異存いぞん)” の例文
と、申出まをしでましたところ部屋頭へやがしら第一番だいいちばん。いづれも當御邸たうおやしき御家風ごかふうで、おとなしい、實體じつていなものばかり、一人ひとり異存いぞんはござりません。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
竹童ちくどうはむろんそれに異存いぞんもなし、蛾次郎がじろうも一ごんの不平なく、きっとその約束を守りますといって宮内くないにちかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おきなすこ安心あんしんして、れい五人ごにんひとたちのあつまつてゐるところにつて、そのことをげますと、みな異存いぞんのあらうはずがありませんから、すぐに承知しようちしました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
行蔵こうぞうは我に存す、毀誉きよは他人の主張、我にあずからず我に関せずとぞんじそうろう各人かくじん御示おしめし御座ござそうろうとも毛頭もうとう異存いぞん無之これなくそうろうおん差越之さしこしの御草稿ごそうこう拝受はいじゅいたしたく御許容ごきょよう可被下くださるべく候也そうろう
新聞しんぶんながらあきなひするのとおもふてもたれど、はからぬひとゑんさだまりて、親々おや/\ことなればなん異存いぞんいれられやう、烟草たばこやろくさんにはとおもへどれはほんの子供こどもごゝろ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まず、団長のセキストン伯爵はくじびきぬきでくわわることに、だれも異存いぞんはなかった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
B 大隈侯おほくまこうのエライのに異存いぞんはないが、郵便局いうびんきよくからだいぐるますこしをかしいなア。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
わたしはやぶの前へ来ると、宝はこの中に埋めてある、見に来てくれと云いました。男は欲にかわいていますから、異存いぞんのある筈はありません。が、女は馬も下りずに、待っていると云うのです。
藪の中 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「諸君がそうしたいなら、僕も異存いぞんはないが、しかし選挙せんきょをするのかね」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
異存いぞんのあろうはずもなく、本読ほんよみもんで、いよいよ稽古けいこにかかった四五にちは、をつめても、つぎひかえて、ちゃ菓子かしよと、女房にょうぼうつとめに、さらさら手落ておちはなくぎたのであったが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
私にいたしましては、もとより、異存いぞんのある筈はございません。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
「多賀屋さん、この祝言は取止めにしても異存いぞんはあるまいな」
星野ほしのくん、異存いぞんがあったら、いってくれたまえ。」
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
それゆえ、主君しゅくん直参じきさん浜松城はままつじょうの人々に、その代試合だいじあいをいらいするが、そのけん異存いぞんがあるならしょうちできぬ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さいは海軍かいぐん鳥居とりゐ知人ちじん素性すぜうるからで利發りはつうまれつきたるをとこあるよし、其方そなた異存いぞんなければれをもらふて丹精たんせいしたらばとおもはるゝ、悉皆しつかい引受ひきうけは鳥居とりゐがして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いづれも當御邸たうおやしき御家風ごかふうで、おとなしい、實體じつていなものばかり、一人ひとり異存いぞんはござりません。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしはやぶまへると、たからはこのなかうづめてある、てくれとひました。をとこよくかわいてゐますから、異存いぞんのあるはずはありません。が、をんなうまりずに、つているとふのです。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
アンは、自分が仏天青であることに異存いぞんはなかった。ブルート監獄の看守も「ミスター・F」と呼んでくれた。アンと一緒に乗り込んだ前の列車の憲兵も、同じく彼を仏天青と認めてくれた。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
異存いぞんありません。」
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
『よいとも、借金さえ返済すれば、彦兵衛にも異存いぞんはない筈じゃ。——のう、彦兵衛』
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
異存いぞんはないが、さきをいそぐ、おしたくを早く」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)