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性根
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しょうね
ふりがな文庫
“
性根
(
しょうね
)” の例文
ただし、なにか思うところがあってやっているのか、それとも
出鱈目
(
でたらめ
)
なのか、こんな
風来人
(
ふうらいじん
)
のことだから、
性根
(
しょうね
)
のほどはわからない。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「いえ、単なる文学者と云うものは
霞
(
かすみ
)
に酔ってぽうっとしているばかりで、霞を
披
(
ひら
)
いて本体を見つけようとしないから
性根
(
しょうね
)
がないよ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なあに、そんなことで見えるものか、さあ、こうして頭を真直ぐに、
性根
(
しょうね
)
を
臍
(
へそ
)
の上に置いて、もう一ぺん眼を据えて、金の鯱を拝め」
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
本心とりもどせ。
性根
(
しょうね
)
入れ替えると一言申さば、主水之介とて同じお旗本につらなる身、ことを荒立てとうはない! いかがじゃ!
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
大事にお思いか。……そんな
性根
(
しょうね
)
の子が求めてきた茶などを、歓んで飲む母とお思いか。……わたしは腹が立つ。わたしはそれが悲しい
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
「
唯
(
ただ
)
(左様ですか)では済まん。様子に寄つてはこれ、きつとわれわれに心得がある。しつかり
性根
(
しょうね
)
を
据
(
す
)
へて返答せないか。」
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「この子がまた、先生、一番意気地なしで困るんですよ」お袋は念入りに肩を動かして、さも
性根
(
しょうね
)
なしとののしるかの様子で女の方を見た。
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
この娘は見掛けの弱々しい可愛らしさに似ず、
性根
(
しょうね
)
に
確
(
しっ
)
かりしたものがあるらしく、昨夜の話も整然として筋も乱れません。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あの子の胸の上にのっておやり。そうすると、あの子にわるい
性根
(
しょうね
)
がうつって、そのためくるしいめにあうだろうよ。」
野のはくちょう
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
見た目はよくはないが、その
面付
(
つらつき
)
から察すれば実に
性根
(
しょうね
)
のしっかりした奴らです。これならきっと軍艦でも動かせるよ。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
そういう泥棒野郎なのじゃ! だによって捨てろと
訓
(
さと
)
すのじゃ! 今夜こそ口先のあいあいではこの長者様は承知せぬぞ!
性根
(
しょうね
)
を据えて返辞をせい!
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
半次郎の奴の
性根
(
しょうね
)
が悪いからには違いないが、傍にまッとうな人でもいたら、ああもならずに居たろうかと、愚痴だとは思いながら、友達衆が
怨
(
うら
)
めしい。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
眺め「おいとしや親父様、己の
性根
(
しょうね
)
が悪い故」にて自分を指し「御相談の相手もなく、
前髪
(
まえがみ
)
の首を
惣髪
(
そうはつ
)
にして渡さうたあ、量見ちげえのあぶねえ仕事だ」
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
六十歳近くなって養子も取らないのは、いつかわが子が帰って来る、
性根
(
しょうね
)
が直り、侍らしい人間になって帰るだろう、そう思って待っているのではないか。
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
スリに
掏
(
す
)
り取られるのも、
性根
(
しょうね
)
が間抜けなせいでなく、おっとりした人柄のせいに違いない。そう僕は思った。そして僕らはウナギを食べ、酒を飲み始めました。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
二人とも
案外
(
あんがい
)
見られる服装をしてやって来た。この
界隈
(
かいわい
)
の人の間には共通の負けん気があった。いざというときは町の小商人にヒケはとらないという
性根
(
しょうね
)
であった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今日限り親子の緑を切るから勝手にしろ、
予
(
かね
)
ていった通り、足骨を
打
(
ぶ
)
ち折ってもやりたいが、今晩だけは勘弁してやる。
何処
(
どこ
)
