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性
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たち
ふりがな文庫
“
性
(
たち
)” の例文
実際、女は慥かにさういふ
性
(
たち
)
の女だ。非常に根は
虔
(
つつま
)
しやかであるくせに、ヒヨツトした場合に突発的なイタヅラの出来る女だつた。
我が生活
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
と
揶揄
(
やゆ
)
一番した。ナカ/\
性
(
たち
)
が悪い。
態〻
(
わざわざ
)
二流会社を志望する僕達は決して優秀でないから、
擽
(
くすぐ
)
ったいような心持で顔を見合せた。
恩師
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
性
(
たち
)
のいい病人が、健康感に溢れている人々の、たのもしい元気の現われに対して示す、あの優しい喜びと共鳴の態度なのであった。
トリスタン
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
番頭の與七は利口と愚鈍と、自由自在に使ひわける
性
(
たち
)
の人間で、平次につかまつての話も、ヌラリクラリと一向に
埒
(
らち
)
があきません。
銭形平次捕物控:253 猫の首環
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
両親はまだ四十前の
働者
(
はたらきもの
)
、母は
真
(
ほん
)
の
好人物
(
おひとよし
)
で、吾児にさへも強い
語
(
ことば
)
一つ掛けぬといふ
性
(
たち
)
、父は又父で、村には珍らしく酒も左程
嗜
(
たしな
)
まず
天鵞絨
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
けれども、あの
女
(
こ
)
は、じたい、無口で、しんみりで、控目で、内気で、どうして思う事を、さらけ出いて口で云えるような
性
(
たち
)
ではない。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
独逸蚤との混血によって亜米利加蚤の
性
(
たち
)
が悪くなるという学理に拠ったものであった。こうなるともはや純客観というわけにはいかない。
蚤
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
るんは美人と云う
性
(
たち
)
の女ではない。
若
(
も
)
し床の間の置物のような物を美人としたら、るんは調法に出来た器具のような物であろう。
じいさんばあさん
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あのころの彼の眼のまわりや額には、そろそろ
性
(
たち
)
の惡い皺が疊まれだしていたものだったが、それも今ではほとんど消えていた。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
添田大目付——
清廉剛直
(
せいれんごうちょく
)
な
性
(
たち
)
で、まだ三十を幾つも越さず、この大役をうけたまわっている人物、出迎えの土部父子に軽く
会釈
(
えしゃく
)
をすると
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「お前はどうも
交際
(
つきあ
)
えば交際うほど人を甘くみてよくない
性
(
たち
)
だ、
溝店
(
どぶだな
)
で隣合っていた時代はわしのことを先生と呼んだ。……おまえはな」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貴婦人は崔を席に
著
(
つ
)
かした。若い婢が十人位来て崔に酒を勧めた。崔は豪傑の
性
(
たち
)
であった。彼は勧められるままに飲んで陶然として酔うた。
崔書生
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
アメリカのチヤアルス・シユワツブは人一倍器用な
性
(
たち
)
で、ピアノに向かふと
左手
(
さしゆ
)
では“Yankee Doodle”を弾き
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それやたしかにさうだ。僕なんか、自分が野人だから儀式に列するのは苦手だが、厳粛な儀式的光景には十分感激する
性
(
たち
)
の人間だよ。儀式を
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
その癖裏に着けた狐の皮は
斑
(
まだら
)
にほうけて、むやみに脱落するところをもって見ると、何でもよほど
性
(
たち
)
の悪い
野良狐
(
のらぎつね
)
に違ない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
元来すぐ人を甘く見る
性
(
たち
)
だから、校長の古手のような、余りパッとしない真名古の風采を見ると、たちまち舐めてかかって
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と弁護するのか悪く言うのかイヤに笑って我が妻を
顧
(
かえり
)
みる。妻君も苦笑いして下を向くは折々二度の髪を結う
性
(
たち
)
と見えたり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
恋のために朗らかになる
性
(
たち
)
で、よしんばほんの
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
の幸福にしろ、それを与えてくれた相手に感謝を惜しまぬ、
暢気
(
のんき
)
でお人好しな連中もある。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
承知できない
性
(
たち
)
ですので、いい加減に急ぎの頼まれものを、片づけてしまうというようなことがどうしてもできません。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
他の門人たちが人物評をやっていると、御自身でも一口云わないでは居れない
性
(
たち
)
である。然るに、自分にだけ、なぜあんな皮肉を云ったのだろう。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
老人は鶴子が勝手へ行ったままいつまでも戻って来ないので、
性
(
たち
)
の好くない行商人でも来たのではないかと、何気なく様子を
窺
(
うかが
)
いに来たのである。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
(小声にて。)そんならあなたはわたくしのような
性
(
たち
)
の女が手紙を落すつもりでなくて落すものだとお思いなさるの。
最終の午後
(新字新仮名)
/
フェレンツ・モルナール
(著)
池田はすぐ
激昂
(
げきこう
)
する
性
(
たち
)
で、気の毒だったが、しかし、何といっても殿の今度のなされ方は、すこしお手荒だったよ。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
しかし
性
(
たち
)
のいい
弟子
(
でし
)
は、先生の手足になってきげんよく元気に働いている期間にすっかり先生の頭の中の原動力を認識し摂取してわが物にしてしまう。
空想日録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
實に芥川龍之介は、僕がかつて思つたよりも、ずつと遙かに
性
(
たち
)
のちがつた、崇敬すべく愛慕すべき文學者だつた。
芥川竜之介の追憶
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
あれは狡猾なだけで、深く物を考へる
性
(
たち
)
ではないからだ。あゝ云ふ男の智識には頭があつて胴がない。精々頭と肩とだけしかない。
大口魚
(
たら
)
の様なものだ。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ちょっと当世には向かない
性
(
たち
)
だ。遊侠の徒になるもよかろう。町道場をひらくもいい。好きな娘とくらすもいい。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一体ヤクツク人は人の善い
性
(
たち
)
で、所々の部落で
余所
(
よそ
)
から来たものに可なりの補助をして遣る風俗になつてゐる。
樺太脱獄記
(新字旧仮名)
/
ウラジミール・ガラクティオノヴィチ・コロレンコ
(著)
われとわが牝馬を盗んだなんちふ
性
(
たち
)
の悪い言ひがかりをされてさ? 屹度これあ、なんでも
前
(
さき
)
の世からの因果で、こんな不運な憂目を見ることだべえなあ!
