目録もくろく)” の例文
左膳は目録もくろくの腕前である。しかし葉之助には弱敵だ。「かまうものか。やっつけろ。ええと今度は絶妙剣、そうだこいつで片付けてやれ」
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
男はやはり小声で紋七と何か応対して、袱紗ふくさにつつんだ目録もくろく包みらしいものを渡すと、紋七はしきりに辞儀をして、かれを奥へ連れて行った。
半七捕物帳:38 人形使い (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
かように目録もくろくやそれ以外いがい書物しよもつ出版しゆつぱんせられて、研究けんきゆう結果けつか發表はつぴようされるようにならなければ、しん博物館はくぶつかん役目やくめたつせられないのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
詫言わびごとなし是はいさゝかながら出牢しゆつらうよろこ旁々かた/″\土産みやげなりとて懷中くわいちうより紙に包み目録もくろくとして金子百兩を差出しければ富右衞門これ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに添えてある目録もくろくを一見ねがいたい。——虚堂きょどう墨跡ぼくせき、茶の湯釜、名物の茶入れ、ほかに太刀、その他数点
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏のことで白扇はくせんをサラリと開くとふところから贈物の目録もくろく書と、水引みずひきをかけた封金を出して乗せたが
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
側用人丹下村右衞門は先代志摩守しまのかみ歿後ぼつごドサクサまぎれに三萬六千兩の黄金と、おびたゞしい財寶骨董をこの土藏に取込み、山崎家取潰しの時これを目録もくろくから除外させて、ほとぼりのさめた後
ねんごろにのたまひつも、目録もくろくへて金子きんす十兩じふりやう其賞そのしやうとしてたまひければ、一度いちどうらめしとも口惜くやしともおもへりしが、いまたゞなみだにくれて、あはれ此君このきみのためならば、こゝにてなむと難有ありがたがる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
或時あるとき徒然つれ/″\なるにまかせて、書物しよもつ明細めいさい目録もくろく編成へんせいし、書物しよもつにはふだを一々貼付はりつけたが、這麼機械的こんなきかいてき單調たんてう仕事しごとが、かへつて何故なにゆゑ奇妙きめうかれ思想しさうろうして、興味きようみをさへへしめてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『さうね、不思議ふしぎなこと』と海龜うみがめこたへて、いはうへ目録もくろくかぞしました、『——不思議ふしぎこと古今こゝんわたれる大海學だいかいがくの、それから懶聲なまけごゑすこと——懶聲なまけごゑ先生せんせい年老としとつた海鰻はもで、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その品物の目録もくろくなどはなかったから、何と何とがなくなったんだか分らない。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
御指南番ごしなんばん山本小左衛門殿やまもとこざえもんどのの道場に納会のうかいの試合がございました。その節わたくしは小左衛門殿の代りに行司ぎょうじの役を勤めました。もっとも目録もくろく以下のものの勝負だけを見届けたのでございまする。
三右衛門の罪 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ほんとうに博物館はくぶつかんいまいつたとほり、品物しなものならかた系統的けいとうてき出來できてゐるうへに、ならべてある品物しなもの目録もくろく完全かんぜんつくられてゐなければなりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
下し置れける是ひとへ住持ぢうぢ祐然いうねん發明はつめい頓才とんさいの一言に依て末代まつだい寺號じがうかゞやかせり且又見知人として出府せし甚左衞門善助の兩人へは越前守より目録もくろく其外の品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
秀吉は一通の感状に目録もくろくを添えて官兵衛に授けた。これは秀吉から信長へ要請ようせいしてゆるしを仰いだものである。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「人相は惡いが、それほど大それた人間とも思はれない。それに夕方から店に坐つて、今日引渡す筈だつた目録もくろくを作つて居たし、あの目の早い乙松おとまつに隱れて、外へ出る工夫はあるまい」
或時あるとき徒然つれづれなるにまかせて、書物しょもつ明細めいさい目録もくろく編成へんせいし、書物しょもつにはふだを一々貼付はりつけたが、こんな機械的きかいてき単調たんちょう仕事しごとが、かえって何故なにゆえ奇妙きみょうかれ思想しそうろうして、興味きょうみをさええしめていた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
西洋せいようおほきな博物館はくぶつかんでは、目録もくろく研究書物けんきゆうしよもつ出版しゆつぱんされてゐるばかりでなく、館内かんない設備せつび完全かんぜん出來できてゐて、愉快ゆかい見物けんぶつされるようになつてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
最早もはや夕陽せきやうに及びしゆゑ明日參るべしとて目録もくろくなど用意よういに及びけり抑々そも/\白水翁はくすゐおういふよく人の禍福くわふく吉凶きつきよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)