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精々
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せいぜい
ふりがな文庫
“
精々
(
せいぜい
)” の例文
かねて双方の間に約束いたしおきたることは、もし当山に万一の事ありし時は、
速
(
すみや
)
かに私が
罷
(
まか
)
り出て、
精々
(
せいぜい
)
御助力いたすべく——
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それも
精々
(
せいぜい
)
宵のうちだけで、神妙に帰って来ては相手をしてくれるので、余吾之介も大した退屈もせず、酒と、媚と、脂粉の匂いにひたって
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そういう先生に
就
(
つい
)
てやるのだから、書生は同じ方向に進んで、何事も一時の間に合せであって、
精々
(
せいぜい
)
能
(
よ
)
く行って、試験に及第すればよい位である。
今世風の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
精々
(
せいぜい
)
が
米琉
(
よねりゅう
)
の羽織に
鉄欄
(
てつわく
)
の眼鏡の風采頗る
揚
(
あが
)
らぬ私の如きはどうしてもお伴の書生ぐらいにしか見えなかったであろう。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
精々
(
せいぜい
)
うまく致しましょう」老女の秋篠はこう云ったが、「それはそうとご前様には、いつ頃ご帰館あそばしますな?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
「御得意の阪本でござい。毎度御引立難有う御座りやす。
奈何
(
いかが
)
ですか旦那、大分夜も遅うござりますぞ。
精々
(
せいぜい
)
勉強して一泊二十五銭、いかゞでがす」
文学に現れたる東北地方の地方色:(仙台放送局放送原稿)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「ソップも牛乳もおさまった? そりゃ今日は
大出来
(
おおでき
)
だね。まあ
精々
(
せいぜい
)
食べるようにならなくっちゃいけない。」
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それでも済むような世の中になるのであるから、そんなことを苦にしないで
精々
(
せいぜい
)
勉強してみろと父は言った。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まあ自分の
宅
(
うち
)
を
有
(
も
)
つという事が人間にはどうしても必要ですね。しかしそう急にも行くまいから、それは後廻しにして、
精々
(
せいぜい
)
貯蓄を心掛けたら
好
(
い
)
いでしょう。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうぞ
精々
(
せいぜい
)
よく作ってください。おできばえがよければよいだけお礼の高もふえるのですから。はは。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「おつむてんてん」などの簡単な遊戯から、「子買お子買お」の
如
(
ごと
)
き
込入
(
こみい
)
った演劇に至るまで、一つの行事に一人の児童の携わるのは、
精々
(
せいぜい
)
一年か二年であります。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
精々
(
せいぜい
)
苦しむがいい。そして、俺の親爺の苦しみがどんなものであったかを、つくづく味って見るがいい
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
当時海軍で飛ぶ鳥落とす松島を立腹させちやア大変だから、無理にても押し付けて仕舞ふ様にツて、
精々
(
せいぜい
)
伝言
(
ことづか
)
つて来たんです、
我夫
(
あなた
)
、私の顔を
潰
(
つぶ
)
しても
可
(
よ
)
いお
積
(
つもり
)
ですか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
そんな次第で、此処へ来てからもリヽーを可愛がつてやつて、
精々
(
せいぜい
)
猫好きで通してゐたのだが、だん/\彼女はその一匹の小さい獣の存在を、呪はしく思ふやうになつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
神田へ来てお絃の顔を知らないところを見ると、こいつ、
精々
(
せいぜい
)
長庵の下廻りをつとめるくらいが関の山で、大きなことをいっても、やくざ仲間では、どうやらモグリらしい。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
或種
(
あるしゅ
)
の電波で金に還元する、——それが事実だとすれば世界の経済界をかき廻す事が出来るぞ。まあ
精々
(
せいぜい
)
やって
呉
(
く
)
れ、
直
(
す
)
ぐに資金を出すという訳には行かんが、大丈夫と
定
(
きま
)
れば
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
お師匠がたの言葉も言葉だが、
精々
(
せいぜい
)
、思い切ったところを見せてやるのもいいと思うが——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は
精々
(
せいぜい
)
弟子の張り合いのために、腕の相当出来るものには、一年も経つと、手伝いをさせた手間として幾分を分ち、また出品物が売約されたり、御用品になったりした時には
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
閑静なる
一間
(
ひとま
)
欲
(
ほ
)
しとならばお辰
住居
(
すまい
)
たる家
尚
(
なお
)
能
(
よか
)
らん、畳さえ敷けば細工部屋にして
精々
(
せいぜい
)
一ト月位
住
(
すま
)
うには不足なかるべし、ナニ話に来るは
謝絶
(
ことわる
)
と云わるゝか、それも承知しました
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
同時にこの大学みたように精神病科を
継子
(
ままこ
)
扱いにする学校は、全然無価値なものになってしまうのです。……ですから、それを楽しみにして、
精々
(
せいぜい
)
長生をして待っていらっしゃい。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
餌食が其の柔かな
白々
(
しろじろ
)
とした手足を
解
(
と
)
いて、木の根の
塗膳
(
ぬりぜん
)
、
錦手
(
にしきで
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
小皿盛
(
こざらもり
)
と成るまでは、
精々
(
せいぜい
)
、咲いた花の首尾を守護して、夢中に
躍跳
(
おどりは
)
ねるまで、
楽
(
たのし
)
ませて置かねば成らん。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然
(
しか
)
りといえども今の文明の有様にては、充分を希望するはとても
