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悋気
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りんき
ふりがな文庫
“
悋気
(
りんき
)” の例文
旧字:
悋氣
少しは邪推の
悋気
(
りんき
)
萌
(
きざ
)
すも我を忘れられしより子を忘れられし所には起る事、正しき女にも切なき
情
(
じょう
)
なるに、天道怪しくも
是
(
これ
)
を恵まず。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
得たり賢しと、
悋気
(
りんき
)
深い手合がつまらんことを言い触して歩きます。私は奥様の御噂さを聞くと、
口惜
(
くや
)
しいと思うことばかりでした。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
伴藏の女房おみねは
込上
(
こみあが
)
る
悋気
(
りんき
)
の角も奉公人の手前にめんじ我慢はしていましたが、
或日
(
あるひ
)
のこと馬を
牽
(
ひ
)
いて店先を通る馬子を見付け
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
本妻の
悋気
(
りんき
)
と
饂飩
(
うどん
)
に
胡椒
(
こしょう
)
はおさだまり、なんとも存ぜぬ。紫色はおろか、
身中
(
みうち
)
が、かば茶色になるとても、君ゆえならば厭わぬ。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
十年前新妻の愚鈍に
呆
(
あき
)
れてこれを去り七年前には妾の
悋気
(
りんき
)
深きに
辟易
(
へきえき
)
して手を切ってからこの
方
(
かた
)
わたしは今に
独
(
ひとり
)
で暮している。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
それをきょうここで出会うて、なるほどと思うた。筑前も好いたはずなれとな。……よいか、
悋気
(
りんき
)
はすな、仲よく暮らせよ
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
チチアネルロ
疾
(
と
)
うに、夜明前に——その時君等はまだ
寝
(
ね
)
ていたが——そっと門の外へ出て往った。青い
額
(
ひたい
)
へ愛の接吻、その脣へ
悋気
(
りんき
)
の言葉……。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
のう悲しやと喚くやら秘蔵の子猫を馬ほどに鼠が
咥
(
くわ
)
えて駈け出すやら屋根では
鼬
(
いたち
)
が躍るやら神武以来の
悋気
(
りんき
)
争い
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
源兵衛『あきれた
悋気
(
りんき
)
おんなだ。そなたと言うれっきとした女房があるのに、何で今更の浮気。つまらぬ云い合いに手間取る暇に、その松明こっちへ貰おう』
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
たたみ叩いてこちの人、わたしゃ
悋気
(
りんき
)
じゃないけれど、一人でさした傘ならば、片袖濡れようはずがない。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
「私は
悋気
(
りんき
)
で言ふ訳ぢやない、本当に旦那の身を思つて心配を為るのですよ、
敵手
(
あひて
)
が悪いからねえ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
嚊
(
かか
)
あの
悋気
(
りんき
)
、いや、いっち怖いは
成吉思汗
(
ジンギスカン
)
様の一睨み——おや! これでもお笑いにならない。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
よしや良人が芸者狂ひなさらうとも、囲い者して御置きなさらうともそんな事に
悋気
(
りんき
)
する私でもなく、
侍婢
(
をんな
)
どもからそんな
噂
(
うわさ
)
も聞えまするけれどあれほど働きのある御方なり
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然れども婦人の心正しく行儀
能
(
よく
)
して
妬心
(
ねたみごころ
)
なくば、去ずとも同姓の子を養ふべし。或は
妾
(
てかけ
)
に子あらば妻に子なくとも去に及ばず。三には淫乱なれば去る。四には
悋気
(
りんき
)
深ければ去る。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
悋気
(
りんき
)
はいわぬ、あくどくいったこれまでの厭味、堪忍しておくれよ九十郎さん! ……厭だ厭だ別れるなんて厭だ! ……義理や掻い撫での人情で、何んで妾がお前さんのために
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
女房の奴、もう、子供が五人も出来とるとに、まだ、くだらん
悋気
(
りんき
)
ばかりして困る。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「恋も
悋気
(
りんき
)
も忘れていたが」という、その一句のなかには、迷いの世界と、悟りの世界が示されています。すなわち恋と悋気の世界は、つまり迷いの世界です。あきらめられぬ世界です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
六十になる、八百屋の、よたよた
爺
(
おやじ
)
から、廿歳にしきやならない、髪結の息子まで、およそ出入りと名の付く者で、独身者とある限りは。奥様の
悋気
(
りんき
)
から出る、世話焼きの、網に罹つて、誰一人。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
悋気
(
りんき
)
といういまわしい言葉に絶えずおびやかされながら、ひそ/\声でお君をのゝしるのだった。しかも何たる事か、それとなくお君の機嫌をとり、着物など見立てゝ買って来たりするのだった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「越後守は婿で、家付きの
悋気
(
りんき
)
ぶかい奥方がいる」と去定は続けた
赤ひげ診療譚:02 駈込み訴え
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
亭主が浮気をしたら
出刃庖丁
(
でばぼうちょう
)
でも振りまわすくらいの
悋気
(
りんき
)
の強い女房ならば、私の
生涯
(
しょうがい
)
も安全、この万屋の財産も万歳だろうと思います、という事だったので、あるじは
膝
(
ひざ
)
を打ち
眼
(
め
)
を細くして喜び
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「よっぽど
悋気
(
りんき
)
深
(
ぶか
)
い女だよ」と、妻は僕に陰口を言ったが
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
これがなかなか
悋気
(
りんき
)
