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打棄
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うっちゃ
ふりがな文庫
“
打棄
(
うっちゃ
)” の例文
打棄
(
うっちゃ
)
っておくと
伊呂波
(
いろは
)
四十八文字を、みんな書きそうな形勢になって来たのには、持って生れたブッキラ棒の吾輩も負けちゃったね。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
下僕
(
しもべ
)
は「それでもいうたら大変に怒られるから
仕様
(
しよう
)
がない。」「そんならこの儘
打棄
(
うっちゃ
)
って置いてもよいか。一月
掛
(
かか
)
ってもよいのか。」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
オーレンカはサーシャが両親にすっかり
打棄
(
うっちゃ
)
られて、一家の余計者扱いにされ、
飢
(
う
)
え
死
(
じに
)
しかけているような気がしてならなかった。
可愛い女
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
しかし何処かへ
打棄
(
うっちゃ
)
らかしておいた、小さな皿や
茶碗
(
ちゃわん
)
などを一所懸命に
掻
(
か
)
き集めて、前と同じようなままごとを二人だけでしはじめた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
誇るに西洋料理七皿をもってする、
式
(
かた
)
のごとき若様であるから、
冷評
(
ひやか
)
せば真に受ける、
打棄
(
うっちゃ
)
って置けば
悄
(
しょ
)
げる、はぐらかしても乗出す。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
なぜ胸を
小衝
(
こづ
)
かれたような心もちになるか、そして又なぜに自分の視覚がその
咄嗟
(
とっさ
)
の間にどぎまぎして、いままで眺めていたものを
打棄
(
うっちゃ
)
って
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
廿九年
前
(
めえ
)
に殺そうと思って
打棄
(
うっちゃ
)
った己が生きて居ちゃア都合が悪いから、また殺そうとするのか、本当の親の為になる事なら命は惜まねえが
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
自分の頭の上でこんな
捫着
(
もんちゃく
)
を始められては、市之助ももう
打棄
(
うっちゃ
)
って置かれなくなった。彼はよんどころなく起き直った。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
アッサリ
打棄
(
うっちゃ
)
られたが、私のヘボ碁には出来すぎた碁で、黒白童子や覆面子を感心させ、呉氏もほめていたそうだ。
呉清源
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いくら放任教育でも
有繋
(
さすが
)
にお客の
肴
(
さかな
)
を
掠奪
(
りゃくだつ
)
するを
打棄
(
うっちゃ
)
って置けないから、そういう時は自分の膝元へ引寄せてお
椀
(
わん
)
の
蓋
(
ふた
)
なり
小皿
(
こざら
)
なりに肴を取分けて陪食させた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
然しだけ余計だよ。そんなことは
打棄
(
うっちゃ
)
ってしまうさ。……がまあ、今晩はゆっくり話をしよう。そして、このことは達子には
内密
(
ないしょ
)
にしといてくれ給い。
彼女
(
あれ
)
の心を
野ざらし
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
また春が来ますと、大空にはいつの間にか
紙鳶
(
たこ
)
の揚がっているのが目につき同時に今まで
打棄
(
うっちゃ
)
ってあった野良の田畑にぽつぽつと百姓の姿を認めるようになります。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
政吉 ああ痛え——いいよ、何、
打棄
(
うっちゃ
)
っといてくれ、それよりあ二人共、さあ早く逃げて行きな。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
種を
蒔
(
ま
)
いたのでもなければ、苗を植えたのでもない。畠の隅に桃の木が生えたのを
打棄
(
うっちゃ
)
って置いたら、いつの間にか花が咲くようになった。「桃栗三年柿八年」という。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「僕のことなんか
打棄
(
うっちゃ
)
っておいて呉れ。無鉄砲を
嗤
(
わら
)
われる資格は充分に有るのだから……」
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「俺、
棄児
(
すてご
)
だからな、
物心
(
ものごころ
)
を知らねえうちに
打棄
(
うっちゃ
)
られただから、どこで生れたか知らねえ」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こうなると主人の
敵
(
かたき
)
だから、
打棄
(
うっちゃ
)
