若芽わかめ)” の例文
これは、あのときのみごとなかえでの若芽わかめです。あるおおきな、かみきりむしがんできてぷつりとってしまいました。
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)
来年かれると芽が出て空気中の養分を取るまで土の下でその若芽わかめを養っているのですから胚乳と申します。玉子でいえば黄身きみと同じ事です。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
やまざくらのように緑色みどりいろ若葉わかばをもつもの、がきおほいかなめもちのように紅色べにいろのうつくしい若芽わかめをもつものもあり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
潜門くゞりもん板屋根いたやねにはせたやなぎからくも若芽わかめの緑をつけた枝をたらしてゐる。冬の昼過ひるすひそかに米八よねはちが病気の丹次郎たんじらうをおとづれたのもかゝる佗住居わびずまひ戸口とぐちであつたらう。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ならび咲く桜の吹雪ふぶきぽぷらあの若芽わかめの枝の枝ごとにかかる
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
「勘兄哥の番の日にゃあ、きまって若芽わかめが泳いでらあ。」
例によって赤の飯、若芽わかめ味噌汁みそしる
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
若芽わかめは、ぐんぐんびてゆきました。そして、やがて、季節きせつになって、いっぱい、えだに、黄金色こがねいろはなをつけました。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
長吉ちやうきちは帽子を取つて軽く礼をしたがのまゝ、けるやうに早足はやあしもと来た押上おしあげはうへ歩いて行つた。同時に蘿月らげつ姿すがたは雑草の若芽わかめおほはれた川むかうの土手どてかげにかくれた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
食物しよくもつはる樹木じゆもく若芽わかめるとこのんでべ、またしるおほくさべますが、なつになつて草木くさき生長せいちようすると穀物こくもつやそばなどべ、さむくなつてくさしほれると森林内しんりんないでぶな、かし
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
くろはこは、おとこをいれてなかめられました。それから、はるあめは、この墓地ぼちにもりそそぎました。はかほとりにあった木々きぎは、いくたびも若芽わかめをふきました。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
恐いものは見たい。恐る恐る訊く私が知識の若芽わかめを乳母はいろいろな迷信のはさみ切摘きりつまんだ。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
雷鳥らいちようははひまつの高山植物こうざんしよくぶつ若芽わかめ食物しよくもつとしてゐます。性質せいしつ遲鈍ちどんですから、ひと近寄ちかよつても容易よういげません。つゑたゝけばおとせそうなひくそらを、うろ/\まはつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
おんなが、そういうのをいて、せい一もおそろしくなりました。くわれば、んでも、んでも、びる若芽わかめが、かぜくたびになよなよとかがやいています。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
一直線の堀割ほりわりはこゝも同じやうに引汐ひきしほきたな水底みなそこを見せてゐたが、遠くのはたけはうから吹いて来る風はいかにもさわやかで、天神様てんじんさま鳥居とりゐが見えるむかうのつゝみの上にはやなぎ若芽わかめが美しくひらめいてゐるし
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「かえでさんのこの若芽わかめは、すてきではありませんか。これがびたら、きっとえだぶりがよくなって、このあたりで一ばんになると、あなたは、おおもいになりませんか。」
谷間のしじゅうから (新字新仮名) / 小川未明(著)