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端坐
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たんざ
ふりがな文庫
“
端坐
(
たんざ
)” の例文
鴎外が
芝居
(
しばい
)
を見に行ったら、ちょうど舞台では、色のあくまでも白い
侍
(
さむらい
)
が、部屋の中央に
端坐
(
たんざ
)
し、「どれ、
書見
(
しょけん
)
なと、いたそうか。」
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして、祠のなかに小さな姿で
端坐
(
たんざ
)
している三太に気がつくと、明るい陽の光りのなかに、まぶしそうに眼を細めて、笑うのである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
分厚な膝をきちんと揃へて
端坐
(
たんざ
)
したまま、切口上でものの十分ほど少年と応対したのち、ではごゆるりと、と引つこんで行つた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
若松屋惣七は、庭の老梅の幹のような、ほそ長い、枯れた顔を、まっすぐに立てて、きちんと
端坐
(
たんざ
)
していた。いらいらして、膝をふっていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
怪談を話す時には、いつもランプの
蕊
(
しん
)
を暗くし、
幽暗
(
ゆうあん
)
な怪談気分にした
部屋
(
へや
)
の中で、夫人の前に
端坐
(
たんざ
)
して耳をすました。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
私
(
わたくし
)
は
白衣
(
びゃくい
)
姿
(
すがた
)
で、
先
(
ま
)
ず
御神前
(
ごしんぜん
)
に
端坐
(
たんざ
)
祈願
(
きがん
)
し、それからあの
竜神様
(
りゅうじんさま
)
のお
祠
(
やしろ
)
へ
詣
(
もう
)
でて、これから
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
へ
参
(
まい
)
らせて
戴
(
いただ
)
きますと
御報告
(
ごほうこく
)
申上
(
もうしあ
)
げました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そしてこの挨拶のしどろもどろを取りなおすつもりで、胸を張ってできるだけもっともらしい顔つきをして
端坐
(
たんざ
)
した。だが脇の下にはほんとうに汗が
滲
(
にじ
)
んでいた。
地球儀
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
姑
(
しうと
)
微笑
(
ほゝゑ
)
みて、
時
(
とき
)
に
起
(
お
)
きて
座
(
ざ
)
に
跪坐
(
ついゐ
)
たる
婦
(
をんな
)
を
顧
(
かへり
)
みて
曰
(
い
)
ふ、お
前
(
まへ
)
教
(
をし
)
へてお
上
(
あ
)
げと。
婦
(
よめ
)
、
櫛卷
(
くしまき
)
にして
端坐
(
たんざ
)
して、
即
(
すなは
)
ち
攻守
(
こうしゆ
)
奪救
(
だつきう
)
防殺
(
ばうさつ
)
の
法
(
はふ
)
を
示
(
しめ
)
す。
積薪
(
せきしん
)
習
(
なら
)
ひ
得
(
え
)
て、
將
(
は
)
た
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
に
冠
(
くわん
)
たり。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なぜならつんぼは人の云うことを
聴
(
き
)
こうとして
眉
(
まゆ
)
をしかめ眼や口を開け首を
傾
(
かたむ
)
けたり
仰向
(
あおむ
)
けたりするので何となく
間
(
ま
)
の
抜
(
ぬ
)
けたところがあるしかるに盲人はしずかに
端坐
(
たんざ
)
して首をうつ向け
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
平八郎は
其儘
(
そのまゝ
)
端坐
(
たんざ
)
してゐる。そして熱した心の内を、此陰謀がいかに
萌芽
(
はうが
)
し、いかに生長し、いかなる曲折を
経
(
へ
)
て今に至つたと云ふことが夢のやうに往来する。平八郎はかう思ひ続けた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
主人は
懐手
(
ふところで
)
のままぬっと立ちながら「また人を
担
(
かつ
)
ぐつもりだろう」と
椽側
(
えんがわ
)
へ出て何の気もつかずに客間へ
這入
(
はい
)
り込んだ。すると六尺の床を正面に一個の老人が
粛然
(
しゅくぜん
)
と
端坐
(
たんざ
)
して
控
(
ひか
)
えている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
広太郎は、ギョッとしてピタリと
端坐
(
たんざ
)
した。と、正面の
唐紙
(
からかみ
)
が、スルスルと一方へ開いたものである。現われたのは一人の老武士。やッ、その
風采
(
ふうさい
)
のあがらないことは! 年は六十以上でもあろう。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
膝も
頽
(
くづ
)
さず
端坐
(
たんざ
)
せる姿は、何れ名ある武士の果ならん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
上段に
端坐
(
たんざ
)
した八重樫主水は
半化け又平
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
部屋一ぱい医事学報らしい刷物が散乱してをり、児玉は小学生の使ふやうな机の前に
端坐
(
たんざ
)
して、何やら熱心に書いてゐた。
地獄
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
たちまち、暗がりに慣れた栄三郎の眼に、部屋の中央に
端坐
(
たんざ
)
して一刀をひきつけている人影がおぼろに浮かんできた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
園
(
その
)
は、もの
狂
(
ぐる
)
はしく、
面影
(
おもかげ
)
の
白
(
しろ
)
い、
髪
(
かみ
)
の
黒
(
くろ
)
い、
裳
(
もすそ
)
の、
胸
(
むね
)
の、
乳
(
ちゝ
)
のふくらみのある
友染
(
いうぜん
)
を、
端坐
(
たんざ
)
した
膝
(
ひざ
)
に
寝
(
ね
)
かして、うちつけに、
明白
(
めいはく
)
に、
且
(
か
)
つ
夢
(
ゆめ
)
に
遠慮
(
ゑんりよ
)
のないやうに
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平八郎は
茵
(
しとね
)
の上に
端坐
(
たんざ
)
してゐた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
病
(
や
)
みほうけたからださえシャンとなって、スウッと肩をのばし、
端坐
(
たんざ
)
の膝に両手を置いた作阿弥、主水正の言葉をツとさえぎって、夢みる人のように言いだした。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
父は、この八畳間の障子ぎはに小さな机を置いて、その前に
端坐
(
たんざ
)
し、役所から持つて帰つた書類を調べたり、墨をすつたりしてゐた。これもその後姿だけが、少年の印象に残つてゐる。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
竹行李
(
たけがうり
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
端坐
(
たんざ
)
した
人參
(
にんじん
)
お
手代
(
てだい
)
、
端坐
(
たんざ
)
だけに
尚
(
な
)
ほ
間
(
ま
)
が
拔
(
ぬ
)
ける。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“端坐”の意味
《名詞》
正しい姿勢できちんと座ること。正座。
何もせず座っていること。また、ただぼんやり一日過ごすこと。
(出典:Wiktionary)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
坐
漢検準1級
部首:⼟
7画
“端”で始まる語句
端
端折
端書
端緒
端唄
端然
端近
端々
端居
端倪