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堀端
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ほりばた
ふりがな文庫
“
堀端
(
ほりばた
)” の例文
君江はぶらぶら
堀端
(
ほりばた
)
を歩みながら、どこか静な
土手際
(
どてぎわ
)
で電燈の光の
明
(
あかる
)
い処でもあったらもう一度読み直そうという気もしたのである。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堀端
(
ほりばた
)
を沿うて走るその電車の
窓硝子
(
まどガラス
)
の外には、黒い水と黒い土手と、それからその土手の上に
蟠
(
わだか
)
まる黒い松の木が見えるだけであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
堀端
(
ほりばた
)
を西へ、東町奉行所を
指
(
さ
)
して進むうちに、跡部からの三度目の使者に行き合つた。本多と残して置いた同心とは途中で追ひ附いた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「メクワジヤ」と稱する貝は青くて病的な香を發する下等動物である。それを多食する
吝嗇
(
けちんぼ
)
の女房はよく眼を病んで
堀端
(
ほりばた
)
で鍋を洗つてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
言上に及ぶに光貞卿
深
(
ふか
)
く
悦
(
よろこ
)
び然らば
暫
(
しば
)
らくの内其方へ
預
(
あづ
)
け
置
(
おく
)
べしとて城内二の丸の
堀端
(
ほりばた
)
に
大木
(
たいぼく
)
の松の木あり其下へ
葵紋
(
あふひもん
)
ぢらしの
蒔繪
(
まきゑ
)
の
廣葢
(
ひろぶた
)
に若君を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
希代の異常犯罪者三人三様の思いをのせて、バスはもう、警視庁の赤レンガの見えるお
堀端
(
ほりばた
)
にさしかかっていた。
影男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そんなことを考えながら帝劇の玄関を下りて、雨のない六月晴の
堀端
(
ほりばた
)
の薫風に吹かれたのであった。
雑記帳より(Ⅱ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
調べてみると、
昨日
(
きのう
)
の日附で
堀端
(
ほりばた
)
銀行の二千円の小切手を誰かに与えている事がわかった。そこで万が一にもと気が付いて、堀端銀行に問合わせてみると、
今朝
(
けさ
)
の事だ。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
堀端
(
ほりばた
)
の柳は
半蔵門
(
はんぞうもん
)
から
日比谷
(
ひびや
)
まで続いているが、
此処
(
ここ
)
の柳はその反対の側に立っているのである。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
堀端
(
ほりばた
)
へ出て曲り、駕籠を待たせてある処へ来ると、そこでややしばらくようすをみた。そして、跟けて来る者のないことをたしかめてから、はじめて、甲斐は駕籠に乗った。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
たとえばお
堀端
(
ほりばた
)
の
芝生
(
しばふ
)
の一面に白くほの見ゆるに、幾条の
蛇
(
くちなわ
)
の
這
(
は
)
えるがごとき人の踏みしだきたる
痕
(
あと
)
を印せること、英国公使館の二階なるガラス窓の一面に赤黒き燈火の影の
射
(
さ
)
せること
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何でも
牛込見附
(
うしごめみつけ
)
からかなり行って、
四谷
(
よつや
)
見附の辺のお
堀端
(
ほりばた
)
から松の枝が往来へ差し出ているのが目につくあたりにお住いだったと思います。痩形で、少し
前屈
(
まえかが
)
みの
恰好
(
かっこう
)
の静かなお年寄でした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
足の向くがまゝ
芝口
(
しばぐち
)
へ
出
(
いで
)
候に付き、
堀端
(
ほりばた
)
づたひに
虎
(
とら
)
の
門
(
もん
)
より
溜池
(
ためいけ
)
へさし掛り候時は、秋の日もたっぷりと暮れ果て、唯さへ寂しき片側道。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堀端
(
ほりばた
)
伝いに
桝
(
ます
)
小屋の自宅に帰ると、平馬はコッソリと手廻りを片付けて旅支度を初めた。下男と
雇婆
(
やといばば
)
の寝息を
覗
(
うかが
)
いながら屋敷を抜け出すと、門の
扉
(
と
)
へピッタリと貼紙をした。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
空
(
そら
)
は奇麗に
晴
(
は
)
れた。代助は
電車
(
でんしや
)
に
乗
(
の
)
つて、
宅
(
うち
)
へ行つて、
嫂
(
あによめ
)
に
調戯
(
からか
)
つて、誠太郎と遊ばうと思つたが、急に
厭
(
いや
)
になつて、
此松
(
このまつ
)
を
見
(
み
)
ながら、
草臥
(
くたびれ
)
る所迄
堀端
(
ほりばた
)
を
伝
(
つた
)
つて行く気になつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
大手門を出て
堀端
(
ほりばた
)
を右へゆき、
蔵
(
くら
)
町から横井
小路
(
こうじ
)
へぬけると馬場、その
柵
(
さく
)
に沿った片側並木の道を左にまわり、明神の森につき当って、門前を右に二丁ほどゆくと大きな池のふちへ出る。
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
改
(
あらた
)
め見るに如何さま
女
(
をんな
)
の掛無垢を
冠
(
かぶ
