二人連ふたりづれ)” の例文
これから釣堀つりぼりへまゐりますと、男女なんによ二人連ふたりづれゆゑ先方せんぱうでもかして小間こまとほして、しゞみのおつけ、おいも煑転につころがしで一猪口いつちよこ出ました。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其後そのあと自轉車隊じてんしやたいて、居合ゐあはせた農夫のうふに、二人連ふたりづれの、人相にんさうわる男子をとこが、此邊このへんをうろ/\してなかつたかとうてると、農夫のうふすこぶふるつたこたへをした。
土筆つくしばう二人連ふたりづれで頭をもたげるやうに、偉い主人は屹度きつと秀れた家来を連れて出るものなのだ。熊本の名君細川霊感公の家来に堀勝名かつなが居たのもちやうどそれである。
聞いてみて、いもとが兄の下宿へ行くところだということがわかった。三四郎はまたきれいな女と二人連ふたりづれで追分の方へ歩くべきよいとなった。日はまだまったく落ちていない。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
みづになり、そらになり、面影おもかげ宿やどつても、にじのやうに、すつとうつつて、たちまえて姿すがたであるから、しか取留とりとめたことはないが——何時いつでも二人連ふたりづれの——一人ひとりは、年紀としころ
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黄いろい街灯の下をゴソゴソうように歩いている二人連ふたりづれの人影があった。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
羽織に着流しの裾をかかげ、ぱつちに雪駄せったをはきし町人の二人連ふたりづれあり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すぎたるはおよばざる二人連ふたりづれとは生憎あやにくや、くるま一人乘いちにんのりなるを。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『はアいまき、二人連ふたりづれで、んだかんねえが、金槌かなづちつて、往來わうらいたゝきながらあるいてたツけ』
自分から一席置いて隣の二人連ふたりづれは、舞台の正面にかかっている幕の話をしていた。それには雅楽に何の縁故ゆかりもなさそうに見える変なもんが、たてに何行も染め出されていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宵寐よひねをするにもあまはやい、一風呂ひとふろびたあと……を、ぶらりと二人連ふたりづれ山路やまみちたのが、ちやうど……きつねあなにはあかりかぬが、さるみせにはともしび時分じぶんなにとなくうすさむい、其処等そこらかすみ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
婆「はい、あの只今ね彼処あすこのそれ二人連ふたりづれの病人のとこへめえりました」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
三四郎は又奇麗な女と二人連ふたりづれで追分の方へあるくべきよひとなつた。日はまだ全く落ちてゐない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
家内かない二人連ふたりづれたんです、しか婚礼こんれいたばかりでせう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上がり口で二人連ふたりづれではないと断わる筈の所を、らつしやい、——どうぞ御上おあがり——御案内——梅の四番などとのべつに喋舌しやべられたので、やむを得ず無言の儘二人ふたり共梅の四番へ通されて仕舞つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぬっと門口かどぐちを出た二人連ふたりづれの中折帽の上へ、うまい具合に燃殻もえがらが乗っかった。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二三間離れた私にはそれが分らないくらい四囲あたりが暗いのでした。けれども時節柄じせつがらなんでしょう、避暑地だけあって人に会います。そうして会う人も会う人も、必ず男女なんにょ二人連ふたりづれに限られていました。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)