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尤
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とが
ふりがな文庫
“
尤
(
とが
)” の例文
「三十而立塩田子。言行寡尤徳惟馨。」〔三十ニシテ立ツ塩田子/言行
尤
(
とが
)
寡
(
すくな
)
ク徳
惟
(
こ
)
レ
馨
(
かお
)
ル〕随斎はその時二十八歳であったのである。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
遺言してこの百金を尊者に奉ったと取り出して捧げると、その金に眼がくれて一切
尤
(
とが
)
めず、犬に人間同様の墓を設くるを許したと。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
主謀たる自分は天をも
怨
(
うら
)
まず、人をも
尤
(
とが
)
めない。
只
(
たゞ
)
気の毒に堪へぬのは、親戚故旧友人徒弟たるお
前方
(
まへがた
)
である。自分はお前方に罪を謝する。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
汝らのうち、心
尤
(
とが
)
めされぬ者まずハムレットを石にて搏つべしと言ったらばはたして誰が石を取って手を
挙
(
あ
)
げうるであろう。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
野獣か、鬼母か、
吾
(
われ
)
之
(
これ
)
を知らず。
西人
(
せいじん
)
或
(
あるい
)
は帝
胡人
(
こじん
)
の殺すところとなると為す。
然
(
しか
)
らば
則
(
すなわ
)
ち帝
丘福
(
きゅうふく
)
を
尤
(
とが
)
めて、而して福と
其
(
その
)
死を同じゅうする也。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
諸友の
因循
(
いんじゅん
)
なるを
尤
(
とが
)
め、曰く、「彼らあるいはまた背き去るといえども、
蓋
(
けだ
)
し村塾爐を囲み、徹宵の談を忘れざるべし」と。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
こうなると、人間というものは妙に引け身になるもので、いつまでも一所にいると、何だか人に怪まれそうで気が
尤
(
とが
)
める。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
存
(
なが
)
らへ御
尤
(
とが
)
めの身分を
憚
(
はゞ
)
からず
押
(
おし
)
て此段御屋形樣へ
言上
(
ごんじやう
)
仕り候此儀御用ひなき時は是非に及ばず私し儀は
含状
(
ふくみじやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此に至りしこと
強
(
あなが
)
ちに
尤
(
とが
)
むべからずと雖も、吾人にして若し唯基督教の国家社会を利する
所以
(
ゆゑん
)
をのみ論じて
信仰個条なかるべからず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「そなたの下らぬ言葉が、此の少年を堕落させたわ——この哀れな有様を見ても気が
尤
(
とが
)
めはせなんだか——」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「待て、こら!」と
喝
(
かつ
)
する声に、行く人の始て事有りと
覚
(
さと
)
れるも多く、はや車夫の不情を
尤
(
とが
)
むる
語
(
ことば
)
も聞ゆるに、
耐
(
たま
)
りかねたる夫人は
強
(
しひ
)
て
其処
(
そこ
)
に下車して返り
来
(
きた
)
りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「だつて、その
位
(
くれゐ
)
は
当
(
あた
)
り
前
(
めへ
)
だア。お前さアばか、勝手な真似して、
己
(
うら
)
ら
尤
(
とが
)
められる
積
(
せき
)
はねえだ」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
子貢曰く、
何為
(
なんすれ
)
ぞそれ子を知るなからん。子曰く、(我は)天をも
怨
(
うら
)
みず、人をも
尤
(
とが
)
めず。下(人事を)学びて上(天命に)達す。我を知るものはそれ天のみか。(憲問、三七)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
思い懸けなくも
其処
(
そこ
)
に主人の声がして梅の花を折ってはいかんと
尤
(
とが
)
められたので、
吃驚
(
びっくり
)
して手を
止
(
と
)
めたのであるが、其処の主人もまた、それを尤めたばかりで
無下
(
むげ
)
に追い払うのも
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
若
(
も
)
しお勢を深く
尤
(
とが
)
む
可
(
べ
)
き者なら、
較
(
くら
)
べて云えば、
稍々
(
やや
)
学問あり智識ありながら、尚お
軽躁
(
けいそう
)
を免がれぬ、
譬
(
たと
)
えば、文三の如き者は(はれやれ、文三の如き者は?)何としたもので有ろう?
