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料理屋
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れうりや
道子はアパートに
出入する
仕出屋の
婆さんの
勧めるがまゝ、
戦後浅草上野辺の
裏町に
散在してゐる
怪し
気な
旅館や
料理屋へ
出入りしてお
客を
取りはじめた。
いくら
惡人でも、
親子の
情はまた
格別と
見へ、
正直なる
亞尼は「
一寸お
出で。」と
其子をば、
其邊の
小さい
料理屋へ
連れて
行つて、
自分の
貧しい
財嚢を
傾けて
其間に
主人は
昨夕行つた
料理屋で
逢つたとか
云つて
妙な
藝者の
話をした。
此藝者はポツケツト
論語が
好きで、
汽車へ
乘つたり
遊びに
行つたりするときは、
何時でもそれを
懷にして
出るさうであつた。
彼の
容貌はぎす/\して、
何處か
百姓染みて、
※鬚から、ベツそりした
髮、ぎごちない
不態な
恰好は、
宛然大食の、
呑※の、
頑固な
街道端の
料理屋なんどの
主人のやうで、
素氣無い
顏には
青筋が
顯れ
旦那お
相乘參りませう、と
折よく
來懸つた
二人乘に
這ふやうにして
二人乘込み、
淺草まで
急いでくんな。
安い
料理屋で
縁起直しに
一杯飮む。
此處で
電燈がついて
夕飯を
認め、やゝ
人心地になる。
その
料理屋を、
狸がだましたのださうである。
眉唾。
眉唾。