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
いつたい彼女は何時もむつつりと黙り込んでゐる
性
(
たち
)
で、何事かを深く考へ続けてゐるやうにまなざしは自分の内部へ向つてさされてゐることが多いのである。
青春の天刑病者達
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
非常に頬骨が高い
性
(
たち
)
の所へ大きな黒眼鏡をかけて居るのでそれが丁度「
うつろ
(
洞
)
」になった眼窩の様に、歯を損じた口のあたりは、ゲッソリ、すぼけて見える。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
我々のは恥かしくて何貫目ありますなどと人様には云えませんよ、たいてい贅沢もし
甘味
(
おい
)
しいものも食べてみるんだが、
性
(
たち
)
でしょう、一向効果がありません。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
どうも少し
傷寒
(
しょうかん
)
の
性
(
たち
)
だから大事にするようにと仰しゃって、今日はお加減が違いましたからこれから煎じます
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「器用な
性
(
たち
)
で、一時手習の師匠もし芝居の手伝いなどしていたが、何んでもそう遠くない所に居るとの話」
相馬の仇討
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
尤も僕は、謙遜するわけでは毫もないんだけれどもさ、
生来
(
うまれつき
)
のれつきとした迂闊者でね、青と言や青だけしか思ひ付かない
性
(
たち
)
なんだあ。青は断じて青なんだよ。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
性
(
たち
)
の悪い厚かましい無頼な少年で、同じような不良の徒と終日遊び暮していた。そしてその仲間の、嘆かわしい様子にばかりでなく、恥ずべき習癖にも染んでいた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
人を飲むほどの酒はイヤにアルコホルの強い奴で、人を読むほどの書も
性
(
たち
)
がよろしくないのだらう。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
午前中からの、それもあまり
性
(
たち
)
のよくない酒は、頭の皮と脳の間にたまつて、不快な限りであつた。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
此男は元来
咽
(
のど
)
の乾く
性
(
たち
)
ですから、一度この味を占めると、また一口飲みたく成る、つい二度三度と瓶へのお見舞を重ねる中に、段々に気が遠くなつて、目がちらつき
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ブラスビイユはずいぶん卑劣な
性
(
たち
)
で、それでいて浅薄な野心家でして、両海運河事件には実に醜劣な仕事をしていたのでございます。収賄ですか? きっとしています。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
その中には霊場から霊場へ、草庵から草庵へとさまよひ歩いて、どの霊場でも、どの山籠の僧の前でも、同じやうに身も
解
(
と
)
けるばかり、感動する
性
(
たち
)
の巡礼女が幾らもある。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
よく氣のつく
性
(
たち
)
の少女で、一方では、彼女は機轉がきいて、風變りで、また一方では、彼女は私の氣を樂にさせるところがあつたので、私は彼女との
交
(
まじは
)
りはたのしかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
もちろん漱石は客を好む
性
(
たち
)
であって、いやいやそうしていたのではないであろうが、しかしそれは客との応対によって精力を使い減らすということを防ぎ得るものではない。
漱石の人物
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
「これは立派な勾玉ですね、こんな
性
(
たち
)
の好い琅玕は、そう沢山はありますまい。」
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
更に大いに買いたいのだし、持ちたいのだし、物さえ出れば今も折を逃さぬ
性
(
たち
)
だから、「まだ買うのか」といわれても、「持ち過ぎる」といわれても、
強
(
あなが
)
ち不当な評言だとは思われぬ。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
文部省の知らない間に、時の警保局長の個人的肝入りで話し合いになった例の帝国文芸院(後に文芸懇話会)や、その第二流陣などは、恐らくここにその面目を施す
性
(
たち
)
のものに相違ない。
思想としての文学
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
母は
家庭向
(
かていむ
)
きの
奥
(
おく
)
さんという
性
(
たち
)
の人で、
家
(
うち
)
の中の用事にかかりっきりだった。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
ただ怪しんで跡より跡より出で来て殺された例も多く読んだから
攷
(
かんが
)
うると、いかなる心理作用よりかは知らぬが、同類殺さるを知りながら、その死処に近づく
性
(
たち
)
の動物が少なからぬようで
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
あなたなんぞは空が飛びたくはあるが、なんだか
眩暈
(
めまい
)
がしそうだと云う
性
(
たち
)
でしょう。一体わたしがあなたに御交際を願ったのですか。それともあなたがわたしに附き合うようにしたのですか。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
(
子貢
(
しこう
)
子張輩
(
しちょうはい
)
は、
顔淵
(
がんえん
)
に対する・師の
桁外
(
けたはず
)
れの打込み方に、どうしてもこの感情を禁じ得ないらしいが。)子路は年齢が違い過ぎてもいるし、それに元来そんな事に
拘
(
こだ
)
わらぬ
性
(
たち
)
でもあったから。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
“性”を含む語句
女性
性質
素性
性急
性来
性根
本性
身性
性情
無性
根性
悪性
甲斐性
性懲
性得
人間性
性分
気性
仏性
天性
...