六
(
むつ
)
ヶしきことなれば、必ずしも充分にあらずとも、なるべきだけ充分に近づくことの出来るよう、
精々
(
せいぜい
)
注意せざるべからず。
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
いくら空が広いからって、ページェントじゃないから、
蝗
(
いなご
)
が飛ぶようなわけには行かない。まァ
精々
(
せいぜい
)
三分の一の六百機だ。六百機が、飛び上ったとしても、彼等の着艦は、
頗
(
すこぶ
)
る困難になる。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それも当らないよ、まあ、二本くらいが
精々
(
せいぜい
)
なんだ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
(この家は
最
(
も
)
う三十年も前に
取毀
(
とりこぼ
)
たれてしまった。)
精々
(
せいぜい
)
が
四室
(
よま
)
かそこらの家であったが、書斎を兼ねた八畳の座敷の周囲に大小の本箱を積み重ね
美妙斎美妙
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お鳥はその時、十五か、
精々
(
せいぜい
)
十六だったのでしょう。我慢の出来ない岩吉の腕から
脱
(
ぬ
)
け出すと、漆のような闇の山路を、全く当もなく駈けて出たのでした。
裸身の女仙
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
半之丞の豪奢を
極
(
きわ
)
めたのは
精々
(
せいぜい
)
一月
(
ひとつき
)
か
半月
(
はんつき
)
だったでしょう。何しろ背広は着て歩いていても、
靴
(
くつ
)
の出来上って来た時にはもうその
代
(
だい
)
も払えなかったそうです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんな次第で、此処へ来てからもリヽーを可愛がつてやつて、
精々
(
せいぜい
)
猫好きで通してゐたのだが、だん/\彼女はその一匹の小さい獣の存在を、呪はしく思ふやうになつた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「へえ、よろしゅうごぜえます。どうぞ
精々
(
せいぜい
)
強そうなところをお出しなすってくだせえまし」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「黄金仮面」の噂を
精々
(
せいぜい
)
物凄く話し合うことよろしくあって、彼等が引込むと、この芝居の副主人公とも云うべき、非常な
臆病者
(
おくびょうもの
)
が登場し、暫く
独白
(
どくはく
)
をやっている所へ、うしろの木立を分けて
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大阪へ行く時ばかりではない、東京へ帰る時にもまた相当のみやげ物を買って来なければならない。それやこれやを差引くと、本人の手に残るところは
精々
(
せいぜい
)
その半額にも足りないくらいだろう。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は今度は目のくりくりした、機敏らしい
看守
(
かんしゅ
)
に案内され、やっと面会室の中にはいることになった。面会室は室と云うものの、
精々
(
せいぜい
)
二三尺四方ぐらいだった。
冬
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
美妙斎に会った時も意外に若いので喫驚したが、漣の若いには更にヨリ以上驚かされた。漣はその時
二十歳
(
はたち
)
であったが、
精々
(
せいぜい
)
十八、九ぐらいにしか見えなかった。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
精々
(
せいぜい
)
呆れているが宜い、あとの三枚を持って来て、立て続けにそのまアまアって奴を聴かして貰うぜ」
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そんな次第で、此処へ来てからもリリーを可愛がってやって、
精々
(
せいぜい
)
猫好きで通していたのだが、だんだん彼女はその一匹の小さい獣の存在を、
呪
(
のろ
)
わしく思うようになった。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「ありゃアしませんよ、お師匠さん、そんなにありゃアしませんよ、
精々
(
せいぜい
)
のところ七人で」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
精々
(
せいぜい
)
用心したまえ」
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼はパリの往来の石の上に
坐
(
すわ
)
って泣いた。が、老女エステルにこの
狂人沙汰
(
きちがいざた
)
が理解されるはずもない。「今さらそれが何になろう」と彼に書くのが
精々
(
せいぜい
)
であった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
少くも貧乏な
好事家
(
こうずか
)
に
珍重
(
ちんちょう
)
されるだけで、
精々
(
せいぜい
)
が
黄表紙
(
きびょうし
)
並に扱われる位なもんだろう。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「おやおや
変梃
(
へんてこ
)
に疑ぐるね。まあ
精々
(
せいぜい
)
かんぐるがいい。今にアッと云わせてやらあ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ほんたうだが、
精々
(
せいぜい
)
お
手柔
(
てやはら
)
かに願ひたいな。
世之助の話
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
剣豪塚原卜伝でさえ、一刀では相手を殺し兼ねたという。まして獲物が五寸釘とあっては、機先を制して投げつけて、
精々
(
せいぜい
)
相手を追い散らすぐらいが、関の山であろうと思っていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
精々
(
せいぜい
)
二十二三、年増といっても、余吾之介より一つ二つ若いでしょう、その頃から
流行
(
はや
)
りはじめた派手な模様の幅の存分に広い帯を少し低くしめて、詰め袖の萌えでたような鮮やかな草色を重ね
十字架観音
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いったいどこへ連れて行く気かな? こんな
爺
(
じじい
)
を誘拐したところでたいしていい
値
(
ね
)
にも売れまいにな。……
精々
(
せいぜい
)
のところで別荘番。……おや今度は左へ廻った。……じたばたしたって仕方がない。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そう思ったら邪魔にせずに、
精々
(
せいぜい
)
これから可愛がるといいわ」
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
精
常用漢字
小5
部首:⽶
14画
々
3画
“精”で始まる語句
精
精神
精悍
精進
精緻
精霊
精巧
精舎
精進潔斎
精力