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呑気
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のんき
ふりがな文庫
“
呑気
(
のんき
)” の例文
旧字:
呑氣
思いきっていって、それで、借金をたのもうと思ったのだが、房次はそれほどせっぱつまっているとも知らず、
呑気
(
のんき
)
なことをいった。
風
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「あなたって子は、ずいぶん
呑気
(
のんき
)
な、
阿呆
(
あほ
)
ったらしい子でしたがねえ、ええ、かなり大きくなったって、何だかぼんやりしてたわ。」
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「そう
呑気
(
のんき
)
じゃ困りますわ。あなたは男だからそれでようござんしょうが、ちっとは私の身にもなって見て下さらなくっちゃあ……」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああ
呆
(
あき
)
れた。あそこを見なよ。この
騒
(
さわぎ
)
のなかに
呑気
(
のんき
)
な顔をして将棋をさしている奴がいるぜ。ホラ、あそこんとこを見てみろ……」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ジャックリーヌは、
呑気
(
のんき
)
な楽しいとき——初めはいつもたいていそうだったが、そのときには、
叔母
(
おば
)
へほとんど注意を向けなかった。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
本当にいつになったら、世間のひとのように、こぢんまりした食卓をかこんで、
呑気
(
のんき
)
に御飯が食べられる身分になるのかしらと思う。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
そこへ男が
呑気
(
のんき
)
な顔して断りに来た。「いくらなんぼなんでもさくらんぼう三粒で頬を叩かれたので一生の運命を極めてしまってはね」
さくらんぼ
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「まあ、人様のもので、義理をするんだよ、こんな
呑気
(
のんき
)
ッちゃありやしない。
串戯
(
じょうだん
)
はよして、謹さん、
東京
(
こっち
)
は炭が高いんですってね。」
女客
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元来
呑気
(
のんき
)
な連中の事とて、発車時間表もよくは調べず、誰言うとなく十時に
極
(
き
)
めておったのだ、とにかく約二時間待たねばならぬ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
思うておるのに、
呑気
(
のんき
)
らしゅう不義の
戯
(
たわむ
)
れに遊びほうけておるとは何のことか! 見苦しい姿見とうもない! 早々に両名共追放せい!
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「そんな
呑気
(
のんき
)
なんじゃないよ、兎も角も、石井の内儀お通が通善時代尼寺で行い済まして居た頃の噂を、精一杯かき集めてみたよ」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
大雅
(
たいが
)
は余程
呑気
(
のんき
)
な人で、世情に疎かった事は、其室
玉瀾
(
ぎょくらん
)
を迎えた時に夫婦の交りを知らなかったと云うので
略
(
ほぼ
)
其人物が察せられる。」
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
失業だの生活難だのという
複雑深刻
(
ふくざつしんこく
)
なる社会経済のなかった時代だから、何といっても
呑気
(
のんき
)
なもので、御書院番の椅子——じゃアない
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
まだ一家の主婦でない若い女のひとはそんなことには娘時代の
呑気
(
のんき
)
さでうっかり過したかもしれないが、今日は、主婦でない女のひとも
新しい船出:女らしさの昨日、今日、明日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そのあげくが和作はやはり
此
(
こ
)
の寄宿学校で
独逸
(
ドイツ
)
語の授業のほかに、少年寮の図書係といふ
呑気
(
のんき
)
な役目を世話して
貰
(
もら
)
ふ事になつたのである。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
若い時から家族の為めに働きつゞけて来た男は、体の自由だけでも、どんなにか
呑気
(
のんき
)
だつた。少々の窮迫位は何んでもなかつた。
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
そこで、さすが
呑気
(
のんき
)
な道庵主従も騒ぎ出して見ると、二人の寝た
行燈
(
あんどん
)
