゼ、ヷレーのむらがるうへかした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
応接間へ通ると、大きな洋卓テーブル周囲まわり天鵞絨びろうどで張った腰掛がならんでいて、待ち合している三四人が、うずくまるようにあごえりうずめていた。それが皆女であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
将棋歌留多かるたをやる所へ這入って腰をかけて見たが、三人の尻をおろしたほかは、椅子いす洋卓テーブルもことごとくいていた。今日は遅いので西洋人がいないからつまらないと是公が云う。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たとえばここに洋卓テーブルがあると、この洋卓は堅い、黒い、ニスのにおいのする、四角で足のある、云々と一々にその属性を認めて、認めた属性を綜合そうごうして始めて叙述が成立する訳であります。
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
perceptual な叙述のもっとも簡便な形式は洋卓テーブル唐机とうづくえのごとしとか、柹は赤茄子のごとしとか、のごとしとか、すべて眼に見、耳に聞き、手に触れ、口に味わい
創作家の態度 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余は二歩ばかり洋卓テーブル遠退とおのいて、次の室の入口を覗いて見た。そうしてまた驚いた。むこうの壁に倚添よりそえて一脚の机を置いて、その右に一人の男が腰をかけている。その左に女が三人立っている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
津田は黙って点頭うなずいた。彼のそばには南側の窓下にえられた洋卓テーブルの上に一台の顕微鏡けんびきょうが載っていた。医者と懇意な彼は先刻さっき診察所へ這入はいった時、物珍らしさに、それをのぞかせてもらったのである。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ただ洋卓テーブルの前にひじを突いたなり、じっとしていた。眼さえ伏せていたから、自分には彼の表情がちっとも解らなかった。兄は理に明らかなようで、またその理にころりとげられる癖があった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると、うしろから三番目の机の中ほどにいた小供が、席を立って先生の洋卓テーブルそばへ来て、先生の使った白墨を取って、塗板ぬりばんに書いてある記元節の記の字へ棒を引いて、そのわきへ新しく紀と肉太にくぶとに書いた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)