横木よこぎ)” の例文
少年がこしかけようとするには、いったんイスの足のあいだの横木よこぎにのぼって、それからすわるところによじのぼらなければなりません。
一方いつぽう屋外おくがい避難ひなんせんとする場合ばあひおいては、まだきらないうち家屋かおく倒潰とうかいし、しか入口いりぐちおほきな横木よこぎ壓伏あつぷくせられる危險きけんともなふことがある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
たださいぜんから明らかに知っていて、べつに気にもめなかったのは、鳥居とりい横木よこぎにうずくまっている一灰色はいいろの鳥だった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欄干らんかん横木よこぎが、みづひゞきで、ひかりれて、たもときかゝるやうに、薄黒うすぐろふたたゝずむのみ、四邊あたり人影ひとかげひとツもなかつた。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ネコはかまどの上の、あたたかいはいのそばにまるくなり、オンドリはむね横木よこぎの上にとまりました。
根太ねだたヽみ大方おほかたち落ちて、其上そのうへねずみの毛をむしちらしたやうほこりと、かうじの様なかびとが積つて居る。落ち残つた根太ねだ横木よこぎを一つまたいだ時、無気味ぶきみきのこやうなものを踏んだ。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
巡査の案内に従って、松明たいまつを片手に奥深く進み入ると、この頃は昇降の便利を計る為に、横木よこぎわたした縄梯子なわばしごおろしてあるので、幾十尺の穴をくだるに格別の困難を感じなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
だれでもないよ、バキチだよ、もと巡査だよ、知らんかい。)バキチが横木よこぎの下のところ腹這はらばいのまま云いました。(さあ、知らないよ、バキチだなんて。おれは一向いっこう知らないよ。)
バキチの仕事 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
まっ赤なシャツが、ぱっと、空中にもんどりうって、天井の横木よこぎからさがっているぶらんこに、とびうつりました。そして、ぶらんこは、みるみる、ツーッ、ツーッと、前後にゆれはじめたのです。
サーカスの怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
一ぽうを見ると、そこにすばらしく大きいむく大木たいぼくがある。その高いこずえの一たんがちょうど、鳥居とりい横木よこぎにかかっているので
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
激しく雨水の落としたあとの、みぎわくずれて、草の根のまだ白い泥土どろつち欠目かけめから、くさびゆるんだ、洪水でみずの引いた天井裏見るような、横木よこぎ橋板はしいたとの暗い中を見たがなにもおらぬ。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから、窓台まどだいのところにいているテンジクアオイやフクシャをながめました。こうして、いちばんおしまいに、窓の横木よこぎにかけてある古い虫とりあみに目をとめました。
おまけに、オンドリも、このさわぎに目をさまして、横木よこぎの上から
かような場合ばあひ下敷したじきになつたものも、はりまたけたのようなおほきな横木よこぎたれないかぎ大抵たいてい安全あんぜんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
まだ竹童ちくどうのこんな必死ひっしな顔をかれは見たことがない。はりのうえにをかがめ、片手かたて横木よこぎにささえ、右手めて火独楽ひごまをふりかぶって、うごかば、いまにも発矢はっしと投げつけそうな眼光がんこう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)