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奢侈
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しゃし
ふりがな文庫
“
奢侈
(
しゃし
)” の例文
どんな無用なまた有害な
奢侈
(
しゃし
)
ぜいたく品でもどしどし製造されると同時に、もし充分に金を出して買いうる人がおおぜいおらぬ以上
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「その性狂暴、
奢侈
(
しゃし
)
に長じ、非分の課役をかけて農民を苦しめ、家士を虐待し、天草の特産なる
鯨油
(
げいゆ
)
を安値に買上げて暴利を
貪
(
むさぼ
)
り」
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その時の将軍は十一代徳川
家斉
(
いえなり
)
であろう。
奢侈
(
しゃし
)
を極めた子福者、子女数十人、娘を大名へ
嫁
(
か
)
さした
御守殿
(
ごしゅでん
)
ばかりもたいした数だという。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
説いたが春琴も
道修町
(
どしょうまち
)
の町家の生れであるどうしてその辺にぬかりがあろうや極端に
奢侈
(
しゃし
)
を好む一面極端に
吝嗇
(
りんしょく
)
で
慾張
(
よくば
)
りであった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それを享楽のためにやっているのは、『オデュッセイア』のなかに
奢侈
(
しゃし
)
の国として描かれているあの神話的なプァイエーケスの国である。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
南方の
奢侈
(
しゃし
)
を、立ち姿や、寝像にまで現して、昼となく、夜となく、おそらく、千年も万年も、不断の進みをつづけているのだ。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
無芸無能、
僥倖
(
ぎょうこう
)
によりて官途につき、みだりに給料を貪りて
奢侈
(
しゃし
)
の資となし、戯れに天下のことを談ずる者はわが輩の友にあらず
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
娘のほうはごくきれいな子で、一度オリヴィエからアルノー夫人の家に連れて行かれたことがあって、
奢侈
(
しゃし
)
に眼がくらんでいた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
次に祝いなどに花美の事を致し互に
音物
(
いんぶつ
)
に気を張り、壱歩の物を
遣
(
や
)
ればまた弐歩の物を
遣
(
つか
)
わす、追々の
奢侈
(
しゃし
)
に
募
(
つの
)
ると申すのだ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
老婦人の多く集る諸種の会合はあっても、それは凡て
物見遊山
(
ものみゆさん
)
の変形で、老婦人同志の
奢侈
(
しゃし
)
と自慢の競進場たるに過ぎない。
姑と嫁について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
全く「心の病」である——彼はそこで、
放肆
(
ほうし
)
を
諫
(
いさ
)
めたり、
奢侈
(
しゃし
)
を諫めたりするのと同じように、敢然として、修理の神経衰弱を諫めようとした。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
去頃
(
さるころ
)
より
御老中
(
ごろうじゅう
)
水野越前守様
(
みずのえちぜんのかみさま
)
寛政
(
かんせい
)
御改革の御趣意をそのままに天下
奢侈
(
しゃし
)
の悪弊を
矯正
(
きょうせい
)
すべき有難き
思召
(
おぼしめし
)
により
遍
(
あまね
)
く江戸町々へ
御触
(
おふれ
)
があってから
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
つづいて、町人の
奢侈
(
しゃし
)
禁止が発布された。だが、窮民共は、このへとへとになっている町人へ、米高の罵声を浴せかけた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
美女を蓄わえて
己
(
おのれ
)
楽しみ、美女を進めて将軍家を眩まし、
奢侈
(
しゃし
)
と軟弱と贈収賄と、好色の風潮ばかりを
瀰漫
(
びまん
)
させておる。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それは栄玄が
饌
(
ぜん
)
に対して
奢侈
(
しゃし
)
を戒めたことが数次であったからである。抽斎は遺られた所の海鰱を
饗
(
きょう
)
することを命じた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
なんという
奢侈
(
しゃし
)
優雅な生活であり、夢のように華麗な世界であったろうか! 世の中にはこんな優美な贅沢な生活も営み得るものであろうか! と
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
富
足
(
たり
)
て徳足るとは真理にはあらざるべけれども確実なる経験なり、
奢侈
(
しゃし
)
はもちろん不徳なり、我
富
(
とみ
)
たればとて
