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おおよそ
ふりがな文庫
“
大凡
(
おおよそ
)” の例文
探りを入れるにしても
大凡
(
おおよそ
)
の見当を付けてからの事にしなければならないと考えたが、そのアラカタの見当が、なかなか付かなかった。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自然主義とは、
大凡
(
おおよそ
)
そんな主義であるらしい。だから彼等に従うと、実際此の世の中にない事を書くのは、藝術でも何でもないのである。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
丁度十五位の娘の時のことを三吉も
幾分
(
いくら
)
か知っており、嫂は又、その頃房州の方で一夏一緒に居たことも有って、
大凡
(
おおよそ
)
気心は分っていたが
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……
大凡
(
おおよそ
)
のことはご存知のようですが、あたしの結婚はたしかに失敗でした。……要するに、膚が合わなかったのですな。
キャラコさん:08 月光曲
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
大凡
(
おおよそ
)
物はその好む所に
聚
(
あつま
)
る、彼の
艱難
(
かんなん
)
の如きも、また
焉
(
いずく
)
んぞ彼が自ら好んでこれを致したるに非ざる
莫
(
な
)
きを知らんや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
▼ もっと見る
これは無制限で何程でも
入用
(
いりよう
)
だけ支出しなければならん。とはいうもののむやみに法王の私用に使うということはなく
大凡
(
おおよそ
)
のきまりはあるそうです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
よくも勘定出来なかったが、
大凡
(
おおよそ
)
二十万円もあったであろうか。外に宝石類も幾つか風呂敷包の中へ忍ばせて来た。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
目の届かない幅は問題外として、突き当りを
遮
(
さえ
)
ぎる壁を
目標
(
めやす
)
に置いて、
大凡
(
おおよそ
)
の見当をつけると、畳一枚を
竪
(
たて
)
に敷くだけの長さは充分あるらしく見えた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
氷の上で焚火をして、その氷が解けてしまぬ程に、氷が厚いのである。
大凡
(
おおよそ
)
周囲四里半の氷上にあつて、漁人の生活は、全く世の中との交渉を杜絶する。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
心は激して詞はしどろであったが、文吉は
大凡
(
おおよそ
)
こんなことを言った。この
度
(
たび
)
の奉公は
当前
(
あたりまえ
)
の奉公ではない。敵討の供に立つからは、命はないものである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
又其の儒を棄て
仏
(
ぶつ
)
に入って今の身になってはいるものの、陰陽道の如何なるものかの
大凡
(
おおよそ
)
は知っているのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
時間はと思ったが、腕時計は無論めちゃめちゃに
損
(
こわ
)
れて、針が折れてるから遭難の時刻も、
大凡
(
おおよそ
)
三時半ぐらいとは思われるが、本当のことはわからない。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
大凡
(
おおよそ
)
その場の状景を察したが、死体解剖の結果、中毒の徴候は発見されないで、死因は心臓麻痺だとわかった。
変な恋
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
その
大凡
(
おおよそ
)
の時間がきまっているのであろう。もう来そうなものだと思うが、なかなかやって来ない。どこかで
閑古鳥
(
かんこどり
)
の声がする、という山里の光景である。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
で、これを見ると、各自が一番印象をうけた時の位置と、
大凡
(
おおよそ
)
の時刻が判るんだ。盤得尼のは階段を下りながら、正面から光線をうけた時眺めたものなんだ。
夢殿殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
いかにのん気な老中以下の役人どもとて、
大凡
(
おおよそ
)
、浜川たちのして来たことに、気がついているらしく、これを
機会
(
しお
)
に、絶家させるのだろうといっているがね——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
書店や車宿で
大凡
(
おおよそ
)
の風貌を聞いて想像していた石子刑事も彼を見ると稍たじろいだ。もし初対面で彼を見る人があったら誰が彼を宣教師と思う人があるだろうか。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
