トップ
>
引裂
>
ひきさ
ふりがな文庫
“
引裂
(
ひきさ
)” の例文
彼
(
かれ
)
は
苦
(
くる
)
しさに
胸
(
むね
)
の
邊
(
あたり
)
を
掻
(
か
)
き
毟
(
むし
)
り、
病院服
(
びやうゐんふく
)
も、シヤツも、ぴり/\と
引裂
(
ひきさ
)
くので
有
(
あ
)
つたが、
施
(
やが
)
て
其儘
(
そのまゝ
)
氣絶
(
きぜつ
)
して
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
五郎は道化服をびりびりと
引裂
(
ひきさ
)
いた。ここに! と指さしたからには、例の秘密を持っているに違いない。しかし何も出てこなかった。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
もう一つお絹と同じやうに、下半身は淺ましくも
引裂
(
ひきさ
)
かれ、この死骸に對して、下手人の恐ろしい惡意を思はせます。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
猨狙
(
さる
)
に周公の服を着せれば、驚いて
引裂
(
ひきさ
)
き棄てるに決っている。云々…………子路を孔門の徒と知っての言葉であることは明らかだ。老人はまた言う。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
紳士 口でな、
最
(
も
)
う其の時から。
毒蛇
(
どくじゃ
)
め。
上頤
(
うわあご
)
下頤
(
したあご
)
へ
拳
(
こぶし
)
を
引掛
(
ひっか
)
け、
透通
(
すきとお
)
る歯と
紅
(
べに
)
さいた唇を、めりめりと
引裂
(
ひきさ
)
く、
売婦
(
ばいた
)
。(足を挙げて、
枯草
(
かれくさ
)
を
踏蹂
(
ふみにじ
)
る。)
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
何百本
(
なんびやくぽん
)
の
日章旗
(
につしようき
)
が
立
(
た
)
つて
居
(
を
)
つたにしろ、
其樣
(
そん
)
な
事
(
こと
)
には
抅
(
かま
)
はぬ、
忽
(
たちま
)
ち
日章旗
(
につしようき
)
は
片々
(
きれ/″\
)
に
引裂
(
ひきさ
)
かれて、
代
(
かは
)
つて
獅子
(
しゝ
)
や
鷲章
(
わしゞるし
)
の
旗
(
はた
)
が、
我物顏
(
わがものがほ
)
に
此
(
この
)
島
(
しま
)
を
占領
(
せんりよう
)
する
事
(
こと
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
艶書は誰にも知られぬ間に
縦横
(
たてよこ
)
きれぎれに細かく
引裂
(
ひきさ
)
かれて江戸川の流に投げ
棄
(
す
)
てられたのである。
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
弱っているわけは、あの硝子窓を通るときに、
外皮
(
がいひ
)
を大分
引裂
(
ひきさ
)
いたので、地球の高い温度がこたえるのです。そしてこのルナ・アミーバーは、兄さんを
胴締
(
どうじ
)
めにしていた奴です。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
引裂
(
ひきさ
)
かれた旗は床の上に落ちていました。三色旗は銃剣の先にはためいていました。そして玉座の上には、青ざめて
聖
(
きよ
)
らかな顔をした貧しい男の子が、眼を天へ向けて横たわっていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
絹木綿は
綾操
(
あやどり
)
にくきものゆえ、今晩の
中
(
うち
)
に
引裂
(
ひきさ
)
くという事は、御尊父様のお名を
匿
(
かく
)
したのかと心得ます、渡邊織江の
織
(
おり
)
というところの縁によって、
斯様
(
かよう
)
な事を
認
(
か
)
いたのでも有りましょうか
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
何
(
ど
)
うするのかと見ていると、重太郎は
其
(
そ
)
の枝を口に
喞
(
くわ
)
えてひらりと飛び降りたが、物をも云わずお葉の前に歩み寄って、二叉の枝を股から二つに
引裂
(
ひきさ
)
くと、
何方
(
どっち
)
の枝にも四五輪の蕾を宿していた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「君等を
引裂
(
ひきさ
)
いて、おれがどんな得をする?」
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼
(
かれ
)
は
苦
(
くる
)
しさに
胸
(
むね
)
の
辺
(
あたり
)
を
掻
(
か
)
き
毟
(
むし
)
