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震駭
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しんがい
ふりがな文庫
“
震駭
(
しんがい
)” の例文
あの——騎西一家を
震駭
(
しんがい
)
させた悪病の印というのも、判ってみればなんのことはなく、むしろ愛着の刻印に等しかったではないか。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
と、さまで
震駭
(
しんがい
)
の色でもなく、後の南朝への投降も、半ば必然に来た休火山の噴煙みたいに見ていたのはふしぎといってよい現象だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、この作品が一世を
震駭
(
しんがい
)
させた原因のおもなるものは、トルストイがその中で説いた露骨にして
忌憚
(
きたん
)
なき性欲観である。
クロイツェル・ソナタ:02 解題
(新字新仮名)
/
米川正夫
(著)
この故にコペルニクスの探偵趣味は
生命
(
いのち
)
がけの地動説を発表して聖書のインチキを曝露し、
羅馬
(
ローマ
)
法王を狼狽、
震駭
(
しんがい
)
させた。
甲賀三郎氏に答う
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お前の死は僕を
震駭
(
しんがい
)
させた。病苦はあのとき家の
棟
(
むね
)
をゆすぶった。お前の堪えていたものの
巨
(
おお
)
きさが僕の胸を
押潰
(
おしつぶ
)
した。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
▼ もっと見る
彼が私を
震駭
(
しんがい
)
させただけである。私は、否、人々は、あらゆるクラスの芸術を、ふくめて、芸術と言っているようである。つぎの言葉が、成り立つ。
碧眼托鉢:――馬をさへ眺むる雪の朝かな――
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
不意と心の中に精神的の恐怖と、非道徳的な
震駭
(
しんがい
)
を感じるのであったが、それはほとんど生理的に彼の魂に反応した。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
真面目な人なら、此処らで自分の愚劣を悟る所だろうが、私は反て
自惚
(
うぬぼ
)
れて、此分で行けば
行々
(
ゆくゆく
)
は日本の文壇を
震駭
(
しんがい
)
させる事も出来ようかと思った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一藩が
震駭
(
しんがい
)
し、数十人の捕り手を繰り出し、逃げ込み先の猿ヶ京の
温泉
(
いでゆ
)
をおっとり囲んだのは当然といえよう。
猿ヶ京片耳伝説
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
明日は高清水を
屠
(
ほふ
)
って終おうと氏郷は意を
洩
(
も
)
らした。名生の一戦は四方を
震駭
(
しんがい
)
して、氏郷の頼むに足り又
畏
(
おそ
)
るるに足る雄将である事を誰にも思わせたろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この報が一たび伝わるや、挙国
震駭
(
しんがい
)
し、殊に政府においては、今にも露国は問罪の師を起すであろうとまで心配し、その善後策について苦心を重ねたのであった。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
この二つの事件が、外では広くもあらぬ高山の天地を
震駭
(
しんがい
)
させ、
揣摩臆測
(
しまおくそく
)
や
流言蜚語
(
りゅうげんひご
)
といったようなものが満ち渡るのに、この屋敷の内部での動揺驚愕は
如何
(
いかん
)
……
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
三円の昇給にすら不馴れな心であるから、このやうな予告によつて心に受けた
震駭
(
しんがい
)
が異常なものであることは理の当然で、まるで眼を焼かれたやうな気持であつた。
盗まれた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
それにしても四十九人の一味で全国の警察界を
震駭
(
しんがい
)
させ、党員の一人が、警官にまでばけこむことができた彼らの巧妙さには専門家も舌を巻いていたということだ。
鉄の規律
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
そのとき、だあーんと爆風が到達し、職員室は
震駭
(
しんがい
)
し、皆はばらばらと硝子片を引きかむった。
長崎の鐘
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
たとえばまた自分の専攻のテーマに関する
瑣末
(
さまつ
)
な発見が学界を
震駭
(
しんがい
)
させる大業績に思われたりする。しかし、人が見ればこれらの「
須弥山
(
しゅみせん
)
」は一粒の
芥子粒
(
けしつぶ
)
で
隠蔽
(
いんぺい
)
される。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
大津の町で
露西亜
(
ロシア
)
の皇太子が巡査に斬られた。この騒には一国を挙げて朝野共に
震駭
(
しんがい