でも出て行って、その腐った
性根
(
しょうね
)
を
叩
(
たた
)
き直せ
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「ちえッ。——まあそのうち、改めて来るから、そのときは
性根
(
しょうね
)
を
据
(
す
)
えて返答をしろ、いいかッ」
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
つまり役の
性根
(
しょうね
)
は、さると人間が、主人と家来と身分を取りかえたついでに、ばかをりこうと取りかえて、とんだあほうの取りちがえ、これが
芝居
(
しばい
)
のおかしいところなのだ
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
おまえみたいなばかは
少
(
すく
)
ない。ほかの
子供
(
こども
)
がこうして
覚
(
おぼ
)
えるのに、それを
忘
(
わす
)
れるというのは
魂
(
たましい
)
が
腐
(
くさ
)
っているからだ。おまえみたいな
子供
(
こども
)
は、
普通
(
ふつう
)
のことでは
性根
(
しょうね
)
が
直
(
なお
)
らない。
教師と子供
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかしそれから
後
(
のち
)
、永年荒っぽい海上生活を続けて来たお蔭で
性根
(
しょうね
)
が丸で変ってしまった。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
雪之丞は、冷たく心に笑って、やがて、専念に、役の
性根
(
しょうね
)
に
渾身
(
こんしん
)
を傾け出すことが出来た。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
女を
弄
(
もてあそ
)
ぶのは何故だか左程の罪悪とも思って居なかったが、
苟
(
いやしく
)
も男児たる者が女なんぞに惚れて
性根
(
しょうね
)
を失うなどと、そんな腐った、そんなやくざな根性で何が出来ると息巻いていた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
あの人がどうなろうとも構わぬが、唯くれぐれも案じらるるはお前のことじゃ。おまえはそもそもお師匠さまが大切か、わたしがいとしいか、それを聞きたい。お前の
性根
(
しょうね
)
を確かに知りたい。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
通
(
とお
)
りがかりの
御挨拶
(
ごあいさつ
)
で、
何
(
な
)
んとも
恐
(
おそ
)
れいりますが、どうやら、
市松
(
いちまつ
)
の
野郎
(
やろう
)
が、
飛
(
と
)
んだ
粗相
(
そそう
)
をいたしました
様子
(
ようす
)
。
早速
(
さっそく
)
連
(
つ
)
れて
帰
(
かえ
)
りまして、
性根
(
しょうね
)
の
坐
(
すわ
)
るまで、
責
(
せ
)
め
折檻
(
せっかん
)
をいたします。どうかこのまま。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
結婚せねばならぬという理屈でよくは
性根
(
しょうね
)
もわからぬ人と人為的に引き寄せられて、そうして自ら機械のごときものになっていねばならぬのが道徳というものならば、道徳は人間を絞め殺す道具だ。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「そこは昔馴染です。お互に
性根
(
しょうね
)
が分っています」
変人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
性根
(
しょうね
)
ときたら、もっと黄色いですよ」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「いいや、わしは気は狂わぬ、この人でなしをここへ連れて来た者が狂っている、ここへ集まった者は
性根
(
しょうね
)
が腐っている」
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「それほど
性根
(
しょうね
)
には分っていながら、なんで
因業
(
いんごう
)
旦那と有名な
曹家
(
そうけ
)
の酒なぞ食らやがって、いい気になってしまったのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どんなに魂がうろついてる時でも呼ばれて見ると
性根
(
しょうね
)
があるのは不思議なものだ。自分は何の気もなく振り向いた。応ずるためと云う意識さえ持たなかったのは事実である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
生徒達の一行にさえ頓着なしに泳ぎだした。するうち小初に不思議な
性根
(
しょうね
)
が
据
(
すわ
)
って来た。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その跡に取り残されて、おろおろしているのは
真物
(
ほんもの
)
の聟、仲屋の錦太郎でした。二十五六の
華奢
(
きゃしゃ
)
な男、青い顔をして、激動に
顫
(
ふる
)
えておりますが、
性根
(
しょうね
)
はなかなかの
確
(
しっか
)
り者らしくもあります。
