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抽
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ひ
ふりがな文庫
“
抽
(
ひ
)” の例文
「俺は今日浅草の観音様へ行ったのさ。思い切りお
賽銭
(
さいせん
)
をあげて、半日拝んだ揚句、この縁談を
卜
(
うらな
)
うつもりで
御神籤
(
おみくじ
)
を
抽
(
ひ
)
いた——」
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この互いに
絡
(
から
)
み合っている二匹の白猫は私をして
肆
(
ほしいまま
)
な男女の痴態を幻想させる。それから
涯
(
はて
)
しのない快楽を私は
抽
(
ひ
)
き出すことが出来る。……
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
その一と包みを念のために
抽
(
ひ
)
き出すと、それは可なりの目方があって、なんだか
小砂利
(
こじゃり
)
でも包んであるかのように感じられた。
半七捕物帳:28 雪達磨
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この魚に就いて書かれてある
山海経
(
せんがいきょう
)
中の一章を
抽
(
ひ
)
いてみる=状如鯉魚、魚身而鳥翼、蒼文而首赤喙、常行西海、遊於東海、以海飛、其音如鶏鸞。
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ここに
風邪
(
かぜ
)
を引いた人があるとすると、その人の
生涯
(
しょうがい
)
を通じて、風邪を引いた部分だけを
抽
(
ひ
)
き
抜
(
ぬ
)
いて書くのですから
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
あのまま肩へ手をかけて肉を
剥
(
は
)
がすように
抽
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
すと胸の
抱
(
だ
)
き肉と称する処がともに離れて手の方へ着いて来ます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「胸算用はやめて、まず、頭に浮んだ一筋ずつを言って見給え、そうして、一筋ずつ
抽
(
ひ
)
き出して、抽き尽した後に寄算をしてみれば
容易
(
たやす
)
くしてくわしい」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仕事中我々は意識して俳優に何かをつけ加えることもあるが、この仕事の本質的な部分はつけ加えることではなく、
抽
(
ひ
)
き出すために費される手続きである。
演技指導論草案
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
彼をはじめとして、暗殺の
籖
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
いて別れ別れになった五ツ組の者は、その後、各〻目ざす方角へ向って、みな相応な飛躍をやっているだろうと思われる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
わしはもう、ドキドキしながら、まるで
富籤
(
とみくじ
)
でも
抽
(
ひ
)
く様な気持で、ソロソロと歩き出した。そして、穴蔵を半周したかと思う頃、冷い金属の棒が手に触れた。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
能
(
いい
)
加減に述べて、引き出しを
抽
(
ひ
)
いて、たちまち
彼奴
(
かやつ
)
の眼前へ打ち
覆
(
かえ
)
すと、無数の小銭が八方へ転がり走る。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そこで、先ずわれ/\は、最初に自分の感じを
抽
(
ひ
)
き出す文字を、あれこれと選択しつゝ紙に書いてみる。
文章を作る人々の根本用意
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あれほどの壮図を裏づけるだけの動機をこれらの言葉から
抽
(
ひ
)
き出すことは到底できない相談であろう。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
葉と同じ
株
(
かぶ
)
から
花茎
(
かけい
)
を
抽
(
ひ
)
いて花が咲くのだが、花は
茎頂
(
けいちょう
)
に一
輪
(
りん
)
着
(
つ
)
き、
側方
(
そくほう
)
に向こうて開いている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
も一つ
扉
(
と
)
を
抽
(
ひ
)
くと
階下
(
した
)
は外の先生の出る
画室
(
アトリエ
)
で、朝の生徒が三十人程一人の男のモデルの裸を囲んで画架を立てて居る。引返して二階へ
上
(
あが
)
つた。
其処
(
そこ
)
がロオランスの
画室
(
アトリエ
)
だ。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
お蔭で妙子は前より一層自由
気儘
(
きまま
)
な境遇に置かれているのであったが、それだけに、雪子に貧乏
鬮
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
かせて自分ひとり
巧
(
うま
)
いことをしているような、済まない気がしていたので
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
文芸の批評は単に作家の為に方角を示すのみならず、我々の生命に深さと新しさとを
抽
(
ひ
)
き出して来ねばならぬ。その上、我々の生活の上に、進んだ型と、普通の様式とを示さねば、意義がない。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
事務長の置き忘れて行ったパイプや帳簿のようなものは丁寧に
抽
(
ひ
)
き
出
(
だ
)
しに隠した。
古藤
(
ことう
)
が木村と自分とにあてて書いた二通の手紙を取り出して、古藤がしておいたように、
枕
(
まくら
)
の下に差しこんだ。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人間関係の調整と協同という側面だけは、たしかに政治と似たところがないではないが、それだからといって今度はその一側面だけを
抽
(
ひ
)
き出して、それが政治だというのは、思考の
遊戯
(
ゆうぎ
)
にすぎない。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
私は、米国の辻馬車屋がするように、彼等もまた揃って私の方に馳けつけるかなと思っていたが、事実はそれに反し、一人がしゃがんで長さの異った麦藁を四本ひろい、そして
籤
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
くのであった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
われは
兜兒
(
かくし
)
の中に猶
盾銀
(
たてぎん
)
二つありしを記したり。而るに我手に觸れたるは、重みある財布なりき。
抽
(
ひ
)
き出して見れば、
手組
(
てあみ
)
の女ものなるが、その色は曾てアヌンチヤタが媼の手にありしものに似たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
一番長いのを
抽
(
ひ
)
いたものが、金の使に立つといふ定めになつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「おい
抽
(
ひ
)
き出しの銃はだいじょうぶか」