の隅に置手紙がしてあります。それを読んだ道庵が大きな声をして
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「よし、よし、それでいいんだよ。有難う」
呑気
(
のんき
)
な挨拶だ。私は今の物音を聞きつけて、誰か来やしないかと、ビクビクものでいたのに。
何者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「拙者にしてからがそのつもりでござる」秦式部片手で棹をあやつり、両眼で杯を睨みながら、さも
呑気
(
のんき
)
らしくしゃべり出した。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、瀬川はもう何も言わなかった。窓わきの壁からヴァイオリンをとって、低い窓の
框
(
かまち
)
に腰掛けて、さも
呑気
(
のんき
)
そうに弾き始めた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
末期になると、病に平気になり、
呑気
(
のんき
)
になり、将来に向つていろいろの計画などを立てるやうになるが、依然として鋭い神経を持つてゐる。
結核症
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
翌朝になると、彼等は
再
(
ま
)
たのこのこと、馬の糞のように集まって来て、箱の前に
呑気
(
のんき
)
な顔を列べて、愛書家の群を待っている。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
しかしちょっと気を変えて
呑気
(
のんき
)
でいてやれと思うと同時に、その暗闇は電燈の下では味わうことのできない
爽
(
さわ
)
やかな安息に変化してしまう。
闇の絵巻
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
開通当時は汽車の方も
呑気
(
のんき
)
だった。時間も間違う代わりに五厘出しても一銭出しても、信濃町までの切符をくれた、お客は大半子供だった。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
昔らしい
呑気
(
のんき
)
な話である。私の中学校は籠球にかけてはその頃の中等野球界の和歌山中学のやうな地位を占めてゐたのである。
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
諸君が
呑気
(
のんき
)
であったため、またはよく見当を付けなかったために鹿を殺すことが出来なかったとしたら、諸君が悪いのだと。
純粋経済学要論:01 上巻
(新字新仮名)
/
マリー・エスプリ・レオン・ワルラス
(著)
戦争中、そんな余裕は無いように思われるが、併し昔の戦争は、
呑気
(
のんき
)
なところもあるから、そんな事があったかも知れない。
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
東国、北国の源氏が
虎視眈々
(
こしたんたん
)
と都に目を向け、牙をみがいているというのに、これは余りにも
呑気
(
のんき
)
な、時局認識に乏しい平家の有様であった。
現代語訳 平家物語:06 第六巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
散々に酔ひつぶされた二人の客を残して、皆んなで引揚げて来たのだつたが、
呑気
(
のんき
)
ものの木山は、戸締りもしないで、ぐつすり寝込んでゐた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
(津島は宗教哲学を専修していたのである)窪田自身も卒業期ではあるが、これでは自分の
呑気
(
のんき
)
をもって他を律するわけには行かないと思った。
競漕
(新字新仮名)
/
久米正雄
(著)
我々の生活は旅行中だけが
呑気
(
のんき
)
で極楽だのに、その旅行中さえこんなに緊張していなければならないなんて、考えてみると情けなくなっちまう。
妖影
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
呑気
(
のんき
)
そうに口をポカンと
開
(
あ
)
いた親父の口もとを眺めて「咳が出なくなったから楽だろう」なぞと思ったりしているのが何となくバツが悪かった。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「世帯を持つ」と云うようなシチ面倒臭い意味でなしに、
呑気
(
のんき
)
なシンプル・ライフを送る。———これが私の望みでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
用もないのに
小路
(
こうじ
)
々々の果までを飽きずに見歩いた後、やがて
浅草
(
あさくさ
)
随身門
(
ずいじんもん
)
外
(
そと
)
の裏長屋に
呑気
(
のんき
)
な
独世帯
(
ひとりじょたい
)
を張っている
笠亭仙果
(
りゅうていせんか
)
の
家
(
うち
)
へとやって来た。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こちらの
世界
(
せかい
)
へ
来
(
き
)
てもすべては
修行
(
しゅぎょう
)
次第
(
しだい
)
で、
呑気