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
尤
(
とが
)
めようとも思わぬ。わしはただ自分の信ずるところに従って、丁度この泰山の麓から、頂上に上るように、低いところから、一歩々々と高いところに上って来たのじゃ。わしの心は天のみが知っている。
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
しかしその樗とその一名なる臭椿とはその字面は正しいけれどそのフリガナはとても滑稽でそれがオドケ話ならば別に
尤
(
とが
)
むべきものでもないが史実上の問題としてであって見れば実はこんな間違ったフリガナを
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
いま
将
(
は
)
た誰れをか
尤
(
とが
)
め、かつ怨まんや。
留魂録
(新字旧仮名)
/
吉田松陰
(著)
そこには彼の踏み進むべき道路はない。又
掠奪
(
りゃくだつ
)
すべき作物はない。誰がその時彼の踏み出した
脚
(
あし
)
の一歩について
尤
(
とが
)
めだてをする事が出来るか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
発狂してからに馬鹿な事を
為居
(
しを
)
る奴は
尤
(
とが
)
むるに足らんけれど、
一婦人
(
いつぷじん
)
の為に発狂したその根性を、彼の
友
(
フレンド
)
として僕が
慙
(
は
)
ぢざるを得んのじや。間、君は
盗人
(
ぬすと
)
と言れたぞ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吾人は世の詩人が
斯
(
かく
)
の如くなるを
尤
(
とが
)
むる者に非ず、然れども若し是を以て一種の哲学となし、
因
(
よつ
)
て以て人事を律せんとするに至つては即ち大声叱呼して其非を鳴さゞるを得ず
凡神的唯心的傾向に就て
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
から、何事につけても、
己
(
おのれ
)
一人
(
いちにん
)
をのみ責めて
敢
(
あえ
)
て
叨
(
みだ
)
りにお勢を
尤
(
とが
)
めなかッた。が、如何に
贔負眼
(
ひいきめ
)
にみても、文三の既に得た
所謂
(
いわゆる
)
識認というものをお勢が得ているとはどうしても見えない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然
(
しか
)
れども諸国
未
(
いま
)
だ同意せずして、我独り同意せざるを
尤
(
とが
)
む、これ曲、汝にあり
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
もすこしで大事の青春を縛られてしまうところを、よくもまア我乍ら思い切ったものだなどと考えもしながら、半ばは気が
尤
(
とが
)
めるような、半ばは重荷を下したような気持で
四辺
(
あたり
)
を眺めていると
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は言葉の堕落をも
尤
(
とが
)
めまい。かすかな暗示的表出をたよりにしてとにかく私は私自身を言い現わして見よう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
今日は
殊
(
こと
)
に
推
(
お
)
して来にけるを、
得堪
(
えた
)
へず心の
尤
(
とが
)
むらん
風情
(
ふぜい
)
にて
佇
(
たたず
)
める
姿
(
すがた
)
限無
(
かぎりな
)
く
嬌
(
なまめ
)
きて見ゆ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
若
(
も
)
し国家を以て個人の特性、天職、権利を殺さんとせば人は必らず其不可を
尤
(
とが
)
めん。然れども人をして己を捨てゝ自然の流行に一任せしめんとするに至つては之を不可とせざる
乎
(
か
)
。
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
しかしてたといかくのごとくその懸隔あるももって天を
尤
(
とが
)
むべからず。もって人を恨むべからず。なんとなれば自家自得みずから種を下してみずからその実を収穫するはこれ自然の約束なればなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
ここまで重いながら言葉を運んでくると、園はまた言わないでもいいことを言い続けているような気
尤
(
とが
)
めがした。園は今日は自分ながらどうかしていると思った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
総
(
すべ
)
ての人を感服せしむることは
基督
(
キリスト
)
と
雖
(
いへど
)
も能はざりしなり。故に信条を掲げて以て来る者を歓迎し、往く者は
尤
(
とが
)
めざる也。横井時雄氏
曾
(
かつ
)
て信仰を告白し、内村鑑三氏亦信仰を告白す。
信仰個条なかるべからず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
遊
二
松島
一
記
まつしまにあそぶき
であつたか
鴻斎翁
(
こうさいおう
)
が
始
(
はじめ
)
て
彼
(
かれ
)
の文章を見た時、年の若いに
似合
(
にあ
)
はぬ
筆
(
ふで
)
つきを
怪
(
あやし
)
んで、
剽窃
(
へうせつ
)
したのであらうと
尤
(
とが
)
めたと
云
(
い
)
ふ話を聞きましたが、
漢文
(
かんぶん
)
も
善
(
よ
)
く書いたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今
将
(
はた
)
誰
(
だれ
)
をか
尤
(
とが
)
めかつ
怨
(
うらま
)
んや〔これ哲人の心地〕。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
且曰く魚は琵琶の鮮に非れば喫する能はず、酒は伊丹の醸に非れば飲む能はずと。而して日野氏は善く之を容れて其無礼を
尤
(
とが
)
めざりき。彼が詩に所謂吾骨天賦予なるものは空言に非る也。
頼襄を論ず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
もう
一言
(
ひとこと
)
おじさんにおっしゃってくださいまし、七度を七十倍はなさらずとも、せめて三度ぐらいは人の
尤
(
とが
)
も許して上げてくださいましって。……もっともこれは、あなたのおために申しますの。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
“尤”の解説
尤(ゆう)は漢姓の一つ。『百家姓』の19番目の姓である。中国の福建省と台湾に多い。2020年の中華人民共和国の統計では人数順の上位100姓に入っていないが、台湾の2018年の統計では85番目に多い姓で、32,176人がいる。
現在の多くは王審知が閩の王となった時、閩国内の「沈」姓が同音の「審」を忌避するために改姓したものだと見られる。
(出典:Wikipedia)
尤
漢検準1級
部首:⼪
4画
“尤”を含む語句
尤物
御尤
尤至極
見尤
不尤
尤之次第
尤千万
尤様
尤異
御尤様
御無理御尤
罪尤
至極尤
蚩尤