計略けいりやく)” の例文
殺したこともかへつて彼等三人にうたがひがかゝる道理だと三五郎の計略けいりやくにてすでに火葬を頼んだ其時にもしもとおれは不承知しようちを言たらおのれが懷中ふところから金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
東京驛とうきやうえき一番いちばんてば、無理むりにも右樣みぎやう計略けいりやくおこなはれないこともなささうだが、籠城ろうじやう難儀なんぎおよんだところで、夜討ようち眞似まねても、あさがけの出來できない愚將ぐしやうである。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「平次がそんな間拔な事を、人に聽かれるやうに言ふ筈はない、お前があわてゝ飛出す後をけて、俺の巣を突きとめる計略けいりやくだつたんだ。何と言ふ間拔けだ」
夫れ台所だいどころに於けるねづみ勢力せいりよく法外はふぐわいなる飯焚男めしたきをとこ升落ますおとしの計略けいりやくも更に討滅たうめつしがたきを思へば、社会問題しやくわいもんだいみゝかたむくる人いかで此一町内いつちやうない百「ダース」の文学者ぶんがくしや等閑なほざりにするをべき。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ましてや他人たにんそこふかき計略けいりやくふちるべきならねばおとしいれられてのち一悔恨ひとくわいこんむなしくなみだくてりかゝる憂苦いうくつながるゝ情緒じやうちよ思慮しりよ分別ぶんべつ烏羽玉ぬばたまやみくらきなかにも星明ほしあかりに見合みあはせて莞爾につことばかり名殘なごり笑顏ゑがほうらさびしくいざとうながせばいざとこたへて流石さすがにたゆたは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なしにける斯て八山には皆々みな/\打寄うちより實に明日こそ御親子御對顏たいがんに相成に付最早もはやこと成就じやうじゆせりと次右衞門が計略けいりやくに乘りしとはらず大いに悦び斯樣かやうなる悦しき事は一夜を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
紅い扱帶を死骸の首に卷いたのは、お君を一度疑はせて置いてそれを助けて恩を賣る計略けいりやく
けて、きはめて計略けいりやく平凡へいぼんなのに、われながらをとこどくらしかつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
せい凱歌かちどきこゑいさましく引揚ひきあげしにそれとかはりて松澤まつざは周章狼狽しうしやうらうばいまこと寐耳ねみゝ出水でみづ騷動さうどうおどろくといふひまもなくたくみにたくみし計略けいりやくあらそふかひなく敗訴はいそとなり家藏いへくらのみか數代すだいつゞきし暖簾のれんまでもみなかれがしたればよりおちたる山猿同樣やまざるどうやうたのむ木蔭こかげ雨森新七あめもりしんしちといふ番頭ばんとう白鼠しろねづみ去年きよねん生國しやうこくかへりしのち
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
毒酒の計略けいりやくは見事に見破りましたが、それだけで油斷をしてゐると、その夜の丑刻やつ半頃、三方からあがつた火の手は、またゝく間に平次の長屋を燒き落し、近所の二三軒を半燒にして
かたきねらうたんとて先生と同道どうだうなし元栗橋もとくりばしゆかんとの相談さうだん最中さいちうは全く其奴等そいつら三人を土手迄どてまで引出しばらして仕舞ふ計略けいりやくならんと悟りし故助太刀せんと先へまはり此處にて待伏したればこそ此始末このしまつかたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
井上玄蕃樣は木像でくも同樣、あとは馬子と青侍が二人だけ、錢形の親分の目さへ光らなきや、六千兩は此方のものと、計略けいりやくは前々から、練りに練られました。最初に親分のふところを拔く役目を
三日ばかり海を眺め乍ら底拔け騷ぎをやらうといふ計略けいりやくなんで
「其處が計略けいりやくだつたんで」