眼玉めだま)” の例文
『ああ、いい塩梅あんばいちやがつた。自分じぶん眼玉めだまふなんて阿呆あほうがどこにゐる。ペンペの邪魔じやまさえゐなけりや、もうあとはをれのものだ。』
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
今度こんどは、おまえ眼玉めだま掻毮かきむしるかもしれない。ラプンツェルはもうおまえのものじゃアい。おまえはもう、二と、彼女あれにあうことはあるまいよ。
すると、うずくまっているその乞食こじきは、くびが自由にならぬままに、赤く濁った眼玉めだまをじろりと上向け、一本しかない長い前歯を見せてニヤリとした。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かえるのように、眼玉めだまばかりきょろつかせて暖簾のれんのかげからかおをだしたまつろうは、それでもまだおびえていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そしてこわごわきあがって、そっとまくらもとのかいの火を見ました。かいの火は、あぶらの中で魚の眼玉めだまのように銀色ぎんいろに光っています。もう赤い火はえていませんでした。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
遂られよと申送りしかば松本まつもと理左衞門も餘儀よぎなくかしこまるおもむ返答へんたふに及びおき夫より三五郎を呼出し汝支配しはいの奉行を差越さしこし御家老外記げき殿へ直訴ぢきそに及び候段不屆至極ふとゞきしごくの奴なりと眼玉めだま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
三四郎は此缶の横腹よこつぱらいてゐるふたつの穴にをつけた。穴が蟒蛇うはばみ眼玉めだまの様にひかつてゐる。野々宮君は笑ひながらひかるでせうと云つた。さうして、う云ふ説明をして呉れた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
むかし讃岐さぬきの国、高松に丸亀まるがめ屋とて両替屋を営み四国に名高い歴々の大長者、その一子に才兵衛さいべえとて生れ落ちた時から骨太く眼玉めだまはぎょろりとしてただならぬ風貌ふうぼうの男児があったが
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
サア、賓客おきやくさん、もうくらくなりましたぜ、大佐閣下たいさかくかもひどくお待兼まちかねで、それに、夕食ゆふしよく御馳走ごちさう悉皆すつかり出來できて、料理方れうりかた浪三なみざうめが、とり丸燒まるやき黒焦くろこげになるつて、眼玉めだま白黒しろくろにしてますぜ。
田川は、かなりめんくらったらしく、眼玉めだまをきょろつかせたが、すぐ決然として
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
線路せんろわきにぽつりぽつりついてる電燈でんとうの光が、とおくやみにまぎれて、レールもみわけのつかないそのさきの方に、大きな眼玉めだまのようなヘッドライトの光をかがやかし、煙突えんとつからけむりをはいて
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
梟はいまか眼玉めだまを開くらむごろすけほうほうごろすけほうほう
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
赤とんぼは、クルリと眼玉めだまてんじました。
赤とんぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
馬鹿ばかなペンペはだまされるともらずに、また片方かたほう眼玉めだまをたべてしまつた。もう四千メートルにちかきりなかだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
山男はお日さまにいてたおれた木に腰掛こしかけて何か鳥を引きいてたべようとしているらしいのですが、なぜあのくろずんだ黄金きん眼玉めだま地面じめんにじっとけているのでしょう。
おきなぐさ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
昼間ひるまのうちに、あんな準備をして置いて、よるになつて、交通其他の活動がにぶくなる頃に、此静かな暗い穴倉で、望遠鏡のなかから、あの眼玉めだまの様なものを覗くのです。さうして光線の圧力を試験する。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
眼玉めだまがポンポンひんむけた。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
蜻蛉とんぼ眼玉めだまでつかいな
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「うん、眼玉めだまが出しゃばって、くちばしが細くて、ちょっと見掛けはえらそうだよ。しかし訳ないよ。」
烏の北斗七星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いまごろがついたか。おれもはらつてきたので、自分じぶん眼玉めだま片方かたほうえぐりだしてつてるのだ。それにしばらくすると、またもとどほりに眼玉めだまがちやんと出来できてくるから奇妙きめうなものさ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
蜻蛉とんぼ眼玉めだままるござる
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おまけにかぎ穴からはきよろきよろ二つの青い眼玉めだまがこつちをのぞいてゐます。
注文の多い料理店 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
蜻蛉とんぼ眼玉めだま
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二つの青い眼玉めだまがこっちをのぞいています。
注文の多い料理店 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)