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「悪いといっても、
性根
(
しょうね
)
は善人だよ」
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
やっと、
性根
(
しょうね
)
をつけられて
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「そこが兄貴と俺との
性根
(
しょうね
)
が違うところなんだ、ケチな野郎ならケチな野郎でいいから、俺は俺の思うようにしてみてえ」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
木下助右と
勘解由
(
かげゆ
)
の
付人
(
つけびと
)
二人も、見殺しにしながら、池田監物を、家臣にもらいたいなどといっているようでは、まだまだ、
性根
(
しょうね
)
がついていないと見える。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも身分がよかったり、金があったりするものに、よくこう云う
性根
(
しょうね
)
の悪い奴があるものだ
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後年彼の思想はドイツの民族主義に
性根
(
しょうね
)
を
据
(
す
)
え、高度の理想主義に発展したが、若かりし頃のワグナーは、当時の改革思想の影響を受けて、新しきものへと
猪突
(
ちょとつ
)
したのはまたやむを
得
(
え
)
ないことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
「はあ、有難えこんだ、わしも、芸事はすべて役どこの
性根
(
しょうね
)
が肝腎だと思いやして、なるべくはらで見せるようにしてえと、こう思っているんでがんす」
大菩薩峠:35 胆吹の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
伏見中納言とか越後中将とか、あんな連中なら何十人助けてくれたからとて大事はありません。——が、総じて、
弓取
(
ゆみとり
)
の子というものは、
性根
(
しょうね
)
の
恐
(
こわ
)
いものです
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雑誌なんかで
法螺
(
ほら
)
ばかり吹き立てていたって始まらない、これから
性根
(
しょうね
)
を
入
(
い
)
れかえて、もっと着実な世間に害のないような職業をやれ、教師になる気なら心当りを
奔走
(
ほんそう
)
してやろう
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お松は返事に困って、この伯母という人の
性根
(
しょうね
)
がどこまで
卑
(
いや
)
しくなったかと、それを悲しむのみであります。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ウム、それほどまでに、しかとした
性根
(
しょうね
)
をもちながら、なんで、あのようなあぶない芸をいたすのじゃ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それと戦いとは違うが、民の
性根
(
しょうね
)
というものは、これ程なものだというには、
証
(
あか
)
し得て余りがあろう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも持って生れた
性根
(
しょうね
)
というやつは、なかなか直るもんじゃなく、私が先生について一肌脱ごうということになると、あいつが、いい気になって、浪人たちの方へ廻り
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
逆賊の
性根
(
しょうね
)
は幾皮
剥
(
む
)
いても逆賊ときまったものだ。尊氏と義貞とは、朝家に誓いたてまつる根本の信念でも、またいかなる点でも、
倶
(
とも
)
に天をいただかざる
仇敵
(
あだがたき
)
。
這奴
(
しゃつ
)
を
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどもこの時のは、酒に
性根
(
しょうね
)
を奪われておりませんでしたから、いわば一時の
癇癪
(
かんしゃく
)
です。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
『五合や一升で、
性根
(
しょうね
)
を失ってたまるものか。本性だ。お……おらあ、本性で礼をいうんだぜ』
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
性根
(
しょうね
)
を据えて考えてみろ、公儀の金や町人の金銭に眼をつけたところで始まらないじゃないか、誰が取ってもさしさわりのない金がこの甲州にはウントあるのだ、言って聞かすまでもなく
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“性根”の意味
《名詞1》
一つのことを長くやり続ける根気。「性根が尽き果てる」
《名詞2》
その人の根本的な心の持ち方。「性根の腐ったやつ」
(出典:Wiktionary)
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
根
常用漢字
小3
部首:⽊
10画
“性根”で始まる語句
性根場