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逸
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いつ
ふりがな文庫
“
逸
(
いつ
)” の例文
且つまた、本当の安楽は、世の見て以て
逸
(
いつ
)
とするところに存在せずして、見て以て
労
(
ろう
)
とするところに存在するのではございますまいか。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
迎えて陣屋の設けもできていません。今、直ちに
逆寄
(
さかよ
)
せをなし給えば、
逸
(
いつ
)
をもって労を撃つで——必ず
大捷
(
たいしょう
)
を博すだろうと思います
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
閑
(
かん
)
中の
余技
(
よぎ
)
として
樂
(
たの
)
しむ
僕達
(
ぼくたち
)
の
棋戰
(
きせん
)
でさへ負けては
樂
(
たの
)
しからず、
惡
(
あく
)
手を
指
(
さ
)
したり
讀
(
よ
)
みの不足で
詰
(
つ
)
みを
逸
(
いつ
)
したりした時など
下手の横好き:―将棋いろいろ―
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
令息には正に違いないが、余り懇意に話をしたせいか、令息と呼ぶのは空々しい気がする。が、兎に角その令息の
逸
(
いつ
)
氏なぞと愉快に溯江を続ける事が出来た。
長江游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
世
(
よ
)
の
建築家
(
けんちくか
)
は
勿論
(
もちろん
)
、一
般
(
ぱん
)
人士
(
じんし
)
が
絶
(
た
)
へず
建築界
(
けんちくかい
)
に
問題
(
もんだい
)
を
提出
(
ていしゆつ
)
して
論議
(
ろんぎ
)
を
鬪
(
たゝか
)
はすことは
極
(
きわ
)
めて
必要
(
ひつえう
)
なことである。
假令
(
たとひ
)
その
論議
(
ろんぎ
)
が
多少
(
たせう
)
常軌
(
じやうき
)
を
逸
(
いつ
)
しても
夫
(
それ
)
は
問題
(
もんだい
)
でない。
建築の本義
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
▼ もっと見る
それは實に恐ろしい
技術
(
ぎじゆつ
)
です。
尤
(
もつと
)
も
昨夜
(
ゆうべ
)
兩國橋の下では、四人狙つて三人は
逸
(
いつ
)
し、一人だけ殺したわけですが、それにも何にか、含みがあつたのかも知れません。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又
(
また
)
獲物
(
えもの
)
が
鋭
(
するど
)
く
水
(
みづ
)
を
切
(
き
)
つて
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
るのを
彼等
(
かれら
)
の
敏捷
(
びんせふ
)
な
目
(
め
)
が
闇夜
(
あんや
)
にも
必
(
かなら
)
ず
逸
(
いつ
)
することなく、
接近
(
せつきん
)
した一
刹那
(
せつな
)
彼等
(
かれら
)
は
水中
(
すゐちう
)
に
躍
(
をど
)
つて
機敏
(
きびん
)
に
網
(
あみ
)
を
以
(
もつ
)
て
獲物
(
えもの
)
を
卷
(
ま
)
くのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
後
(
あと
)
で、
近所
(
きんじよ
)
でも、
誰
(
たれ
)
一人
(
ひとり
)
此
(
こ
)
の
素
(
す
)
ばらしい
群
(
むれ
)
の
風説
(
うはさ
)
をするもののなかつたのを
思
(
おも
)
ふと、
渠等
(
かれら
)
は、あらゆる
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
から、
不可思議
(
ふかしぎ
)
な
角度
(
かくど
)
に
外
(
そ
)
れて、
巧
(
たくみ
)
に
逸
(
いつ
)
し
去
(
さ
)
つたのであらうも
知
(
し
)
れぬ。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「なるほど、それがよろしかろう。
逸
(
いつ
)
をもって労を討つ、これ日本の兵法の極意じゃ」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
次に寛政三年六月四日に、
寄合
(
よりあい
)
戸田政五郎
(
とだまさごろう
)
家来
納戸役
(
なんどやく
)
金七両十二人扶持
川崎丈助
(
かわさきじょうすけ
)
の
女
(
むすめ
)
を迎えたが、これは四年二月に
逸
(
いつ
)
という
女
(
むすめ
)
を生んで、逸が三歳で
夭折
(
ようせつ
)
した翌年、七年二月十九日に離別せられた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
簪
(
かんざし
)
にて雪のふかさをはかるときは
畳算
(
たたみざん
)
と共に、ドド
逸
(
いつ
)
中の材料らしくいやみおほくしてここには適せざるが如し。「はかりし」とここには過去になりをれど「はかる」と現在にいふが普通にあらずや。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
桃花馬
(
とうくわば
)
を
逸
(
いつ
)
せり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
これ
逸
(
いつ
)
をもって労を待つ
象
(
かたち
)
。兵法にもこういっておる。——客兵倍ニシテ主兵半バナルモノハ、主兵ナオヨク客兵ニ勝ツ——と。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
耕耘
(
かううん
)
の
時期
(
じき
)
を
逸
(
いつ
)
して
居
(
ゐ
)
るのと、
肥料
(
ひれう
)
の
缺乏
(
けつばふ
)
とで
幾
(
いく
)
ら
焦慮
(
あせ
)
つても
到底
(
たうてい
)
滿足
(
まんぞく
)
な
結果
(
けつくわ
)
が
得
(
え
)
られないのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
拙
(
つたな
)
き
哉
(
かな
)
、
驕奢
(
けうしや
)
の
獵
(
れふ
)
、
一鳥
(
いつてう
)
高
(
たか
)
く
逸
(
いつ
)
して、
谺
(
こだま
)
笑
(
わら
)
ふこと
三度
(
みたび
)
。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
逸
(
いつ
)
を以て労を待つの計となりましょう。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逸
常用漢字
中学
部首:⾡
11画
“逸”を含む語句
独逸
飄逸
都々逸
逸見
逸早
逸物
逸話
安逸
逸足
逸出
逸品
逸散
獨逸
放逸
逸人
逸脱
逸駿
見逸
逸雄
逸作
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