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きぐう
ふりがな文庫
“
寄寓
(
きぐう
)” の例文
この女はある親戚の
宅
(
うち
)
に
寄寓
(
きぐう
)
しているので、そこが
手狭
(
てぜま
)
な上に、子供などが
蒼蠅
(
うるさ
)
いのだろうと思った私の答は、すこぶる簡単であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕が首尾よく大学の医科に入学した時、国の父親からの云いつけだといって、以前
寄寓
(
きぐう
)
した松山という男が僕の下宿を訪ねて来た。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼等は今私の妹の所に
寄寓
(
きぐう
)
しておりますが、妹には三人の子供がありますので、ペータアがその四人目の子になるでありましょう
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
僕は
親戚
(
しんせき
)
の家に
寄寓
(
きぐう
)
して、
乞食
(
こじき
)
、と言われた事があります。しかし、僕は、負けませんでした。いや、負けたのかも知れない。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
富士登山家として、富士に関する図画典籍の大蒐集家として、君は疑いもなく第一人者であった。私の米国
寄寓
(
きぐう
)
中、故国に大震災があった。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
鰐淵直行、この人ぞ間貫一が
捨鉢
(
すてばち
)
の身を寄せて、
牛頭馬頭
(
ごずめず
)
の手代と頼まれ、五番町なるその家に
四年
(
よとせ
)
の
今日
(
こんにち
)
まで
寄寓
(
きぐう
)
せるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
五丁目と突き当つて、
濠端
(
ほりばた
)
の電車の交叉点に出た。和作は歩き過ぎを恐れて電車に乗つた。
寄寓
(
きぐう
)
してゐる家に帰れば丁度十時になると思つた。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
私の
寄寓
(
きぐう
)
して居った現任大蔵大臣は大蔵大臣になってからちょうどその時分が十年目位だそうでしたけれども、一石も貰わなかったそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
急に彼もこの家を畳んで、広島の兄のところへ
寄寓
(
きぐう
)
することを思いついた。すると彼には空白のなかに残されている枯木の姿が眼に
甦
(
よみがえ
)
って来た。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そのころ臨安府には火災が多かったので、官舎に
寄寓
(
きぐう
)
している人びとは、外出するごとに
勅諭
(
ちょくゆ
)
その他の重要書類を携帯してゆくのを例としていた。
中国怪奇小説集:10 夷堅志(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは獣医としてアルトア伯爵の家に
寄寓
(
きぐう
)
していた頃のことである。歴史的に証明されてるある一貴婦人との情事から、右の敷き布が残っていた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
郷里の小学を終えて、出京して三輪田女学校を
卒
(
お
)
え、更に英語を学ぶべく彼女はある縁によって葛城の母の家に
寄寓
(
きぐう
)
して青山女学院に通って居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
蒼白い
蒲柳
(
ほりゅう
)
の質で、何かと言へば熱を出す少年は、四谷見附内の伯母の家(そこに少年は母と一緒に
寄寓
(
きぐう
)
してゐた)
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
当時津軽家に
静江
(
しずえ
)
という
女小姓
(
おんなごしょう
)
が勤めていた。それが年老いての後に剃髪して
妙了尼
(
みょうりょうに
)
と号した。妙了尼が渋江家に
寄寓
(
きぐう
)
していた頃、
可笑
(
おか
)
しい話をした。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その七八年の間将棋の駒を無くさずにゐたのは私にはおもしろい。私はここに
寄寓
(
きぐう
)
しておのづと大地震に対する
驚愕
(
きやうがく
)
の念を静めて行かうと思つたのであつた。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
駅の前を斜に三丁ほど入ったところに彼女の伯母の家があって、そこに
寄寓
(
きぐう
)
しているとのことであった。
麻雀殺人事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けれども私の父はその人物を愛して、身分の相違を
問
(
と
)
わず
大層
(
たいそう
)
丁寧に取扱うて、大阪の倉屋敷の家に
寄寓
(
きぐう
)
させて
尚
(
な
)
お
種々
(
しゅじゅ
)
に周旋して、とう/\
水口
(
みなくち
)
の儒者になるように取持ち
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
天保六年大沼捨吉が鷲津氏の家塾に
寄寓
(
きぐう
)
していた時、松隠は隠居し嫡子徳太郎が家学をついで門生を教えていた。徳太郎、名は弘、
字
(
あざな
)
は徳夫、
益斎
(
えきさい
)
と号しその家塾を有隣舎と
名
(
なづ
)
けた。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
話が長過ぎたがやはり
附添
(
つけそ
)
えておく必要がある。青麻権現の奇跡と同じころに、同じ仙台領の
角田
(
かくだ
)
から
白石
(
しろいし
)
の辺にかけて、村々の旧家に
寄寓
(
きぐう
)
してあるいた
白石
(
しろいし
)
翁という異人があった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かつてある青年が僕の友人を
訪
(
と
)
うて、どうぞ書生として
寄寓
(
きぐう
)
させてくれと頼んだ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
村川は、この四月に京都大学の法科を出て上京して以来、下宿を見つけるまでのしばらくをこの川辺家に
寄寓
(
きぐう
)
しているのだが、彼は、この家の主人から、ずっと前から世話になっている。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
まだ
布哇
(
はわい
)
の伯母の
家
(
いえ
)
に、
寄寓
(
きぐう
)
していた頃、それは
恰
(
あたか
)
も南北戦争の当時なので、伯母の息子
即
(
すなわ
)
ちその男には従兄に当たる青年も、その時自ら軍隊に
加
(
