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仆
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たふ
ふりがな文庫
“
仆
(
たふ
)” の例文
これをしも薄命と呼ばないとすれば、何ごとを薄命と呼ぶであらう? 僕は少くとも中道に
仆
(
たふ
)
れた先達の薄命を弔はなければならぬ。
大久保湖州
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれその
寢
(
みね
)
したまへりし大神、聞き驚かして、その室を引き
仆
(
たふ
)
したまひき。然れども椽に結へる髮を解かす間に遠く逃げたまひき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
引寄せられし宮はほとほと
仆
(
たふ
)
れんとして椅子に支へられたるを、唯継は鼻も
摩
(
す
)
るばかりにその顔を
差覗
(
さしのぞ
)
きて余念も無く見入りつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
賊は火のついた
蝋燭
(
らふそく
)
を手にもつて、戸口を一歩踏み出すと、
忽
(
たちま
)
ち、何者にか足をさらはれて、バツタリとそこに
仆
(
たふ
)
れました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
倒崖の
仆
(
たふ
)
れかゝらんとする時、猛虎の躍り
噬
(
か
)
まんとする時、
巨鱷
(
きよがく
)
の来り呑まんとする時、泰然として神色自若たるを得るは、即ちこの境にあるの人なり。
各人心宮内の秘宮
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
▼ もっと見る
あゝ、生きて、働いて、
仆
(
たふ
)
れるまで
鞭撻
(
むちう
)
たれるのは、馬車馬の末路だ——丁度我輩は其馬車馬さ。はゝゝゝゝ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
太い杉の樹を
伐
(
き
)
り
仆
(
たふ
)
して、美しく皮を
剥
(
む
)
いたのがあつたので、二人は其の上に並んで腰をかけた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
穰苴
(
じやうしよ
)
則
(
すなは
)
ち
表
(
へう
)
を
仆
(
たふ
)
し
(一二)
漏
(
ろう
)
を
決
(
けつ
)
し、
入
(
い
)
りて
軍
(
ぐん
)
を
行
(
めぐ
)
り
兵
(
へい
)
を
(一三)
勒
(
ろく
)
し、
約束
(
やくそく
)
を
(一四)
申明
(
しんめい
)
す。
約束
(
やくそく
)
既
(
すで
)
に
定
(
さだ
)
まる。
夕時
(
せきじ
)
、
莊賈
(
さうか
)
乃
(
すなは
)
ち
至
(
いた
)
る。
穰苴
(
じやうしよ
)
曰
(
いは
)
く、『
何
(
なん
)
すれぞ
期
(
き
)
に
後
(
おく
)
るる』
国訳史記列伝:04 司馬穰苴列伝第四
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
側には母上地に
横
(
よこたは
)
り居給ふ。これを圍みたるは、見もしらぬ人々なり。馬は車を引きたる
儘
(
まゝ
)
にて、
仆
(
たふ
)
れたる母上の上を過ぎ、
轍
(
わだち
)
は胸を碎きしなり。母上の口よりは血流れたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
思はざりき、
主家
(
しゆか
)
仆
(
たふ
)
れ
城地
(
じやうち
)
亡
(
ほろ
)
びて、而かも一騎の
屍
(
かばね
)
を其の
燒跡
(
やけあと
)
に留むる
者
(
もの
)
なからんとは。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
鋭い
利鎌
(
とかま
)
で草でも
薙
(
な
)
ぐやうに
伐
(
き
)
り
仆
(
たふ
)
され、皮を剥がれ、傷つけられ、それから胴切にされてしまふ、今までは私の宅の周囲も、森林で厚肉の
蒼黯
(
あをぐろ
)
い
染色硝子
(
ステインドグラス
)
を立てゝゐたが、一角だけを残して
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
樂
(
たの
)
しみは、すびつのもとにうち
仆
(
たふ
)
れ、ゆすり
起
(
おこ
)
すも知らでねし
時
(
とき
)
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
負けて勝つ心を知れや
首引
(
くびひ
)
きのかちたる人の
仆
(
たふ
)
るゝを見よ
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
やられて、材木のやうに
仆
(
たふ
)
れました
銭形平次捕物控:063 花見の仇討
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくて
仆
(
たふ
)
れぬ、
禮拜
(
らいはい
)
の事了りて。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
六月十二日、予は独り新富座に
赴
(
おもむ
)
けり。去年今月今日、予が手に
仆
(
たふ
)
れたる犠牲を思へば、予は観劇中も
自
(
おのづか
)
ら会心の微笑を禁ぜざりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれその
横刀
(
たち
)
を受け取りたまふ時に、その熊野の山の
荒
(
あら
)
ぶる神おのづからみな切り
仆
(
たふ
)
さえき。ここにそのをえ伏せる御軍悉に寤め起ちき。
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
チャラピタは
碌
(
ろく
)
に狙ひをつけるひまもなく、ドーンと一発はなすと、うまく熊の背骨に
中
(
あた
)
りましたから、ひとつたまりもなく、熊はその場に
仆
(
たふ
)
れました。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
百万人の敵を学びたる(仮定して)漢王も、亦た「死朽」といふ不可算の敵の前には、無言にして
仆
(
たふ
)
れたり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
貫一ははや幾間を
急行
(
いそぎゆ
)
きたり。宮は見るより必死と起上りて、脚の
傷
(
いたみ
)
に
幾度
(
いくたび
)
か
仆
(
たふ
)
れんとしつつも後を慕ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
