せう)” の例文
なにかはつたことでもおこりましたか、しや、昨夜さくや海嘯つなみのために、海底戰鬪艇かいていせんとうてい破損はそんでもせうじたのではありませんか。』
せう五十ねんめくらにりてをわらばことなからんとれよりは一すぢ母樣はゝさま御機嫌ごきげんちゝるやう一さいこのいものにしてつとむればいゑうちなみかぜおこらずして
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
居士コジは、人命犯じんめいはんにはかならず萬已むを得ざる原因あることひ、財主ざいしゆ老婆ろうばが、貪慾どんよくいきどふるのみの一事いちじにしてたちま殺意さついせうずるは殺人犯の原因としては甚だ淺薄なりと
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
あゝ此樣こん浮氣者うわきものにはれがしたと思召おぼしめす、三だいつたはつての出來できそこね、親父おやぢが一せうもかなしいことでござんしたとてほろりとするに、その親父おやぢさむはとひかけられて、親父おやぢ職人しよくにん
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うわことをいつたりゆめたり、こんなことで一せうおくればひとさだめし大白痴おほたわけおもふなるべく、そのやうな馬鹿ばかになつてまでおもこゝろつうじず、なきゑんならばめてはやさしいことばでもかけて
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此時このときこんな塲合ばあいにはかなき女心をんなごゝろ引入ひきいれられて、一せうえぬかなしきかげむねにきざむひともあり、岩木いわきのやうなるおぬひなればなにおもひしかはらねども、なみだほろ/\こぼれて一トこともなし。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
振向ふりむひててくれねば此方こちらひかけてそでらへるにおよばず、それならせとてりにりまする、相手あいてはいくらもあれども一せうたのひといのでござんすとてなげなる風情ふぜい
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女房にようぼぐらゐぐされぬこと御座ござりますまいし、一せうなが御座ござります。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
自分じぶんこゝろなにもぼうつとして物思ものおもひのないところかれるであらう、つまらぬ、くだらぬ、面白おもしろくない、なさけないかなしい心細こゝろぼそなかに、何時いつまでわたしめられてるのかしら、これが一せうか、一せうがこれか
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)