(
のんき
)
に
遊
(
あそ
)
んでいたのでは、
決
(
けっ
)
して
力量
(
ちから
)
がつくものではないようでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
波波
(
なみ/\
)
と
注
(
つ
)
いだ
杯
(
さかづき
)
を前にし、
其
(
それ
)
等の音楽を聞き
乍
(
なが
)
ら皆
呑気
(
のんき
)
に夜を徹する。一種の特色ある菓子
麺麭
(
ぱん
)
や軽い幾
品
(
ひん
)
かの夜食を取る事も出来るのである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
いわゆる人が見て戦争の危い事を知るよりは、むしろ戦争というものはこんな
呑気
(
のんき
)
なものか、一つやって見たいという位の
面白味
(
おもしろみ
)
を感ずるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
おばあさんは、もう
此
(
こ
)
の上目鏡を買ふこともなくなつたので、広いお部屋で、
呑気
(
のんき
)
に、新聞がよめることになりました。
おもちや の めがね
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
昨日に限つて、原町の家に
宿
(
とま
)
らずにゐた自分が悔いられた。母にお金を貰つて、好い気になつて、
呑気
(
のんき
)
に
放埒
(
はうらつ
)
にすごした昨夜の自分が悔いられた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
若くて禿頭の大坊主で、いつも大きな葉巻を
銜
(
くわ
)
えて
呑気
(
のんき
)
そうに反りかえって黙っていたのはプリングスハイムであった。
ベルリン大学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何か別な極めて
呑気
(
のんき
)
な私の性格位にしか映っていないし、時々ビーヤホールなどで大
気焔
(
きえん
)
を挙げられる彼には、私の気持に立ち入り得る筈がなく
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
博士は、低過蒸気機関の前で、
椅子
(
いす
)
に腰かけたまま、こくりこくり居眠りしている、
呑気
(
のんき
)
な
赤髯
(
あかひげ
)
の機関士の前に立って
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
「栄坊さんは
呑気
(
のんき
)
でいいなあ。松つあんは足が棒になるほど探しまはりました。さあ、もう帰りませう。お父さんやお母さんが心配してゐますよ。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
十七といっても一男は、両親のお蔭で中学校へ通わせてもらっている幸福な少年たちのように、
呑気
(
のんき
)
ではなかった。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
ふみ 太鼓判だかどうだかしらないけど、お見合いに来て
介添人
(
かいぞえにん
)
と将棋を始めるなんて随分
呑気
(
のんき
)
な人もあるものね。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
久しい歳月を経た後、大和古寺を巡り、結構な美術品であるなどと見物して歩いているのは実に
呑気
(
のんき
)
なことである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それからまだ雀と正月ということも考えているのだが、あんまり
呑気
(
のんき
)
だから正月がもう二つもある年の話にしよう。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“馬鹿野郎ッ、なんにも知らねえで
呑気
(
のんき
)
そうに、
手前
(
てめえ
)
達はまごまごしていると、みんな亡ぼされてしまうんだぞ”
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
といったのでは、
呑気
(
のんき
)
とも好奇とも思われようが、いったい考証というようなものは、前後の問題から切離してみたら、まったく気狂じみたはなしである。
咸臨丸その他
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
しかし、リップ・ヴァン・ウィンクルは、いわゆるおめでたい人間の一人で、間のぬけた、
呑気
(
のんき
)
な性質だった。
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
“呑気”の意味
《名詞1》
呑気(のんき ;「暖気」の唐宋音の当て字)
(context、dated)気晴らし。
気楽なこと。また、そのようなさま。
気が長いこと。
《名詞2》
呑気(どんき)
何かを嚥下する際に、一緒に空気を飲み込むこと。
(出典:Wiktionary)
呑
漢検準1級
部首:⼝
7画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“呑気”で始まる語句
呑気者
呑気屋
呑気相
呑気至極
呑気暮
呑気千万