)
したのは事実らしい。子供ながらわたしは何とも知らぬ恐怖を感じた事を記憶している。
花火
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
現戦争はヨーロッパの人民全体を、戦場にあると否とにかかわらず、魂の底から
震駭
(
しんがい
)
させた。
世界の変革と芸術
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それが本当に全世界を
震駭
(
しんがい
)
させる爆弾として完成されたか否かは分らなかったのである。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
この例から考えても、
寡兵
(
かへい
)
をもって、かくまで
匈奴
(
きょうど
)
を
震駭
(
しんがい
)
させた
李陵
(
りりょう
)
であってみれば、たとえ都へのがれ帰っても、天子はこれを遇する
途
(
みち
)
を知りたもうであろうというのである。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
この場の
唐突
(
だしぬけ
)
な乱闘に、プールから飛びあがって呆然としていた入浴客は、ここに始めて、目の前の活劇が、いま全市を
震駭
(
しんがい
)
させている稀代の怪魔蠅男の捕物であったと知って
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
而して彼女をも同じ波瀾に捲き込むべく努めた。斯等の手紙が
初心
(
うぶ
)
な彼女を
震駭
(
しんがい
)
憂悶
(
ゆうもん
)
せしめた
状
(
さま
)
は、
傍眼
(
わきめ
)
にも気の毒であった。彼女は従順にイブセンを読んだ。ツルゲーネフも読んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
また暴漢として中央
亜米利加
(
アメリカ
)
を
震駭
(
しんがい
)
させた危険人物だということも解って来た。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
獅子一
吼
(
く
)
百獣
震駭
(
しんがい
)
する
底
(
てい
)
の猛威を振わん事を説いたためだ。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ポオの後代を
震駭
(
しんがい
)
した秘密はこの研究に潜んでゐる。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ところが、建久の年、
熊谷直実
(
くまがいなおざね
)
と
久下直光
(
くげなおみつ
)
とが、領地ざかいの争いで、対決したさい、裁判の不当に怒ッた直実が吠え猛って、吟味の東ノ
廂
(
ひさし
)
を
震駭
(
しんがい
)
させた。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の筆力で前代未聞の怪画を描いて、天下後世を
震駭
(
しんがい
)
させてくれようと思った……これがこうした若い、天才肌な芸術家にあり勝ちの、最も高潮した名誉慾だ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼がなにかしら一種独特な性格でアリョーシャの心を
震駭
(
しんがい
)
させたのは、疑いもない事実である。アリョーシャは長老の深い愛顧を受けて、その庵室に住むことを許されていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この小都を
震駭
(
しんがい
)
させた大火災のあとですから、人心は極度に緊縮されてはいるけれど、土地そのものが本来、そういった
艶冶
(
えんや
)
の気分をそなえているものであれば、
絆
(
きずな
)
を解かれて
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「こんな大戦争が始ったというのに、鳥鍋がいただけるとは何と
幸
(
しあわせ
)
なことでしょう」と若い女中のたつは全く浮々していた。が、妻は
震駭
(
しんがい
)
のあとの発熱を怖れるように
愁
(
うれ
)
い沈んでいた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
軍資器械、
倶
(
とも
)
に
煨燼
(
かいじん
)
となり、河水
尽
(
ことごと
)
く熱きに至る。京師これを聞きて大に
震駭
(
しんがい
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
帆村も
唖然
(
あぜん
)
とした。蠅男は電話でもってたしかに殺人を宣言したのだった。そしてその殺人は、満都を
震駭
(
しんがい
)
させるほど残虐をきわめたものであるらしいことは、蠅男の口ぶりで察せられた。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
天文學、地質學、生物學、人類學、歴史學等は
屡※
(
しばしば
)
、物質的人間説を恐れている人々の心を
震駭
(
しんがい
)
させた。彼等はダーウィン説とラマルク説の相違等をもつけの幸として新學説と戰おうとした。
唯物史観と文学
(旧字旧仮名)
/
平林初之輔
(著)
ポオの後代を
震駭
(
しんがい
)
した秘密はこの研究に潜んでいる。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大相国寺
(
だいそうこくじ
)
を
震駭
(
しんがい
