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手水鉢
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てうづばち
ふりがな文庫
“
手水鉢
(
てうづばち
)” の例文
この
手水鉢
(
てうづばち
)
の下の植込みと、白い砂利が血に洗はれて居ります。これは曲者が主人を斬つた後で
脇差
(
わきざし
)
の刄を洗つたのでございます。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「くみちやん、あとでお
手水鉢
(
てうづばち
)
へ水を入れといて下さいな。すつかり片附いたらこちらへ入らつしやい。まあほんとにいゝ画だわね。」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
何
(
ど
)
うかすると
石
(
いし
)
の
手水鉢
(
てうづばち
)
が、
柳
(
やなぎ
)
の
影
(
かげ
)
に
青
(
あを
)
いのに、
清
(
きよ
)
らかな
掛手拭
(
かけてぬぐひ
)
が
眞白
(
まつしろ
)
にほのめくばかり、
廊下
(
らうか
)
づたひの
氣勢
(
けはひ
)
はしても、
人目
(
ひとめ
)
には
唯
(
たゞ
)
軒
(
のき
)
の
荵
(
しのぶ
)
。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
暗
(
くら
)
い
便所
(
べんじよ
)
から
出
(
で
)
て、
手水鉢
(
てうづばち
)
の
水
(
みづ
)
を
手
(
て
)
に
受
(
う
)
けながら、
不圖
(
ふと
)
廂
(
ひさし
)
の
外
(
そと
)
を
見上
(
みあ
)
げた
時
(
とき
)
、
始
(
はじ
)
めて
竹
(
たけ
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
した。
幹
(
みき
)
の
頂
(
いたゞき
)
に
濃
(
こま
)
かな
葉
(
は
)
が
集
(
あつ
)
まつて、
丸
(
まる
)
で
坊主頭
(
ばうずあたま
)
の
樣
(
やう
)
に
見
(
み
)
える。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
苔で青くなつた石の
手水鉢
(
てうづばち
)
に
家形
(
やかた
)
の置いてあるのがある庭も、奥の
室
(
ま
)
も、静かな静かなものでしたが、店の方には若いお
針子
(
はりこ
)
が大勢来て居ましたから、絶えず笑ひ声がするのでした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
総
檜
(
ひのき
)
の木口
数寄
(
すき
)
を
凝
(
こ
)
らし、
犬黄楊
(
いぬつげ
)
の
籬
(
まがき
)
の
裡
(
うち
)
、自然石の
手水鉢
(
てうづばち
)
あり。
筧
(
かけひ
)
の水に苔
蒸
(
む
)
したるとほり新しき手拭を吊したるなぞ、かゝる山中の風情とも覚えず。又、方丈の側面の小庭に古木の梅あり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こつちの
手水鉢
(
てうづばち
)
の側にある
芙蓉
(
ふよう
)
は、もう花が
疎
(
まばら
)
になつたが、向うの袖垣の外に植ゑた
木犀
(
もくせい
)
は、まだその甘い匂が衰へない。そこへ例の
鳶
(
とび
)
の声が
遙
(
はるか
)
な青空の向うから、時々笛を吹くやうに落ちて来た。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
手水鉢
(
てうづばち
)
で手を洗つてから、廊下で
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
さすがの悧巧な娘も
手水鉢
(
てうづばち
)
の上の手拭に、ほんの少し血が附いたことと、梯子段に眼に見えない血がこぼれたことだけは氣が付かなかつたらしい
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
而
(
さう
)
して、まあ
或
(
あ
)
る
處
(
ところ
)
へ、
然
(
しか
)
るべき
家
(
うち
)
を
借
(
か
)
り
込
(
こ
)
むで、
庭
(
には
)
には
燈籠
(
とうろう
)
なり、
手水鉢
(
てうづばち
)
も、
一寸
(
ちよつと
)
したものがあらうといふ、
一寸
(
ちよつと
)
氣取
(
きど
)
つた
鳥屋
(
とりや
)
といふ
事
(
こと
)
に
話
(
はなし
)
が
定
(
きま
)
つた。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手水鉢
(
てうづばち
)
のそばの南天の木に、白い花がさいてゐる。一つ/\拵へたやうにあざやかな葉の蔭に、絹糸のやうな
蜘蛛
(
くも
)
の巣がかゝつたのへ、夜露のしめりが小さい粒になつてゐるのも早い朝らしかつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
それから鞘についた血を洗つて拭いて——
手水鉢
(
てうづばち
)
の上の手拭に少し血がにじんでゐるだらう、恐ろしく氣のつく曲者だ。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
軈
(
やが
)
て
小用
(
こよう
)
を
達
(
た
)
した
様子
(
やうす
)
、
雨戸
(
あまど
)
をばたりと
開
(
あ
)
けるのが
聞
(
きこ
)
えた、
手水鉢
(
てうづばち
)
へ
干杓
(
ひしやく
)
の
響
(
ひゞき
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いや、屏風がひどく濡れてゐたところを見ると、曲者は水で濡らして、器用に剥がしたものらしいな。縁側には
手水鉢
(
てうづばち
)
に水を張つたのと、古手拭が置いてあつたよ」
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
家
(
いへ
)
のかゝり
料理
(
れうり
)
の
鹽梅
(
あんばい
)
、
酒
(
さけ
)
の
味
(
あぢ
)
、すべて、
田紳的
(
でんしんてき
)
にて
北八
(
きたはち
)
大不平
(
だいふへい
)
。
然
(
しか
)
れども
温泉
(
をんせん
)
はいふに
及
(
およ
)
ばず、
谿川
(
たにがは
)
より
吹上
(
ふきあ
)
げの
手水鉢
(
てうづばち
)
に
南天
(
なんてん
)
の
實
(
み
)
と
一把
(
いちは
)
の
水仙
(
すゐせん
)
を
交
(
まじ
)
へさしたるなど、
風情
(
ふぜい
)
いふべからず。
熱海の春
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「椽側の外の
手水鉢
(
てうづばち
)
の前へ
踞
(
しやが
)
んで、
柄杓
(
ひしやく
)
を取つたところを、下から突き上げられたのだ」
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それから
又
(
また
)
別
(
べつ
)
の
時
(
とき
)
、
手水鉢
(
てうづばち
)
の
傍
(
わき
)
へ
置
(
お
)
く、
手拭入
(
てぬぐひい
)
れを
買
(
か
)
ひに
行
(
い
)
つて、それを
又
(
また
)
十錢
(
じつせん
)
値切
(
ねぎ
)
つたといふ
話
(
はなし
)
がありますが、それはまあ
節略
(
せつりやく
)
して——
何
(
なん
)
でも
値切
(
ねぎ
)
るのは
十錢
(
じつせん
)
づゝ
値切
(
ねぎ
)
るものだと
女房
(
かみさん
)
は
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
廓そだち
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手水鉢
(
てうづばち
)
の下の血潮も、大方乾いてしまつて、何んの暗示も殘つては居なかつたのです。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“手水鉢”の解説
手水鉢(ちょうずばち)は、元来、神前、仏前で口をすすぎ、身を清めるための水を確保するための器をさす。
その後、茶の湯にも取り入れられ、露地の中に置かれるようになり、つくばいと呼ばれる独特の様式を形成していった。
(出典:Wikipedia)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
鉢
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
“手水”で始まる語句
手水
手水場
手水盥
手水口
手水所
手水桶
手水洗
手水流
手水石