くわわ
)
って、義勇兵として戦場に臨んだのであった。
感応
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
大正十二年の震災後、藩主の本邸は渋谷に移された。私は母方の
親戚
(
しんせき
)
がN侯の側近を勤めてゐた
僅
(
わづ
)
かの関係が縁で本邸をめぐる家来長屋の
一棟
(
ひとむね
)
に
寄寓
(
きぐう
)
し、少しの間、神田の学校へ通つたことがある。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
河野が死んでから
二十日
(
はつか
)
ばかりしてのことであった。何かの用事で東京から大阪へ往っていた宮地翁は、中の島の
知己
(
しりあい
)
の家で河野の
寄寓
(
きぐう
)
していた粕谷治助に逢って、河野の
歿
(
な
)
くなった話を聞かされた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その長姉のもとに
寄寓
(
きぐう
)
しました。
ロバート・ボイル
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
吾輩は猫だけれど、エピクテタスを読んで机の上へ叩きつけるくらいな学者の
家
(
うち
)
に
寄寓
(
きぐう
)
する猫で、世間一般の
痴猫
(
ちびょう
)
、
愚猫
(
ぐびょう
)
とは少しく
撰
(
せん
)
を
殊
(
こと
)
にしている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その間彼は、門番に用をたしてもらい、自分は郊外に住む年金所有者で町に
寄寓
(
きぐう
)
してる者であると言っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
保は三月三日に静岡から入京して、麹町
有楽町
(
ゆうらくちょう
)
二丁目二番地
竹
(
たけ
)
の
舎
(
や
)
に
寄寓
(
きぐう
)
した。静岡を去るに臨んで、渋江塾を閉じ、英学校、
英華
(
えいか
)
学校、文武館三校の教職を辞した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
其頃
(
そのころ
)
私
(
わたし
)
は
山田
(
やまだ
)
の
家
(
うち
)
を出て
四番町
(
よんばんちやう
)
の
親戚
(
しんせき
)
に
寄寓
(
きぐう
)
して
居
(
ゐ
)
ましたから、
石橋
(
いしばし
)
と
計
(
はか
)
つて、
同益社
(
どうえきしや
)
の
真向
(
まむかう
)
に
一軒
(
いつけん
)
の
家
(
いへ
)
を
借
(
か
)
りて、
之
(
これ
)
に
我楽多文庫
(
がらくたぶんこ
)
発行所
(
はつかうしよ
)
硯友社
(
けんいうしや
)
なる
看板
(
かんばん
)
を上げたのでした
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
私たちは別の伯母の家に
寄寓
(
きぐう
)
した。この伯母は親類の中でただ一人の世話好きな女だつた。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
東京の知合いに
寄寓
(
きぐう
)
して、そこで中学校に入る準備をし、うまく入学出来たら、そのあとはずっと寄宿舎と下宿で暮すこと、というので、僕にとっては願ってもない条件だった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
其れは其頃彼の母の家に
寄寓
(
きぐう
)
して居る女学生であった。女学生の名はお馨さんと云った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
私の
寄寓
(
きぐう
)
して居りました大蔵大臣のごときは、教育上においても余程心掛けのある人でありましたけれども、自分の家に居る子供に教える第一の方法はやはりぶん擲ぐるのでした。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
森ちゃんは高円寺の、
叔母
(
おば
)
の家に
寄寓
(
きぐう
)
。会社から帰ると、女中がわりに立ち働く。
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
第一に鼻のあたまに
寄寓
(
きぐう
)
していたのを取払う。取払って捨てると思のほか、すぐ自分の口のなかへ入れてしまったのには驚ろいた。それから
頬
(
ほ
)
っぺたにかかる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五百の兄広瀬栄次郎がこの年四月十八日に病死して、その父の
妾
(
しょう
)
牧は抽斎の
許
(
もと
)
に
寄寓
(
きぐう
)
した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかももはや高瀬家には入らず、義姉の奉子の嫁いでゐる家に
寄寓
(
きぐう
)
することになつた。
母たち
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
かかる
戯
(
たはむれ
)
を
作
(
な
)
して
憚
(
はばか
)
らず、女も為すままに
信
(
まか
)
せて
咎
(
とが
)
めざる彼等の
関繋
(
かんけい
)
は
抑
(
そもそ
)
も
如何
(
いかに
)
。事情ありて十年来鴫沢に
寄寓
(
きぐう
)
せるこの
間貫一
(
はざまかんいち
)
は、
此年
(
ことし
)
の夏大学に
入
(
い
)
るを待ちて、宮が
妻
(
めあは
)
せらるべき人なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
明治の初年、薩摩近い
故郷
(
こきょう
)
から熊本に引出で、一時
寄寓
(
きぐう
)
して居た親戚の家から父が買った大きな草葺のあばら家に移った時、八歳の兄は「破れ家でも
吾家
(
わがいえ
)
が好い」と喜んで踊ったそうである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わしは大学の哲学科に、彼は美術学校の洋画科に通っていたが、
寄寓
(
きぐう
)
している場所が近かったので、ふとしたことから友達になり、遂にはお互に離れられぬ、恋人同志の様な親友になってしまった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
野々宮君は自分の
寄寓
(
きぐう
)
している広田先生の、もとの
弟子
(
でし
)
でよく来る。たいへんな学問好きで、研究もだいぶある。その道の人なら、西洋人でもみんな野々宮君の名を知っている。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“寄寓”の意味
《名詞》
一時的に他人の家に住むこと。居候。
(出典:Wiktionary)
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
寓
漢検準1級
部首:⼧
12画
“寄”で始まる語句
寄
寄席
寄越
寄合
寄手
寄生木
寄付
寄来
寄人
寄進