眞紅しんく)” の例文
新字:真紅
眞紅しんくへ、ほんのりとかすみをかけて、あたらしい𤏋ぱつうつる、棟瓦むねがはら夕舂日ゆふづくひんださまなる瓦斯暖爐がすだんろまへへ、長椅子ながいすなゝめに、トもすそゆか
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞紅しんくとなりしとき、死に臨めるピラーモがティスベの名を聞き目を開きてつらつら彼を見しごとく 三七—三九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おまへの緑の髮の毛の波は、貝のが斧のときしらせると、眞紅しんくまる。すぎしかたを憶ひだして。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
また、あの眞紅しんくの色を見つくすべく、澁柿はどうか熟れて落ちるまで梢におきたいものである。
たべものの木 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
それからつゞいて心臟ハート軍人ネーブが、眞紅しんく天鵞絨びろうど座布團ざぶとんうへに、王樣わうさまかんむりせてつてました、壯麗さうれい行列ぎやうれつ總殿さうしんがりには、心臟ハート王樣わうさま女王樣ぢよわうさまとがらせられました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
娘は御姫樣から頂戴した黄金の鈴を、美しい眞紅しんくの紐に下げて、それを猿の頭へ懸けてやりますし、猿は又どんな事がございましても、滅多に娘の身のまはりを離れません。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なさいいまだ、いま初日出はつひのでだ』と老人らうじんひつゝ海原うなばらとほながめてるので、若者わかものつれられておきながめました、眞紅しんくそこ黄金色こんじきふくんだ一團球いちだんきういましもなかば天際てんさい躍出をどりいでて
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
續いて燃え立つやうな眞紅しんくの布をまとつた四人の女が、一人の娘を伴れて現はれました。
網膜の映るところに眞紅しんくきれがひらひらする。
定本青猫:01 定本青猫 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
たちま心着こゝろづくと、おなところばかりではない。縁側えんがはから、まちはゞ一杯いつぱいに、あをしやに、眞紅しんくあか薄樺うすかばかすりかしたやうに、一面いちめんんで、びつゝ、すら/\としてく。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
眞紅しんくはな咲滿さきみちた、くもしろ花園はなぞのに、ほがらかなつきうつるよ、と浴衣ゆかたいろたのであつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
をりからはじ眞紅しんくなるが、のまゝの肌着はだぎうつりて、竹堰たけせきはぎしもく、あゝ、つめたからん。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
篝火かゞりびくか、とえて、眞紅しんくこずゑが、ちら/\とゆふべあかねをほとばしらす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)