驕
(
おご
)
らざるべし、しかれども滋養ある食物
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そして暗君、風狂、
奢侈
(
しゃし
)
、安逸、あらゆる悪政家の汚名はいま高時の名にかぶせられて来たが、高時にいわせれば、じぶんの知ったことではあるまい。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いわゆる
黄金崇拝
(
おうごんすうはい
)
物質的の米国などと
綽名
(
あだな
)
されてあるこの国民が
奢侈
(
しゃし
)
贅沢
(
ぜいたく
)
の
弊害
(
へいがい
)
に
陥
(
おちい
)
る傾向が割合いに少ない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
男はおもむろに
室
(
へや
)
の四方を看まわした。
屏風
(
びょうぶ
)
、
衝立
(
ついたて
)
、
御厨子
(
みずし
)
、調度、皆驚くべき
奢侈
(
しゃし
)
のものばかりであった。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奉仕せぬ着飾る器は、工藝において罪と呼ばれねばならぬ。
奢侈
(
しゃし
)
を道徳において罪に数えるのと同じである。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
室子の家の商品の鼈甲は始め、
玳瑁
(
たいまい
)
と呼ばれていた。徳川、天保の改革に幕府から厳しい
奢侈
(
しゃし
)
禁止令が出て女の髪飾りにもいわゆる金銀玳瑁はご
法度
(
はっと
)
であった。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
雪に真珠を食に
充
(
あ
)
て、真珠をもって手を暖むとせんか、
含玉鳳炭
(
がんぎょくほうたん
)
の
奢侈
(
しゃし
)
、
蓋
(
けだ
)
し開元天宝の豪華である。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奢侈
(
しゃし
)
嫌い、諸事御倹約の殿の事であるから、却って金銀を
鏤
(
ちりば
)
めたのから見ると本物という事が
点頭
(
うなずか
)
れるけれども、これは時として臣下に拝領を許される例もあるので
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
珍味
佳肴
(
かこう
)
を供し、華美相競うていたずらに
奢侈
(
しゃし
)
の風を誇りしに過ぎざるていたらくなれば、未だ以て真誠の茶道を解するものとは称し難く、
降
(
くだ
)
って義政公の時代に及び
不審庵
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
は、
奢侈
(
しゃし
)
の余り多くの騾に金
屐
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
かせ、また化粧に腐心して新たに駒産める
牝驢
(
ひんろ
)
五百を
畜
(
か
)
い、毎日その乳に浴し、少し日たったものを新乳のものと取り替うる事絶えず。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
通俗の言葉で云えば人間が
贅沢
(
ぜいたく
)
になる。道学者は倫理的の立場から
始終
(
しじゅう
)
奢侈
(
しゃし
)
を
戒
(
いま
)
しめている。
現代日本の開化
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして見たところ陰気なくらい単調な学校生活は、私が青年時代に
奢侈
(
しゃし
)
によって得たよりも、あるいは壮年時代に罪悪によって得たよりも、もっと強烈な刺激に満ちていたのであった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
されど
現時
(
げんじ
)
一般女学校の有様を見るに、その学科は
徒
(
いたずら
)
に高尚に走り、そのいわゆる工芸科なる者もまた優美を
旨
(
むね
)
とし以て
奢侈
(
しゃし
)
贅沢
(
ぜいたく
)
の用に供せらるるも、実際生計の助けとなる者あらず
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
奢侈
(
しゃし
)
を矯正する趣意から武家町人らの百姓地に住むことが禁止された。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
支那に於ける税の費途
如何
(
いかん
)
というに、王者はこれを以て土木を興し、宮殿を営み、
奢侈
(
しゃし
)
を尽せば、その身辺を
囲繞
(
いじょう
)
する官僚はまたこれを以て土地を買い、貨殖を謀り、子孫のために身後の計をする。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
彼は学生に向っても、常に
奢侈
(
しゃし
)
を
戒
(
いまし
)
めて質素を説き、生活を簡易化することの利得を説いた。
贅沢
(
ぜいたく
)
な
暮
(
くら
)
しをするほど、生活が
煩瑣
(
はんさ
)
に複雑化して来て、仕事に専念することができなくなるからである。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
此風慶長頃特に盛んにしてあるいは
奢侈
(
しゃし
)
の傾あり、
支配掘家
(
しはいほりけ
)
