告口つげぐち)” の例文
告口つげぐちをしたのはラヴィニアだと、三人は知りました。ミンチン先生は、足を鳴らして進みよると、またベッキイの耳を打ちました。
かれ與吉よきち無意識むいしき告口つげぐちからひどかなしく果敢はかなくなつてあとひとりいた。憤怒ふんぬじやうもやすのにはかれあまりつかれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そしてその晩里方さとかたへ帰つて、父親の竹内栖鳳氏にかくと告口つげぐちした。父親の偉いのを持つた嫁御寮は、何よりもよく里を利用する事を知つてゐるものだ。
チベット政府へ告口つげぐちをすれば賞金をもらうことができるという考えで注意して居る人が随分あったです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
ついて来た老婢ろうひが、なにかと告口つげぐちをするのに、私は何も言わないので母に大層折檻せっかんされたりした。
お嬢様が見ていらつしやらないと思つて用事をおろそかにすると云ふやうな告口つげぐちがされて居ました。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
重「あゝいや驚かんでも宜しい、主人の事を有る事無い事告口つげぐちを致す傳助、家に害をなす奴、此処こゝ切殺きりころせばたれも知る者はない、試切ためしぎりか何かにったのだろうで済んでしまう」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
勘ちゃんがそばへ来ると、最う私は恟々おどおどして、呉れと言わないうちから持ってる物を遣り、勘ちゃん、あの、賢ちゃんがね、お前の事を泥棒だッて言ってたよと、余計な事迄告口つげぐちして
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「兄さんのおなかの中には、あたしが京都へ告口つげぐちをしたという事が始終しじゅうあるんでしょう」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
どうしても私共の手にのらぬやんちやなれば貴君あなたからしかつて下され、第一湯呑みで呑むは毒でござりましよと告口つげぐちするに、結城は真面目になりてお力酒だけは少しひかへろとの厳命
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
日ごろ西郷にこころよからぬ人々が西郷の挙動をもって正反対の意味あるがごとくに言い放ち、西郷は名を浪士の鎮撫ちんぶるが、実はこれを煽動せんどうするものであると、島津久光しまづひさみつ公に告口つげぐちした。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「……野郎。この事を轟の親方に告口つげぐちしやがったらタラバがにの中へタタキ込むぞ」
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
門倉平馬の告口つげぐちで、三斎一党にそれを知られてしまったのにもすくなからず当惑を感じたが、しかし、相手方が自分を松浦屋の一子雪太郎の後身とは、すこしも気がついていないのだから
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
ことあたらしく今更に道十郎が後家に告口つげぐちなし此長庵がいのちちゞめさせたるは忝けないともうれしいともれい言盡いひつくされぬ故今はくゝられた身の自由じいうならねばいづ黄泉あのよからおのれも直に取殺し共に冥土めいどつれゆき禮を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そして、あなたの事もちゃんと知っていて、あなたのうちの財産だとか、あなたの会社の月給まで、お母さんに告口つげぐちして、とても初代さんの夫となりお母さんを養って行けるような人柄じゃない。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
栄二 お前、余計なことを告口つげぐちするからだよ。
女の一生 (新字新仮名) / 森本薫(著)
などと近所の者にも告口つげぐちするようになった。
果樹 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)
しなはゝとの關係くわんけい餘計よけい告口つげぐちから女房にようばうみゝはひつた。ころあつさにいて所爲せゐでもあつたが女房にようばうはそれをにしはじめてからがつかりとやつれたやうにえた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うしても私共わたしどもにのらぬやんちやなれば貴君あなたからしかつてくだされ、だい湯呑ゆのみでむはどくでござりましよと告口つげぐちするに、結城ゆふき眞面目まじめになりておりきさけだけはすこしひかへろとの嚴命げんめい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ山之助今更懺悔ざんげを致す訳でも無いが、余儀なく屋敷を出んければならない訳に成ったのは、武田から来た養子の重次郎と同衾ひとつねを致さぬと云うじょうを……立てる其の間に告口つげぐちを致す者も有って
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
孝助が屹度きっと告口つげぐちをしますだろうと思いましたに、告口をしませんで、殿様に屋根瓦が落ちて頭へ当り怪我をしたと云ってね、其の時わたくしは弓のおれたれたと云わなければよいと胸が悸動どき/\しましたが