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
柔和
(
にゅうわ
)
の心は相手の柔和の心を
抽
(
ひ
)
き出す
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
之を
抽
(
ひ
)
いて
已
(
すで
)
に
緒
(
いとぐち
)
を見る
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「俺は今月淺草の觀音樣へ行つたのさ。思ひ切りお
賽錢
(
さいせん
)
をあげて、半日拜んだ揚句、この縁談を
卜
(
うらな
)
ふつもりで
御神籤
(
おみくじ
)
を
抽
(
ひ
)
いた——」
銭形平次捕物控:073 黒い巾着
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女は座席に
即
(
つ
)
くと悠々小田島のシガレットケースから
煙草
(
たばこ
)
を
抽
(
ひ
)
き出してふかし始めた。そして
胡散臭
(
うさんくさ
)
そうに女を見乍ら
誂
(
あつらえ
)
を聞く給仕男へ横柄に
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
横にころがして貝のなかを覗くと、奥にはなにか紙のようなものが押し込んであるらしいので、すぐに
抽
(
ひ
)
き出してあらためると、それはたしかに百両包みであった。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
骨を截るのでありません、両方から合せてある骨を離すのです。骨が離れると肉も一緒に離れます。そこで料理人は胸の肉へ
縦
(
たて
)
に庖丁を入れて肩の処を
抽
(
ひ
)
きました。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
(この折半という所に値打がある。相手方も
大枚
(
たいまい
)
のお金を支出するのだ)二度目からは同じ相手方を選ぶとも、新らしい
籤
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
いて見るとも、そこは各自の自由である。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
水仙
(
すいせん
)
の花は早春に咲く。すなわち地中の
球根
(
きゅうこん
)
(球根は
俗言
(
ぞくげん
)
で正しくいえば
襲重鱗茎
(
しゅうちょうりんけい
)
)から、葉と
共
(
とも
)
に
花茎
(
かけい
)
(植物学上の語でいえば
葶
(
てい
)
)を
抽
(
ひ
)
いて直立し、
茎頂
(
けいちょう
)
に数花を
着
(
つ
)
けて横に向かっている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
たった一人
貧乏鬮
(
びんぼうくじ
)
抽
(
ひ
)
いたのんお梅どんで、「そんなことになってたのんに、お前附いてながら主人に知らさんいう法あるもんか」いわれて、
暇
(
ひま
)
出されてしもて、えらアい私ら恨んでて、——そら
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私はその晩の事を記憶のうちから
抽
(
ひ
)
き抜いてここへ
詳
(
くわ
)
しく書いた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
頻りに良人に対して親身や情味を欲した。始めは有頂天になって、こりゃ
籤
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
き当てたと思った。しかし
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
尤
(
もつと
)
も御神籤所で訊くと、奧方の
抽
(
ひ
)
いたお神籤は凶でなくて吉だつたさうで、少し變ぢやありませんか
銭形平次捕物控:172 神隠し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その内から比較的重要でない書類を
抽
(
ひ
)
き出して、破り捨て忘れ去ることが彼の最も大きな仕事の一つとなっていた。でなければ、更に重要な新らしい書類の入れ場所がないからである。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
カキツバタは水辺、ならびに
湿地
(
しっち
)
の
宿根草
(
しゅっこんそう
)
で、この属中一番
鮮美
(
せんび
)
な紫花を開くものである。葉は
叢生
(
そうせい
)
し、
鮮緑色
(
せんりょくしょく
)
で
幅
(
はば
)
広く、
扇形
(
せんけい
)
に
排列
(
はいれつ
)
している。
初夏
(
しょか
)
の
候
(
こう
)
、
葉中
(
ようちゅう
)
から
茎
(
くき
)
を
抽
(
ひ
)
いて
茎梢
(
けいしょう
)
に花を
着
(
つ
)
ける。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
通俗音楽の中から気高い良さを
抽
(
ひ
)
き出すことと、難しいものを一般人の趣味に引き下げて聴かせてくれるという二つの違った方面に対して、不思議な才能を恵まれている。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
壁虎
(
やもり
)
が鳴く、夜鳥が啼く。私にも何となく甘苦い哀愁が
抽
(
ひ
)
き出されて、ふとそれがいつか知らぬ間に海の上を渡っている若い店員にふらふらと寄って行きそうなのに気がつくと
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
通り一ぺんの
形容詞
(
けいようし
)
で片付けられる種類の女ではなく、人間の女性から五濁五惡の血肉を
抽
(
ひ
)
き去つてその代りに、天人の玉の
乳鉢
(
にゆうばち
)
で煉つた、眞珠の露を入れ換へたと言つた感じです。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、彼女が彼女に出来なくて自分にさせようとしていることなぞは、彼女とて自分とて、またいかに運の籤のよきものを
抽
(
ひ
)
いた人間とて、現実では出来ない相談のものなのではあるまいか。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「その通りだ。幇間の善八は飛んだ貧乏
籤
(
くじ
)
を
抽
(
ひ
)
いて、利三郎の道具になつたのだよ」
銭形平次捕物控:177 生き葬ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、彼女が彼女に出来なくて自分にさせようとしていることなぞは、彼女とて自分とて、またいかに運の籤のよきものを
抽
(
ひ
)
いた人間とて、現実では出来ない相談のものなのではあるまいか。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
従ってシゲティーの一枚物から、代表作を
抽
(
ひ
)
き出すことは甚だむずかしい。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
生れて始めての極度の緊張感を彼から
抽
(
ひ
)
き出した。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
生れて始めての極度の緊張感を彼から
抽
(
ひ
)
き出した。
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
抽
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“抽”を含む語句
抽出
抽籤
抽斗
引抽
抽象的
抽象派
小抽斗
抽匣
渋江抽斎
小抽出
抽取
澀江抽斎
抽象
抽箱
抽象究的
抽賞
新抽
澀江抽齋
籤抽
雑抽
...