っては置かれない。宗匠も助太刀に出て下さい」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「今までの儲け溜めさ。金利さえ
打棄
(
うっちゃ
)
れば宜いんだから、これだけは放さない」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
深い決意の色があらわれているのを見ましたが、
打棄
(
うっちゃ
)
っておきました。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
「何だ何だ、蜜柑を遣る。かう死んだ
小児
(
がき
)
でも思い出したか、
詰
(
つま
)
らねえ後生気を起しやがるな、
打棄
(
うっちゃ
)
っておけというに、やい。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
きょうはA君と若き哲学者のO君とに誘われるがままに、僕も朝から仕事を
打棄
(
うっちゃ
)
って、一しょに博物館や東大寺をみてまわった。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ふと自分の内縁の女房にして居るラサ府の婦人を想い出して阿母さんの方を
打棄
(
うっちゃ
)
って置いてまた
跡戻
(
あともど
)
りをして来たという
頓馬
(
とんま
)
な兵隊なんです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
寧ろ邪魔気で、あってもなくても宜いという虐待気味の、ふだんの扱いようになれて男はみんな
打棄
(
うっちゃ
)
らかし放題であった。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
長く
活
(
い
)
けて置けばばら/\と落ちて来ますから、あゝ
穢
(
きた
)
ない
打棄
(
うっちゃ
)
ってしまえと、今度は
大山蓮華
(
おおやまれんげ
)
の白いのを活けこの花の
工合
(
ぐあい
)
はまた無いと云ってゝも
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
俺
(
わし
)
は子供の時分、なんでもこの街道へ
打棄
(
うっちゃ
)
られたのを
大先生
(
おおせんせい
)
が拾って下すったとなあ。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
終には取返しが付かなくなるのが
看
(
み
)
え
透
(
す
)
いていながら万に一つ帰朝すれば
恢復
(
かいふく
)
する望みがないとも限らないのを
打棄
(
うっちゃ
)
って置くべきでないと、在留日本人の某々等は寄って
集
(
たか
)
って帰朝を勧告した。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
打棄
(
うっちゃ
)
っておくと警官の一人や二人絞め倒おしかねないんだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「この間から警察から頻りに呼び出しが参るのでございますよ。忙しいので
打棄
(
うっちゃ
)
り放しにして置きましたが、昨日又巡査が見えて、今朝九時過ぎに是非とも出頭するようにと呉れ/″\も申して行きました。何でございましょうかね?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
でも何もそんな
難
(
むずか
)
しい
御山
(
おやま
)
ではありません。
但
(
ただ
)
此処
(
ここ
)
は
霊山
(
れいざん
)
とか申す事、酒を
覆
(
こぼ
)
したり、竹の皮を
打棄
(
うっちゃ
)
ったりする
処
(
ところ
)
ではないのでございます。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そうだ、おれは随分長いことおれの仕事を
打棄
(
うっちゃ
)
らかしていたなあ。なんとかして今のうちに仕事もし出さなけれあいけない」
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
要らなければ何もやる訳はないと思って
打棄
(
うっちゃ
)
って置きますと、今度また手紙をよこしてさきにいっただけ入用だからぜひ貸してくれろという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そこで
私
(
わし
)
がいた蓮光寺へ葬りました、他に誰も寺参りをするものがないから、主人が七日までは墓参りに来たが、七日後は
打棄
(
うっちゃ
)
りぱなしで、花一本
供
(
あ
)
げず
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
貝ノ馬介はもうどうにも自制の利かない、先々の考えを
打棄
(
うっちゃ
)
る時にかかっていた。彼はすての肩を上から圧して、坐れといった。すては素直にぺたんと坐った。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「人形食い結構、あんな方に好かれたら、ほんとにわたしは、三年連れ添う御亭主を
打棄
(
うっちゃ
)
っても行きますわ、けれどもお気の毒さま、あちら様で、わたしなんぞは眼中にないのですからね」
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
打棄
(
うっちゃ
)
っておけ、もう、食いに出て来る。」私は
傍
(
そば
)
の男たちの、しか言うのさえ聞える近まにかくれたのである。草を
噛
(
か
)