)
させて、天下にとどろいているほどなものだが、山中の夫婦者は、ついそれと知らずに、同じ手でこの旅僧を眠らせようと
仕
(
し
)
かかったものらしい。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それ以上に世界の学界を
震駭
(
しんがい
)
させるであろうと斎藤先生が予言されました『脳髄論』であったのです
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
昨夜、水車小屋から出て行方知れずになったという村の娘が一人、水車場より程遠からぬ流れの
叢
(
くさむら
)
の蔭に、見るも
無惨
(
むざん
)
に殺されて漂っていたのが発見されて、全村の人は
震駭
(
しんがい
)
しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
突如として非常警報がミルキ国の全土を
震駭
(
しんがい
)
させた。すわ、何事であろう。
十八時の音楽浴
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は日本全国を
震駭
(
しんがい
)
させつつある重大事件の
巨魁
(
きょかい
)
が帝都の中央を
悠然
(
ゆうぜん
)
とタクシーで
疾駆
(
しっく
)
してゆく後影を見送りながら、何とも名状しがたい気持ちを抱いて、ぼんやりその場に立ちつくしていた。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
五日市まではなにごともないが、汽車が
己斐
(
こい
)
駅に入る頃から、窓の外にもう戦禍の跡が少しずつ展望される。山の傾斜に松の木がゴロゴロと
薙倒
(
なぎたお
)
されているのも、あの時の
震駭
(
しんがい
)
を物語っているようだ。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
堺附近の人心に
徴
(
ちょう
)
しても、本能寺変の一事が、いかに天下を
震駭
(
しんがい
)
させたかは、想像以上なものがある。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幾重
(
いくえ
)
にも
張廻
(
はりま
)
わしてある厳重を極めた警戒網を次から次に大手を振って突破して、一直線に福岡県庁に自首して出た時には、全県下の警察が舌を捲いて
震駭
(
しんがい
)
したという。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
飛騨
(
ひだ
)
の高山の上下を
震駭
(
しんがい
)
させる一事件が起ったというのは、中橋の真中に人間の生首が一つ転がっているということを、朝がけの棟梁が弟子を引連れて通りがかりに発見したというのが最初です。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ドイツ兵のいる陸地へ、こっちからいって上陸したということになれば、そのニュースは、ビッグ・ニュースとして全世界を
震駭
(
しんがい
)
し、
奮
(
ふる
)
わざること
久
(
ひさ
)
しきイギリス軍も勇気百倍、
狂喜乱舞
(
きょうきらんぶ
)
いたしますよ
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一箇の魯智深を
逮捕
(
たいほ
)
するのに、開封
東京
(
とうけい
)
の王城下は
震駭
(
しんがい
)
して、都民も寝られなかったほどである。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
玄洋社が板垣の民権論に加勢するに決した事がわかると当時の藩閥政府はイヨイヨ
震駭
(
しんがい
)
した。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
助作の声は、敵を
震駭
(
しんがい
)
させた。また、小姓組の
獅子児
(
ししじ
)
たちは、兵助の戦死はまだ知らないので
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから
毛唐
(
けとう
)
の嫌う金曜日金曜日に汽笛を鳴らして、到る処の港々を
震駭
(
しんがい
)
させながら
出帆
(
しゅっぱん
)
する、
倫敦
(
ロンドン
)
から一気に
新嘉坡
(
シンガポール
)
まで、大手を振って帰って来る位の離れ
業
(
わざ
)
は平気の平左なんだから
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
反対に、義仲の名は、かれらの間を
震駭
(
しんがい
)
し、玉葉の日々の記事なども、ここ二た月程は、義仲日誌みたいである。彼の一挙一動が、公卿個人の日記にまで反映しているのだ。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして君が死ぬ程の驚愕と感激の
裡
(
うち
)
に、この空前絶後の大研究の発表を引受けて、全人類を驚倒、
震駭
(
しんがい
)
させてくれるであろう……その発表によって太古以来の狂人の
闇黒
(
あんこく
)
時代を一時に照し破り
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“震駭”の意味
《動詞》
驚き、震えること。
(出典:Wiktionary)
震
常用漢字
中学
部首:⾬
15画
駭
漢検1級
部首:⾺
16画
“震”で始まる語句
震
震撼
震動
震災
震盪
震旦
震慄
震怒
震憾
震声