まだはっきりとは分っていないんだが、松本農学博士に調べて頂いた結果、
大凡
(
おおよそ
)
の見当はつきました。
鳩つかひ
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
私には、私だって、つき合って見れば、此の土地にいる
女達
(
ひとたち
)
も
大凡
(
おおよそ
)
何様
(
どん
)
な人柄のくらいは見当が付く。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
杜にはそれが何人であるかは
大凡
(
おおよそ
)
気がつかぬでもなかったが、ついそう聞きかえさずにはいられなかった。激しい興奮が、いまや彼の全身を駆けめぐり始めたからだ。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それが今度も汽車の中で
毀
(
こわ
)
れてから役に立たぬ時計を持って歩いていたのであった。僕は時間を
大凡
(
おおよそ
)
で見積ってやろうと思って、いつの間にか
川上
(
かわかみ
)
の方に歩いて行った。
ドナウ源流行
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
やさしいお手で縫うて貰うているうちに、どちらが先にどうなったやら、——それからあとは言わぬが花よ。この通り片袖に髪の油がしみついたと言えば
大凡
(
おおよそ
)
察しがつこうわ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
尤
(
もっと
)
もこの頃人の話で
大凡
(
おおよそ
)
こんなものかくらいは解ったようだが元来西洋の音楽などは遠くの昔バイオリンを聞いたばかりでピアノなんか一度も聞いた事はないからなおさら駄目だ。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今
(
いま
)
から
大凡
(
おおよそ
)
十三四
年
(
ねん
)
以前
(
いぜん
)
、この
町
(
まち
)
の一
番
(
ばん
)
の
大通
(
おおどおり
)
に、
自分
(
じぶん
)
の
家
(
いえ
)
を
所有
(
も
)
っていたグロモフと
云
(
い
)
う、
容貌
(
ようぼう
)
の
立派
(
りっぱ
)
な、
金満
(
かねもち
)
の
官吏
(
かんり
)
があって、
家
(
いえ
)
にはセルゲイ
及
(
およ
)
びイワンと
云
(
い
)
う
二人
(
ふたり
)
の
息子
(
むすこ
)
もある。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
年をとって女形としては衰えても、立役では
綺麗
(
きれい
)
であった。源之助が立役をするようになったのは、明治二十九年以後のことで、これも
大凡
(
おおよそ
)
菊五郎の芸を見ていて、それを模倣している。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そりゃあね、彼の人が今年はどの位困ったかは
大凡
(
おおよそ
)
分って居るのだから、事を分けて返した物は返した物でそっくり持って来てから話しでも有れば相見互な事だから用立てても上げ様ものをさ
お久美さんと其の周囲
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
お
蔭
(
かげ
)
で
私
(
わたくし
)
の
守護霊
(
しゅごれい
)
の
素性
(
すじょう
)
はもとより、
人間
(
にんげん
)
と
守護霊
(
しゅごれい
)
の
関係
(
かんけい
)
、その
他
(
た
)
に
就
(
つ
)
きて
大凡
(
おおよそ
)
の
事
(
こと
)
が
漸
(
ようや
)
く
会得
(
えとく
)
されるようになりました。——あの、それを
残
(
のこ
)
らず
爰
(
ここ
)
で
物語
(
ものがた
)
れと
仰
(
お
)
っしゃるか……
宜
(
よろ
)
しうございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「中間の芳太郎というのがこれが息の長いやつで、しゃっくりをしながら朝まで生残っていて、虫の鳴くような声で、
大凡
(
おおよそ
)
のありようを喋ったんです」
顎十郎捕物帳:21 かごやの客
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
若い娘達を引連れて彼女が町を通っている時刻は
大凡
(
おおよそ
)
知れていた。谷を下りてまた坂に成った町を上ると、向うの突当りのところに会堂の建物が見える。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その癖、
大凡
(
おおよそ
)
は知っていると見え、少年は、おびえた様に、小さい両手で、母の頸にしがみついて来た。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「誰に頼まれたかと云うことは、私の職責上申し上げにくいのです。あなたにも
大凡
(
おおよそ
)
お心当りがおありでしょうから、どうかその点は見逃して戴きとうございます」
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
引手あまたであり
乍
(
なが
)