んだ。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
結局つまらない物でも彼はいつもいい加減には
打棄
(
うっちゃ
)
らないで、熱心にしんせつに取っ組んでいたのである。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
竹「私は少しも知らないので、何か
無駄書
(
むだがき
)
の
流行唄
(
はやりうた
)
かと思いましたから、丸めて
打棄
(
うっちゃ
)
ってしまいました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その時から
既
(
すで
)
に経過してしまった数年の間、
若
(
も
)
しそれがそのままに
打棄
(
うっちゃ
)
られてあったならば、恐らくはこんな
具合
(
ぐあい
)
にもなっているであろうに……という私の感じの方が
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「はぐりをうっちゃれよ、
打棄
(
うっちゃ
)
れよ」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
串戯
(
じょうだん
)
じゃない。」と余りその
見透
(
みえす
)
いた世辞の
苦々
(
にがにが
)
しさに、織次は我知らず
打棄
(
うっちゃ
)
るように言った。
些
(
ち
)
とその
言
(
ことば
)
が激しかったか
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それよりも
下
(
くだ
)
り掛った時は構わないで
打棄
(
うっちゃ
)
って置いて其の車が
爼橋
(
まないたばし
)
まで下ってから、
一旦
(
いったん
)
空車
(
からぐるま
)
にして、
後
(
あと
)
で少しばかりの荷を付けて上げた方が
宜
(
よろ
)
しいようなもので
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はてんでもうそんなものを取り上げてみようという気持すらなくなってしまったのだ。で、私は仕事の方はそのまま
打棄
(
うっちゃ
)
らかして、毎日のように散歩ばかりしていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お妙さんの相談をしようと云うんなら、先ず貴女から、名誉も家も
打棄
(
うっちゃ
)
って、誰なりとも好いた男と一所になるという実証をお挙げなさい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と又騒動が大きくなりましたから、
流石
(
さすが
)
の渡邊も弱って何うする事も出来ません。
打棄
(
うっちゃ
)
って
密
(
そっ
)
と逃げるなどというは武家の法にないから、困却を致して居りました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
が、それを言いかけたなり、すこし
躊躇
(
ためら
)
っていたようだったが、それから急にいままでとは異った
打棄
(
うっちゃ
)
るような調子で、「そんなにいつまでも生きて居られたらいいわね」
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「隠さず、白状をなすったから、私がつかまって
行
(
ゆ
)
くのは堪忍して上げます。……
打棄
(
うっちゃ
)
った清葉さんも
豪
(
えら
)
いけれども。……」
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
又小兼も足掛二年
彼
(
あ
)
の野郎を
立
(
たて
)
すごしにしたというは、芸者に似合わねえ感心な親切者と思って居ると、とう/\女は江戸の
家
(
うち
)
を
打棄
(
うっちゃ
)
って、
態々
(
わざ/\
)
斯
(
こ
)
んな田舎まで尋ねて来て
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の留守の間、すっかり
打棄
(
うっちゃ
)
らかしてあったので、草も木も茂るがままに茂っていたところへ、程もなく
長雨
(
ながさめ
)
になってしまったものだから、前よりも私の家は一そう
鬱陶
(
うっとう
)
しい位であった。
かげろうの日記
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「お客だい、誰も来やしないよ、お
前
(
まい
)
。」と斜めに肩ごしに
見遣
(
みやっ
)
たまま
打棄
(
うっちゃ
)
ったようにもののすッきり。かえす
言
(
ことば
)
もなく
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お前さんの云う事は何んだか
薩張
(
さっぱ
)
り分りませんが、
男女
(
なんにょ
)
とも此の儘何うも捨置く事は出来ません、御意見に背くようですが親父の前へ対しても
打棄
(
うっちゃ
)
っちゃア置かれませんから
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“打棄(うっちゃり)”の解説
うっちゃりとは相撲の決まり手の一つである。漢字表記は、「打っ棄り」あるいは「打棄」。
(出典:Wikipedia)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
棄
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“打棄”で始まる語句
打棄放