みぢか)” の例文
二三日前にあたまを刈つたと見えて、かみが甚だみぢかい。ひげはじが濃く出てゐる。はなむかふをひてゐる。鼻の穴がすうすう云ふ。安眠だ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
下腹したつぱらほうぬけにはずんでふくれた、あしみぢかい、くつおほきな、帽子ばうしたかい、かほながい、はなあかい、それさむいからだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
現存石器時代人民中には、此の如き物にみぢかへて短刀たんとうの如くに用ゐ、或は長き柄を添へてやりとする者有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
たい日本にほんをんなの足とたら、周三所謂いはゆる大根だいこんで、不恰好ぶかつかうみぢかいけれども、お房の足はすツと長い、したがツてせいたかかツたが、と謂ツて不態ぶざま大柄おほがらではなかツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
與吉よきちつちだらけのみぢかぼうきしつちたゝいてる。さうして時々とき/″\あといてはあね姿すがた安心あんしんしてぼうでぴた/\とたゝいてる。ぼうさきみづつので與吉よきちよろこんだ。それも少時しばしあひだいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そしてこれがそのみぢかい一しやうでした。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
中央ちうわうアメリカ發見はつけんの古器物中には此類の石器にみぢかき柄を付けせ石細工を以て之をかざれる物在り、又一手に首級しゆきうかかへ他手に石槍形の匕首をたづさへたる人物の石面彫刻物せきめんてうこくぶつ有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
夕方ゆふがたになつて、ひよろながかげがさして、薄暗うすぐら鼠色ねづみいろ立姿たちすがたにでもなると、ます/\占治茸しめぢで、づゝととほい/\ところまでひとならびに、十人も三十人も、ちひさいのだの、おほきいのだの、みぢかいのだの
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さういふはたけ周圍まはりたつ蜀黍もろこしつよくきがすつくりとさゝへて、それがまばらな垣根かきねのやうにつらなつてはたけからはたけつないではいく屈折くつせつをなしつゝ段々だん/\みぢかくなつてれも鬼怒川きぬがは土手どてちかきる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
製作形状せいさくけいじやう等に付ては土器の事を言ふりに細説さいせつすべけれど、大概たいがいを述ぶれば其全体ぜんたいは大なる算盤玉そろばんだまの如くにしてよこ卷煙草まきたばこのパイプをみぢかくせし如き形のぎ出し口付きたり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)