ぶかい男。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
他に妾ぐるいをなさるまいものでもないが、たとい
何
(
ど
)
んな事が有っても
悋気
(
りんき
)
をして離れるような事があれば、二度と再び顔を見ない
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
加ふるに
悋気
(
りんき
)
を
慎
(
つつし
)
まば妓となるとも人に愛され立てられて身を全うし得べし。いはんや
正路
(
せいろ
)
の妻となるにおいてをや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
されば
悋気
(
りんき
)
深い女房に
折檻
(
せっかん
)
されたあげくの果てに、去勢を要求された場合には、委細承知は
仕
(
つかまつ
)
れど、鰻やスッポンと事異なり、婦人方の見るべき料理でない。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「それがなんの為になるんですか。他家の奥さんを
悋気
(
りんき
)
させることが」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こんな顔になり其の顔で私の胸倉を取って
悋気
(
りんき
)
をしますから
居
(
い
)
られませんので、私が豊志賀の
家
(
うち
)
を駈出した跡で師匠が狂い
死
(
じに
)
に死にましたので、死ぬ時の
書置
(
かきおき
)
に
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女子の
悋気
(
りんき
)
はなほ
恕
(
ゆる
)
すべし。男子が
嫉妬
(
しっと
)
こそ哀れにも
浅間
(
あさま
)
しき限りなれ。そもそも嫉妬は私欲の迷にして
羨怨
(
せんえん
)
の心
憤怒
(
ふんぬ
)
と化して復讐の悪意を
醸
(
かも
)
す。
野暮
(
やぼ
)
の
骨頂
(
こっちょう
)
なり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その鼻と上唇を
截
(
き
)
った裁判あった時、妻の母いわく、この男は
悋気
(
りんき
)
甚だしいから、妾それを止めんとて、高名な道士に蛇の頭を麻の葉に
裹
(
つつ
)
んでもらい、婿の頭巾の
襞
(
ひだ
)
の中へ入れるつもりでしたと言い
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「ただ、
悋気
(
りんき
)
はすなよ」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何でも
屹度
(
きっと
)
新吉さんと訳が有るだろう、
何
(
なん
)
にも訳がなくって、お師匠さんが
彼様
(
あんな
)
に
悋気
(
りんき
)
らしい事を云って死ぬ気遣いは無い、屹度訳があるのだろうから云えと云うから
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一ツ寝の床に
寐相
(
ねぞう
)
をかまはず
寐言
(
ねごと
)
歯ぎしりに愛想をつかさるるとは知らで、たまたま小言の一も言はるれば、
一図
(
いちず
)
に薄情とわるく気を廻して、これよりいよいよ何かにつけて
悋気
(
りんき
)
の角を現す。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それに
以前
(
もと
)
吉原
(
よしはら
)
で
一遍
(
いつぺん
)
でもあなたの所へ出たことがあるんですから、
良人
(
うちのひと
)
に知れると
悋気
(
りんき
)
ではありませんが、
厭
(
いや
)
な顔でもされるとあなたも
御迷惑
(
ごめいわく
)
でございませうから
内々
(
ない/\
)
で。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
〽三ツの車に
法
(
のり
)
の道ソウラ出た……
悋気
(
りんき
)
と
金貸
(
かねかし
)
や罪なもの
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ところが己が
他
(
わき
)
の女に掛り合った所から、
嚊
(
かゝ
)
アが
悋気
(
りんき
)
を起し、以前の悪事をがア/\と
呶鳴
(
どな
)
り立てられ仕方なく、旨く
賺
(
だま
)
して土手下へ連出して、己が手に掛け殺して置いて
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家
(
うち
)
に居ると継母に捻られるから、お
母
(
っか
)
さんよりはお師匠さんの方が数が少いと思って近く来ると、
猶
(
なお
)
師匠は修羅を
燃
(
もや
)
して、わく/\
悋気
(
りんき
)
の
焔
(
ほむら
)
は絶える間は無く、益々逆上して
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
女「はい……まだ私は参った事はありませんから一度見物したいと思って居りますが、お寄申して
万一
(
ひょっと
)
奥さんか又権妻さんでもいらしって、お
悋気
(
りんき
)
でもあるとお気の毒だと存じまして」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
ど
)
うも女の声のようだから
訝
(
おか
)
しい事だと、
嫉妬
(
やきもち
)
の虫がグッと胸へ込み上げたが、年若とは違い、もう三十五にもなる事ゆえ、
表向
(
おもてむき
)
に
悋気
(
りんき
)
もしかねるゆえ、
余
(
あんま
)
りな人だと思っているうちに
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まさか打明けて
斯
(
こ
)
うだとお話も出来ないから、其の御婦人の
方
(
かた
)
へお逢い遊ばしに夜分お
出向
(
でむき
)
になる事ではないかと、
私
(
わたくし
)
は
悋気
(
りんき
)
ではございませんけれども、貴方のお身をお案じ申しますから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
悋気
(
りんき
)
でいうが、世間へ漏れては成りませんから、又市は
種々
(
いろ/\
)
に
宥
(
なだ
)
めて、その晩は共に
臥
(
ふせ
)
りましたことで、
先
(
ま
)
ず機嫌も直りましたが、
翌朝
(
よくあさ
)
になり、又市は此処に長く居ては都合が悪いと心得
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
文「手前が来てくれゝば己は有難いが、心中する程思い込んだ同士が夫婦になり、女房が無闇に一人で出歩けば亭主の心持は余りよくあるまい、己は独り者でいる所へ手前が毎日来て、ひょっと
悋気
(
りんき
)
でも起しはしないかと思って、それが心配だ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
“悋気”の意味
《名詞》
妬むこと。嫉妬すること。
(出典:Wiktionary)
悋
漢検1級
部首:⼼
10画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“悋気”で始まる語句
悋気深