新婦人協会の請願運動 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
すべてのものに開かれ、何物も否定せず、何物も憎まず、寛大な同情で世界を観照する、広い精緻な精神的好奇心をそなえていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
演じたのは磯貝次郎左衛門、三浦与次右衛門という浪人者で、従来あった柔術小具足に新たな技法をとりいれた、精緻巧妙な武術だという。
樅ノ木は残った:02 第二部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「あかい花 他四篇」あとがき (新字新仮名) / 神西清(著)
肉弾相打って国技の精緻が、いまやそこに現出されんとした瞬間——まことにどうも変な結果になったものでした。
右門捕物帖:12 毒色のくちびる (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
彼の精緻な空想がこもり、また一筆ごとにおぼろげなものとなった、なぜとも知らず身ぶるいするために
アッシャー家の崩壊 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
茂太郎が高唱したものの、なおいっそう深刻にして精緻な内容が、あの原稿紙に載せられつつある。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス (新字新仮名) / ヴィクトル・ユゴー(著)
しかも彼の感受性は、静の状態のうちより動の響きを聴き取るだけの精緻さを具え、その響きを精細に分析するだけの鋭利さを具え、全体を整然と統一するだけの明敏なる知力を伴っている。
ジャン・クリストフ:01 序 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
『土』に就て:長塚節著『土』序 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ウィリアム・ウィルスン (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
これを前にしては、西鶴の精緻が無く、近松の濃艶が無く、馬琴の豪壮が無く、三馬の写実が無く、一九の滑稽が無い——これを後にしては紅葉、漱石の才人も出て来ない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
講壇で語られ研究室で論ぜられる哲学が論理の巧妙と思索の精緻とを誇ろうとするとき、懺悔としての語られざる哲学は純粋なる心情と謙虚なる精神とを失わないように努力する。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャン・クリストフ:13 後記 (新字新仮名) / 豊島与志雄、ロマン・ロラン(著)
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ワグナーの音楽は音楽文化の上にきわめて重要性を持つことは言うまでもないが、その構成が雄大で、複雑精緻を極むるために、いつまでたっても難しさは解消されない。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
銭形平次捕物控:003 大盗懺悔 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
いかに精緻な機械も自然の手に比べるなら、どんなに粗野であろう。機械的作品が劣るのは、あまりにその工程と結果とが簡単であるからと云えないであろうか。試みに一の字を描いてみよう。
そしてグルック式の鈍重さやワグナー式の野蛮さなどを好んであざけり、それにフランスの精緻さを対立さしていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中 (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)