り、
病院服
(
びょういんふく
)
も、シャツも、ぴりぴりと
引裂
(
ひきさ
)
くのであったが、やがてそのまま
気絶
(
きぜつ
)
して
寐台
(
ねだい
)
の
上
(
うえ
)
に
倒
(
たお
)
れてしまった。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ズボンは
滅茶苦茶
(
めちやくちや
)
に
引裂
(
ひきさ
)
かれ、
片足
(
かたあし
)
の
靴
(
くつ
)
は
無殘
(
むざん
)
に
噛取
(
かみと
)
られて、
命
(
いのち
)
から/″\
車中
(
しやちう
)
に
轉
(
まろ
)
び
込
(
こ
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
女の
呻
(
うめ
)
くような悲しげな声や、長い紙を静かに
引裂
(
ひきさ
)
くような物音が、絶えては聞え絶えては聞えして来るので、妙に
苛々
(
いらいら
)
と寝苦しい
思
(
おもい
)
をしながら一夜を明かしたのであった。
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
嬲
(
なぶ
)
るな。
人
(
ひと
)
が
生死
(
いきしに
)
の
間
(
あひだ
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ふ
処
(
ところ
)
を、
玩弄
(
おもちや
)
にするのは
残酷
(
ざんこく
)
だ。
貴様
(
きさま
)
たちにも
釘
(
くぎ
)
の
折
(
をれ
)
ほど
情
(
なさけ
)
が
有
(
あ
)
るなら、
一思
(
ひとおも
)
ひに
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
へ。さあ、
引裂
(
ひきさ
)
け、
片手
(
かたて
)
を
捥
(
も
)
げ……」とはたと
睨
(
にら
)
む。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
あどけない顏は恐怖に引釣つて居りますが、處女の美しさを破壞する程ではなく、頤から下は血潮を浴びて、喉笛はお絹と同じやうに、恐しい四つの牙で、見るも無殘に
引裂
(
ひきさ
)
かれて居ります。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と云う廻りの声に驚き
引裂
(
ひきさ
)
いた手紙を懐中して、春部梅三郎は若江の手を取って柵を押分け、身体を横にいたし、
漸
(
ようよ
)
うの事で
此処
(
こゝ
)
を出て、川を渡り、一生懸命にとっとゝ
団子坂
(
だんござか
)
の方へ逃げて
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
春部梅三郎は
件
(
くだん
)
の
隠家
(
かくれが
)
に一人で寝て居り、
行灯
(
あんどう
)
を側へ引寄せて、いつぞや
邸
(
やしき
)
を出る時に
引裂
(
ひきさ
)
いた
文
(
ふみ
)
は、何事が書いてあったか、事に取紛れて碌々読まなかったが、と取出して
慰
(
なぐさ
)
み半分に
繰披
(
くりひら
)
き
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
傷は頸の両側にあり、奇怪な事には、それが三つ
宛
(
ずつ
)
、まるで長い爪を
突立
(
つきた
)
てたような形になっていた。——出血はひどいが
生命
(
いのち
)
に別状はなさ
相
(
そう
)
だ。新田は
寛衣
(
ガウン
)
の裾を
引裂
(
ひきさ
)
いて手早く
繃帯
(
ほうたい
)
をしながら
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
錦太郎の聲は次第に
疳
(
かん
)
が立つて、
引裂
(
ひきさ
)
かれるやうな調子になります。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
虎
(
とら
)
は
比較的
(
ひかくてき
)
愚
(
おろか
)
な
動物
(
どうぶつ
)
で、
憤然
(
ふんぜん
)
身
(
み
)
を
躍
(
をど
)
らして、
鐵車
(
てつしや
)
の
前方
(
ぜんぽう
)
から
飛付
(
とびつ
)
いたから
堪
(
たま
)
らない、
恐
(
おそ
)
る
可
(
べ
)
き
旋廻圓鋸機
(
せんくわいえんきよき
)
のために、
四肢
(
しゝ
)
や、
腹部
(
ふくぶ
)
を
引裂
(
ひきさ
)
かれて、
苦鳴
(
くめい
)
をあげて
打斃
(
うちたを
)
れた。
最
(
もつと
)
も
狡猾
(
こうくわつ
)
なるは
猛狒
(
ゴリラ
)
である。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
裂
常用漢字
中学
部首:⾐
12画
“引裂”で始まる語句
引裂紙