ら、いままで
大凡
(
おおよそ
)
の女子には
振向
(
ふりむき
)
もせなんだそなたが、我から恋をしていると言うからには、定めし相手は
稀物
(
きぶつ
)
じゃろう……
何処
(
どこ
)
ぞの姫か、
廓
(
くるわ
)
の
大夫
(
たゆう
)
か。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
八月を以て米使謁見の議を天下に達し、遂に同年十月を以てハリスは下田より江戸に到り、将軍に謁見して国書を奉呈し、さらに堀田閣老の邸に
抵
(
いた
)
り、
大凡
(
おおよそ
)
六時間の会話を以て
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
さようで……しかし単にそれだけでは、余りに眼新しい
主題
(
テーマ
)
で御座いますから、内容がお解かりにならぬかも知れませぬが、
斯様
(
かよう
)
申上げましたならば
大凡
(
おおよそ
)
、御諒解が出来ましょう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「いや、そうと分らば却っていじらしさが増す位のものじゃ。もはやこの様子を見た以上聞かいでも
大凡
(
おおよそ
)
の事は察しがつくが、でも念のために承わろう。一体いかがいたしたのじゃ」
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
河合は若い時旧派の役者になろうとして(外の事情は知らぬ)大阪に
奔
(
はし
)
り、その前後
大凡
(
おおよそ
)
源之助の影響を受けて了った。河合の動きや、きまり方には、晩年迄源之助の気合いの入れ方が働いていた。
役者の一生
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
因
(
ちなみ
)
にこの無線電話の通話料は、一分間につき
大凡
(
おおよそ
)
五十円である。
科学時潮
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
是
(
この
)
山国に住む人々を分けて見ると、
大凡
(
おおよそ
)
五通りに別れて居ます。それは旧士族と、町の商人と、お百姓と、
僧侶
(
ばうさん
)
と、それからまだ外に穢多といふ階級があります。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それはそうでしょうとも——御隠居さんの御宝蔵は、まだ拝見はしておりませんが、
大凡
(
おおよそ
)
の見当はついているんで——なかなか品えらみに、あっしも骨を折ったつもりですよ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「すると、
大凡
(
おおよそ
)
、白むか白まぬかのころ」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
畠はその三倍もあって
大凡
(
おおよそ
)
一万坪の広い地面だけあるが、自分の代となってからは家族も
少
(
すくな
)
し、手も届きかねて、荒れたままに成っているところも有る、とのことだ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
大凡
(
おおよそ
)
のことは、もう胸にはいっております。位高い
御女性
(
ごにょしょう
)
を、たぶらかすの何のとは、怖れ多いはなしでござりますけれど、一生懸命御機嫌を取りむすぶことはいたして見るつもりでおります」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それが往来の真中に白壁の如く続いている。家々の軒先には「ガンギ」というものを渡して、その下を用事ありげな人達が往来している。屋内の暗さも
大凡
(
おおよそ
)
想像されよう。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
紅く
泣腫
(
なきは
)
れたお志保の頬には涙の
痕
(
あと
)
が未だ乾かずにあつた。
奈何
(
どう
)
いふことを言つて丑松が別れて行つたか、それはもうお志保の顔付を眺めたばかりで、
大凡
(
おおよそ
)
の想像が銀之助の胸に浮ぶ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「それじゃあ、家の方は
大凡
(
おおよそ
)
見当がついたというものだね」と相川は尋ねた。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こういう土地柄ですから、女がどんな労働をしているか、
大凡
(
おおよそ
)
の想像はつきましょう。男を助けて外で
甲斐々々
(
かいがい
)
しく働く時の風俗は、
股引
(
ももひき
)
、
脚絆
(
はばき
)
で、
盲目縞
(
めくらじま
)
の
手甲
(
てっこう
)
を
着
(
は
)
めます。
冠
(
かぶ
)
りものは編笠です。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“大凡”の意味
《名詞》
おおよそ。大略。大概。
(出典:Wiktionary)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
凡
常用漢字
中学
部首:⼏
3画
“大凡”で始まる語句
大凡下
大凡人
大凡物
大凡下々