)
りしは死人の
體
(
てい
)
なれば相違なき由にて
通
(
とほ
)
しけるこれより數寄屋橋御門へも此段相斷りそれより御
堀端
(
ほりばた
)
通りを行
鎌倉河岸
(
かまくらがし
)
まで來りたれば
先
(
まづ
)
此所にて駕籠を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その頃はまだ電車が無いので、私は暗い寒い
堀端
(
ほりばた
)
を徒歩で
麹町
(
こうじまち
)
へ帰った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
半蔵門の方より来たりて、いまや
堀端
(
ほりばた
)
に曲がらんとするとき、一個の
年紀
(
とし
)
少
(
わか
)
き美人はその
同伴
(
つれ
)
なる老人の
蹣跚
(
まんさん
)
たる酔歩に向かいて注意せり。
渠
(
かれ
)
は編み物の手袋を
嵌
(
は
)
めたる左の手にぶら
提灯
(
ぢょうちん
)
を携えたり。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
堀端
(
ほりばた
)
に
無花果
(
いちじゆく
)
みのり
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
参謀本部下の
堀端
(
ほりばた
)
を通りながら眺めると、閑地のやや
小高
(
こだか
)
くなっている処に、雑草や
野蔦
(
のづた
)
に
蔽
(
おお
)
われたまま崩れた石垣の残っているのが見える。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこへ大森署から電話をかけた司法主任が様子を聞いて、もしやと思って駈付けてみると、そいつが有名な
生蕃
(
せいばん
)
小僧という奴で、
堀端
(
ほりばた
)
銀行の二千円をソックリそのまま持っていた。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
も
算
(
かぞ
)
へつゝ
巧
(
たく
)
みも深き御
堀端
(
ほりばた
)
此處
(
ここ
)
ぞと
猶豫
(
ためらふ
)
一番町たやすく人は殺せぬ物と
田安
(
たやす
)
御門も
何時
(
いつ
)
か過ぎ心も
暗
(
くら
)
き
牛
(
うし
)
ヶ
淵
(
ふち
)
を右に
望
(
のぞ
)
みて
星明
(
ほしあか
)
り九段坂をも下り來て飯田町なる
堀留
(
ほりどめ
)
より過るも早き
小川町
(
をがはまち
)
水道橋
(
すゐだうばし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
船宿は小舟町三丁目の
堀端
(
ほりばた
)
にあった。古ぼけた小さな家で、それでも二階に二た間あり、とおされた表の六
帖
(
じょう
)
の障子をあけると、堀の対岸に牧野河内の広い屋敷があり、邸内の深い
樹立
(
こだち
)
が眺められた。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あわやと見る間に
堀端
(
ほりばた
)
の土手へひたりと飛び乗りたり。
夜行巡査
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
女給
(
じょきゅう
)
の
君江
(
きみえ
)
は午後三時からその日は銀座通のカッフェーへ出ればよいので、
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
本村町
(
ほんむらちょう
)
の貸間からぶらぶら
堀端
(
ほりばた
)
を歩み
見附外
(
みつけそと
)
から乗った乗合自動車を
日比谷
(
ひびや
)
で下りた。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「いいのよ。すぐ
其処
(
そこ
)
ですから。」と君江は
人通
(
ひとどおり
)
の絶えた
堀端
(
ほりばた
)
を
本村町
(
ほんむらちょう
)
の方へと歩いて行く。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堀端
(
ほりばた
)
の屋台店で二人はついぞ飲んだことのないコップ酒を半分ずつ飲み合い、吹きまさる風と共に深夜の寒さの
漸
(
ようや
)
く
烈
(
はげ
)
しくなるのをも忘れて、ふらふら戯れながら家へ帰って来た。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と云つて散歩すべき處もない。
堀端
(
ほりばた
)
を眞直に歩いて行けば、あの不愉快な銅像の立つてゐる九段坂へ出なければならぬと氣がついて、其れを避けるために、自分は急に半藏門の方へ
踵
(
きびす
)
を
𢌞
(
めぐら
)
した。
新帰朝者日記
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
半蔵御門
(
はんぞうごもん
)
より
外桜田
(
そとさくらだ
)
の堀あるいはまた
日比谷
(
ひびや
)
馬場先
(
ばばさき
)
和田倉
(
わだくら
)
御門外
(
ごもんそと
)
へかけての
堀端
(
ほりばた
)
には一斉に柳が
植
(
うわ
)
っていて処々に
水撒
(
みずまき
)
の車が片寄せてある。この柳は恐らく明治になってから植えたものであろう。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
本村町
(
ほんむらちょう
)
の
堀端
(
ほりばた
)
から左へ曲って、小さな住宅ばかり立ちつづく薄暗い
横町
(
よこちょう
)
をあちこちと曲って行く
中
(
うち
)
、重吉も一、二度来たことがあるばかりなので、その時目じるしにして置いた郵便箱を見失うと
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
の
堀端
(
ほりばた
)
に
高力松
(
こうりきまつ
)
、
高田老松町
(
たかたおいまつちょう
)
に
鶴亀松
(
つるかめまつ
)
がある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
堀
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
“堀端”で始まる語句
堀端寄