丁度
収穫
(
とりいれ
)
の頃で、
堆高
(
うづだか
)
く積上げた穀物の傍に
仆
(
たふ
)
れて居ると、農夫の打つ
槌
(
つち
)
は誤つて
斯
(
こ
)
の求道者を絶息させた。夜露が口に入る、目が覚める、
蘇生
(
いきかへ
)
ると同時に、白隠は悟つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
逸したる馬の母上を踏
仆
(
たふ
)
しゝとき、車の中に居たるは、こゝの主人の君にぞありける。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
かくて
仆
(
たふ
)
れぬ、
礼拝
(
らいはい
)
の事了りて。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
老人はのけざまに
仆
(
たふ
)
れたぎり、二度と起き上る気色は見えない。白衣の聖母は石垣の上から、黙黙とその姿を見下してゐる。おごそかに、悠悠と。
商賈聖母
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「ちがふ、僕の弾丸は、たしかに心臓に命中した。だから、熊はよろめいて
仆
(
たふ
)
れるところだつたではないか、君の弾丸なんか
碌
(
ろく
)
なところに中つてゐやしない」
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
之を以て三百年の政権は
殆
(
ほとんど
)
王室の尊厳をさへ奪はんとするばかりなりし、然るに彼の如くもろく
仆
(
たふ
)
れたるものは、
好
(
よ
)
し腐敗の大に中に生じたるものあるにもせよ
明治文学管見:(日本文学史骨)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
呼べど
号
(
さけ
)
べど、宮は返らず、老婢は居らず、貫一は
阿修羅
(
あしゆら
)
の如く
憤
(
いか
)
りて起ちしが、又
仆
(
たふ
)
れぬ。仆れしを漸く
起回
(
おきかへ
)
りて、
忙々
(
いそがはし
)
く
四下
(
あたり
)
を
眴
(
みまは
)
せど、はや宮の影は在らず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
急に烈しい
眩暈
(
めまひ
)
に
襲
(
おそ
)
はれて、丑松は其処へ
仆
(
たふ
)
れかゝりさうに成つた。其時、誰か
斯
(
か
)
う
背後
(
うしろ
)
から追迫つて来て、自分を
捕
(
つかま
)
へようとして、
突然
(
だしぬけ
)
に『やい、
調里坊
(
てうりツぱう
)
』とでも言ふかのやうに思はれた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
仆
(
たふ
)
れてつかむ
蘆
(
あし
)
の
根
(
ね
)
よ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
ジウラ王子はフラ/\と
仆
(
たふ
)
れさうな足取りで、高くしげつた夏草の中を、がさ/\と分けて行きました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
しかし一度用ひたが最後、大義の仮面は永久に脱することを得ないものである。もし又強いて脱さうとすれば、如何なる政治的天才も忽ち非命に
仆
(
たふ
)
れる外はない。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
至善の至悪を
仆
(
たふ
)
したるもこの
朝
(
あした
)
なり、無漏の有漏に勝ちたるも、光明の無明を破りたるも、神性人性を撃砕したるも、皆この時に於てありしなり、而して其時間は一閃電の間に過ぎず
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
て
仆
(
たふ
)
るれば、
魔力
(
まりき
)
忽
(
たちま
)
ち
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
死して
仆
(
たふ
)
るゝ人のごと
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれども巨人の方では奥に二人が入るにつれて、こそばゆくなつて、
嚏
(
くさみ
)
をしさうになりますのを
怺
(
こら
)
へ/\致しますので、中の二人は時々その強い息に吹き
仆
(
たふ
)
されました。
漁師の冒険
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
耶蘇教の文明(外部の)を以て仏教の文明を
仆
(
たふ
)
さんとするにあらず、耶蘇教の智識を以て仏教の智識を破らんとするにあらず、吾人は生命思想を以て不生命思想を滅せんとするものなり
内部生命論
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
あな
仆
(
たふ
)
れけん声高し
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
おし
潰
(
つぶ
)
し、
掴
(
つか
)
み殺してやらうと思つて、まるで大木でも
仆
(
たふ
)
れるやうに、のしかゝつて来ました。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
戦ひに死して
背
(
はい
)
を敵に向けず、其勇は実に
嘉
(
よみ
)
すべし。然れども戦ふ為に
産
(
うま
)
れ、戦ふ為に
仆
(
たふ
)
る可きは、夫れ仏国か。一大魔ありて人間界を支配するとせば、彼は仏国を以て一闘犬となしつゝあるなり。
想断々(2)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
仆
(
たふ
)
れかなしむ
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
と、その頭の中に、海底で鱶に襲はれたときには、すばやく仰向けに
泥
(
どろ
)
の中に
仆
(
たふ
)
れ、手足をばた/\させて、そこらを濁してしまへば
遁
(
のが
)
れることが出来るといふ話を思ひ出しました。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
ニナール姫は心配で、もうぢつとしてゐられなくなりました。で、自分も、ラマ塔をめざして行きました。一足々々、ジウラ王子が、そこに
仆
(
たふ
)
れてはゐないかと、危ぶみながら進みました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
仆
漢検1級
部首:⼈
4画
“仆”を含む語句
横仆
突仆
打仆
蹴仆
諸仆
共仆
射仆
引仆
野仆死
一起一仆
車声轣轆仆家翁
踢仆
費用仆
見得仆
行仆
薙仆
朽木仆
斬仆
双仆
仆木