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そうめい
ふりがな文庫
“
聡明
(
そうめい
)” の例文
迦羅奢は、常の
聡明
(
そうめい
)
な自分に
回
(
かえ
)
った。ふだんは、良人は気短で気のあらい人と考えていたのが、今はあべこべにあることに気づいた。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「変なことではないか、
聡明
(
そうめい
)
な方のように想像していたのに、こんなことでは幼稚なところの抜けぬ方と思うほかはないではないか」
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
無頓着
(
むとんじゃく
)
な者には勝手にその網の目をくぐらせるが、疑い深い者、用心深い者、
聡明
(
そうめい
)
な者にたいしては、なかなか取り逃がすまいとする。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
憎いと思いながら、
聡明
(
そうめい
)
な忠利はなぜ弥一右衛門がそうなったかと回想してみて、それは自分がしむけたのだということに気がついた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そしてそのためには、人の心理を
洞察
(
どうさつ
)
する
聡明
(
そうめい
)
な
智慧
(
ちえ
)
と、絶えず同化しようと努めるところの、献身的な意志と努力が必要である。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
その場合にそれが平和的な改革の方法で行われるか、それとも革命でなければならぬかは、主として支配階級の
聡明
(
そうめい
)
さと順応性による。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
右衛門は如何に
聡明
(
そうめい
)
怜悧
(
れいり
)
な女でも、矢張り女だから、
忌々
(
いまいま
)
しくもあり、勘忍もしがたいから、定石どおり焼き立てたにちがい無い。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼ほどの冷静なかつ
聡明
(
そうめい
)
な人にして全く
可笑
(
おか
)
しな話であるが、そこで彼は自分の恥ずべき空想が私に見破られたことを焦慮して
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼女の顔は、昨日より一層
魅力
(
みりょく
)
が増して見えた。目鼻だちが何から何まで、実にほっそりと
磨
(
みが
)
かれて、じつに
聡明
(
そうめい
)
で実に
可愛
(
かわい
)
らしかった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
しかもそれがきわめて
聡明
(
そうめい
)
で繊細なしかたであったので、外見上はただちょっとした助言を添えているように見えながら、実は
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
あの
悧巧
(
りこう
)
な
聡明
(
そうめい
)
な夫人が、こんな露骨な趣味の悪い技巧を
弄
(
ろう
)
する訳はない! やっぱり、夫人の本心から出た自然の書き散しに違いない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
……このニュアンスを、まんまと捕えて自家薬籠中のものとしたマンスフィールドの心には、非常に
聡明
(
そうめい
)
な女性が住んでいたのに違いない。
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
この若く美しく
聡明
(
そうめい
)
な娘さんに、友達以上の
懐
(
なつか
)
しさを感じてい、それが日一日と深くなって行くのをどうすることも出来ない状態であった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
日本人は
聡明
(
そうめい
)
だから、こんな二十四孝を、まさか本気で孝行の手本なんかにしてはいないでしょう。あなたは、お世辞を言っているのです。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
主題を意識の上の事とするから、そう言った作物となって現れもし、読者たちにも極めて単純にして、
聡明
(
そうめい
)
なるに似た印象を与えるのである。
歌の円寂する時
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
太子は比類なき
聡明
(
そうめい
)
な知性を持たせられたと同時に極まりなき美の感性に富ませられ、又実に即決即断の明快な技術的手腕をも兼備させられた。
美の日本的源泉
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
ただ記述があまりに簡略に過ぎてわかりにくい点が多いことと思われるが、そういう点についてはどうか
聡明
(
そうめい
)
なる読者の推読をわずらわしたい。
自然界の縞模様
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人間の
味
(
あじわ
)
い得るあらゆる幸福は味って置きたいという、そして
大和魂
(
やまとだましい
)
というものを認め得ない処の近代的にして
聡明
(
そうめい
)
な絵描きがあったとしたら
油絵新技法
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
夫人に津田の手前があるように、お延にも津田におく
気兼
(
きがね
)
があったので、それが
真向
(
まとも
)
に双方を了解できる
聡明
(
そうめい
)
な彼の頭を曇らせる原因になった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも同時に、そんなあどけない様子でいながら、彼には彼女が年に似合わず非常に
聡明
(
そうめい
)
な、頭の進んだ女性に見えた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ルージンはこの釈明を信じるだけの
聡明
(
そうめい
)
さを持っていた。もっとも、彼はもう二分もたったら、帰ろうと決心したので。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ステージの淋しさは気も
滅入
(
めい
)
るばかりであった。
聡明
(
そうめい
)
なエステルハツィ侯はハイドンの
諷諌
(
ふうかん
)
の意を悟って、楽員に暇をやったことは言うまでもない。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
また画家K氏のT誌に寄せた文章に
依
(
よ
)
れば、麻川氏はその晩年の日記に葉子を氏の知れる婦人のなかの誰より懐しく
聡明
(
そうめい
)
なる者としてさえ書いて居る。
鶴は病みき
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これは
聡明
(
そうめい
)
な彼にとって、当然すぎるほど当然なことである、が、不思議なことには逆にその評価が彼の好意に影響するということもまたほとんどない。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
夫人の
聡明
(
そうめい
)
で愛情にみちた眼に出っくわすと、おどろきとも喜びともつかぬ表情で急に生き生きとなるのだった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