より四月八日山入厳禁の命あり、追々衰えたりしも、今も村田辺(三島郡島田村大字村田?)にこの遺風あり、名づけて藤の
花立
(
はなたて
)
というと。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
奢侈
(
しゃし
)
の増加のためでなければ、内在的な不備のためにね。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
今日の世の中の一方には
贅沢
(
ぜいたく
)
と
奢侈
(
しゃし
)
と栄達とがある。
これから結婚する人の心持
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
奢侈
(
しゃし
)
なる周囲の装飾。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
貪吝
(
たんりん
)
、
奢侈
(
しゃし
)
、
誹謗
(
ひぼう
)
の類はいずれも不徳のいちじるしきものなれども、よくこれを吟味すれば、その働きの素質において不善なるにあらず。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それは時にあるいは有閑階級にのみ可能な非実践の実践として、すなわち搾取者の
奢侈
(
しゃし
)
として特性づけられ得るであろう。
『青丘雑記』を読む
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
その代わりかかる信念を有する人々は、いくら金をもうけ、いくら財産をこしらえても、これを一身一家の
奢侈
(
しゃし
)
ぜいたくには使わないはずである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
追々触出し候
趣
(
おもむき
)
を相守り、正路にして質素倹約を致すべく候処、だんだん御国恩を忘れ
奢侈
(
しゃし
)
に移り衣食の
分限
(
ぶんげん
)
を
弁
(
わきま
)
えず、三百目、五百目の品を相用い
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
もっと
矛盾
(
むじゅん
)
したものは、寛永以後、前代にも、綱吉の代にも、たびたび発しられている
奢侈
(
しゃし
)
禁止令が、桂昌院を中心とする大奥や、綱吉自身のまわりから
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
するものあれば
頬辺
(
ほっぺた
)
をつねって懲し或は芸者の顕官に寵せられて心おごるもの或は芸人俳優者の徒にして
奢侈
(
しゃし
)
飽く事なきものあらば随所に事をかまえて其の胆を
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あの使役せらるる運命に美が輝くとはいかなる備えであるか。そうしてあの美の
奢侈
(
しゃし
)
にではなく、美の遠慮に、美がいよいよ冴えるとはいかなる意義であるか。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
この第二種の女には労働を避けて物質的の
奢侈
(
しゃし
)
を得ようとする遊惰性と虚栄心に富んだ女が多く当った。
私娼の撲滅について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
奢侈
(
しゃし
)
下剋上
(
げこくじょう
)
の風習が、勤倹質素尚武となり、幕府瓦壊の運命を、その後も長く持ちこたえたのであった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
尤
(
もっと
)
もお召縮緬を着たのは、
強
(
あなが
)
ち
奢侈
(
しゃし
)
と見るべきではあるまい。一
反
(
たん
)
二
分
(
ぶ
)
一朱か二分二朱であったというから、着ようと思えば着られたのであろうと、保さんがいう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
奢侈
(
しゃし
)
な生活をしたがっていたし、旗本は、家重代の鎧までを入質して、生活費に当てているし、大名は、各々己の家を支えるだけに、全力を挙げなくてはならなかった。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
この皇帝は外征を好んだ父のアウレル皇帝とは性格がまったく違って、戦争が大嫌いで、
奢侈
(
しゃし
)
遊楽のみに
耽
(
ふけ
)
り、まことに
懦弱
(
だじゃく
)
怯懦
(
きょうだ
)
で、非常に
我儘
(
わがまま
)
勝手な皇帝でありました。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
嫌
(
きら
)
った春琴に
奢侈
(
しゃし
)
を許したのは
外
(
ほか
)
に楽しみのない不具の身を憐れんだ親の情であったのだが
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
世間は
漸
(
ようや
)
く苦しい世間になって、一面には文化の華の咲乱れ、
奢侈
(
しゃし
)
の風の蒸暑くなってくる、他の一面には人民の生活は行詰まり、
永祚
(
えいそ
)
の暴風、
正暦
(
しょうりゃく
)
の疫病、諸国の盗賊の起る如き
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
奢
漢検1級
部首:⼤
12画
侈
漢検1級
部首:⼈
8画
“奢侈”で始まる語句
奢侈品
奢侈僣上
奢侈僭上
奢侈放逸
奢侈文弱
奢侈淫楽