君はもとよりも
四七
聡明
(
そうめい
)
の聞えましませば、
四八
王道
(
わうだう
)
のことわりはあきらめさせ給ふ。こころみに
討
(
たづ
)
ね
請
(
まう
)
すべし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
その他種々な性質のほかにテナルディエはまた、注意深く、見通しがきき、場合によっては無口だったり
饒舌
(
じょうぜつ
)
だったりして、いつもきわめて
聡明
(
そうめい
)
だった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一人の
聡明
(
そうめい
)
そうな怪物が、悟浄に向かい、
真面目
(
まじめ
)
くさって言うた。「真理とはなんぞや?」そして
渠
(
かれ
)
の返辞をも待たず、
嘲笑
(
ちょうしょう
)
を口辺に浮かべて
大胯
(
おおまた
)
に歩み去った。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「
深沈
(
しんちん
)
厚重
(
こうちょう
)
は
是
(
こ
)
れ第一等の
資質
(
ししつ
)
、
磊落
(
らいらく
)
雄豪
(
ゆうごう
)
は是れ第二等の資質、
聡明
(
そうめい
)
才弁
(
さいべん
)
は是れ第三等の資質なり」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
なぜそんな事をするかと言いますに、
聡明
(
そうめい
)
な法王がその位に即きますと近臣の者がうまい汁が吸えない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
彼は若々しく、
聡明
(
そうめい
)
でしかも寛大で、勇気にあふれ、人が青年はかくあれかしと思うすべてをそなえていた。彼の態度は裁判をうけているあいだも崇高で大胆だった。
傷心
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
この場合に限らず彼は元来直面した現実の意味をその時即座に理解するだけの
聡明
(
そうめい
)
を欠いていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
なあにAは彼自身、良友ぶつて忠告をしたいのに、彼自身の
聡明
(
そうめい
)
さが、それを自身で知つてゐるために、わざと此忠告は
此方
(
こつち
)
の為でなく、彼自身のためだと云つてゐるのだ。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
聡明
(
そうめい
)
に過ぐるものは自信を欠くと昔からいうが、二葉亭の如きはその適切な一例であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼女が圏外に
跳退
(
はねの
)
けられたのではなく、若いおり
聡明
(
そうめい
)
であった彼女の頭が、すこし
頑迷
(
がんめい
)
になったためではあるまいか、若いうちは皮相な芸でも突きこんでゆこうとする勇気があった。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「何という
聡明
(
そうめい
)
な女だろう」と、彼はもうすっかり眠けを奪われてしまって、女の言葉の方向の動くがままに、その疲れ切った意識を引きずり回され、血みどろにされるのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
聡明
(
そうめい
)
なるお絹さん! 私の申すこの思想があなたに
解
(
わか
)
らないはずはありません。私がなんであなたを嫌いましょう。あなたと私との間には素質と素質との好き合う力があるようです。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
もっともいつか東京から或る有名な先生と、
聡明
(
そうめい
)
をもって鳴るその奥さんとが来られて、私の家を訪ねられたことがあった。話のついでに、
新一楽帖
(
しんいちらくちょう
)
と自称している自分の画帖を見せた。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
聡明
(
そうめい
)
な
眉
(
まゆ
)
をあげて
虚
(
うつろ
)
な御堂からいまにも立ち現れ給うごとく感じたのであった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
聡明
(
そうめい
)
な人には直ちに理解せられる云い方をしてみたのだけれども、それはさておき、近代小説の生成というものは、その昔、物語を書こうとした意志と、日記を書きつけようとした意志とが
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
祖父は
聡明
(
そうめい
)
な人ではあったけれど、我の強い嫌いがないわけでもなかった。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
尤
(
もっと
)
も私は彼の顔を知らなかったのだが、流石に彼は探偵だ、私を見ると、男らしい
聡明
(
そうめい
)
そうな顔をニコニコさして、私は木村ですが、私の所へ御出になったのではないか、と尋ねて呉れたのだ。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
平素身近に帯ぶることが最も
臟品
(
ぞうひん
)
を隠匿するに
聡明
(
そうめい
)
な方法と思いついたものでしたから、かように作りを変えて
佩用
(
はいよう
)
していたのでしたが、それとて右門の
慧眼
(
けいがん
)
のために、はしなくも看破されて
右門捕物帖:07 村正騒動
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
おのが身を世に知れず隠さんために、みずからの
聡明
(
そうめい
)
の光を和らげ
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
人生に対して最も
聡明
(
そうめい
)
な誠実な態度をとったからである。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
中にはまだ若々しい
聡明
(
そうめい
)
な
面
(
おも
)
ざしのものも混っていた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
赤羽君はこの通り、
愚鈍
(
ぐどん
)
のような
聡明
(
そうめい
)
のような男だ。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
同時に裁決する女が
聡明
(
そうめい
)
だからだ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
聡明
(
そうめい
)
な源氏は、不思議な現象であると思ったが、僧都がお話し申し上げたほど明確に秘密を帝がお知りになったとは想像しなかった。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
永楽の時、史に曲筆多し、今いずくにか
其
(
その
)
実
(
じつ
)
を知るを得ん。永楽
簒奪
(
さんだつ
)
して功を成す、
而
(
しか
)
も
聡明
(
そうめい
)
剛毅
(
ごうき
)
、
政
(
まつりごと
)
を
為
(
な
)
す甚だ精、
補佐
(
ほさ
)
また賢良多し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
聡
漢検準1級
部首:⽿
14画
明
常用漢字
小2
部首:⽇
8画
“聡明”で始まる語句
聡明叡智
聡明叡知
聡明霊利